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底辺刑事と異世界精霊の365日  作者: ドン・ヅ・マリ
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精霊さんと食事

・ この物語はフィクションです。

・ 実在の人物、団体等とは一切関係ありません。

・ 登場する地名、固有名詞等は全て架空のものです。


※ タイトルに「刑事」とつきますが、基本的に事件は発生せず、

  推理要素もありません。

※ 内容的には日常路線・・・・・と思います。


「んまいっ!」


口の周りにあんこをつけながら、笑顔でおはぎを頬張る精霊さん。


気に入ってもらえたようで何よりだ。


今晩の我が家の食卓には、料理(?)が極めて無秩序に並んでいる。


というのも、精霊さんが何を食すのかわからず、スーパーで精霊さんに


言われるがままに食料を購入したためだ。


俺用のお買い得弁当の他、おはぎ、ピザパン、コーンスープ、野菜サラダ、


チョコチップスコーン、レトルトハンバーグ、フルーツグラノーラ。


もともと、あちらの世界にいるときの精霊さんは食事の必要がないそうだ。


地脈から湧き出す霊力を吸収して糧としているとかなんとか。


悪玉コレステロール値や尿酸値、はたまたエンゲル係数やらを気にしながら、


毎日の食事に頭を悩ませている俺からしたらなんともうらやましい話。


しかし、こちらの世界ではどうも勝手が違うらしい。


あちらの世界に比べると、こちらの世界の地脈は「死んでいる」といっても


過言ではないほど湧き出す霊力が微弱なので、存在を維持できるほどの霊力が


集まらないとのこと。


そこで、食事が必要になるということなのだが・・・・・・・・


メッチャがっついている。


大きくて使いづらいであろうフォークやスプーンを巧みに操り、時には


ワイルドに素手で、料理を片っ端から口に運んでいる。


ちなみに、霊獣様にはドッグフードを買ってきた。


どっかの結婚式でもらった趣味の悪い大皿にドッグフードを盛って、水の入った


ボウルと一緒に目の前に置いてみたが、ちらっと目線をくれただけの塩反応。


あまり押しつけがましくしても余計警戒されるだけだろうし、とりあえず


置いておくとしよう。





かわいらしい精霊さんのいっしょうけんめいな食事風景にほっこりしながら


弁当を食べる。


「10種類の有機野菜をつかったヘルシー弁当」


最近は本当に油っこいが食べられなくなった。


歳のせいもあるのだと思うが、健康知識が食欲を阻害するというのも


大きな要因だ。


あれも体に悪い、これも体に悪い。


いったい何を食べればいいのだろう。


「コレステロール対策には青魚や納豆が良い」


などと聞いて積極的に食べて見れば、


「青魚や納豆は尿酸値を上げるので良くない」


だと。


どうしろというのだろう。


「バランスよい食事と適度な運動を」


・・・・・・・ハイハイ。


『どーでもいいや、数値が高くなり過ぎたら薬を飲めばいいんだろうし、

 少しぐらい太ったところで誰も俺の体型なんて気にしちゃいね~よ』


なんて開き直ってしまった方が人生楽しくなるような気もするが、


根っこのところで変に真面目な性分なので、中々堕ちる踏ん切りもつかず、


もそもそと草をはみ続ける様な日々を送っている。




ぼんやりとネガティブ思考に浸っているうちに、精霊さんはあらかた食事を


かたづけてしまっていた。


というか、残っているのは野菜サラダだけ・・・・・・。


精霊なんていうからなんとなく生臭ものはNGなのではと思っていたが、


ハンバーグをきれいさっぱりと食べてサラダを残すとはこれ如何に?


「食事なんて必要なかったから『面倒そうだな~』くらいにしか思ってなかったけ

 ど、食事イイね!食物を味わう楽しみってやつを体験させてもらったわ」


まあ、精霊さんが満足げなので敢えてつっこむ必要もないか。


ふと霊獣様に目をやれば、こちらもこちらでいつの間にかきれいに完食していた。


お腹が満たされて気が緩んだのか、警戒心の薄れた様子で毛づくろいをしている。


警戒心そのままに食事まで拒否されたら面倒だな~と思っていたので一安心。


これならなんとかやっていけそうだ。




弁当の残りと野菜サラダを掻き込む俺に、精霊さんが食事の感想を嬉々として


話してくる。


その楽しげな様子に、味気ない弁当がいつもより少し美味しく感じた。


ぼっち上級の俺としては、一人で漫画でも読みながらのんびり食事するのが


好きなのだが・・・・・・・・




うん、こういう食事も悪くない。




御閲読いただきありがとうございます。

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