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底辺刑事と異世界精霊の365日  作者: ドン・ヅ・マリ
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精霊との出会い(5)

・ この物語はフィクションです。

・ 実在の人物、団体等とは一切関係ありません。

・ 登場する地名、固有名詞等は全て架空のものです。


※ タイトルに「刑事」とつきますが、基本的に事件は発生せず、

  推理要素もありません。

※ 内容的には日常路線・・・・・と思います。


山から帰ってくる途中、ひと悶着あった。


というかひと悶着どころではなくあった。


どうも精霊さんの世界では、人間の文明がこちらの世界ほど進んでは


いないようなのだ。


やはりファンタジーの住人はファンタジーな世界に住んでいるということか。


じゃあ、魔法バンバン、冒険者ギルド乙、お約束ダンジョンドーンの世界なのか


と言えばそうでもないらしい。


精霊さんのあいまいな説明(人間社会に詳しいわけでは無いらしい)からは、


こちらの世界で言うならば「産業革命以前」程度の文明水準の世界と


推測できた。


な・の・で


マイ軽自動車に乗せる時点でひと悶着。


住居の立ち並ぶ整備された街並みを見てひと悶着。


買い物をするために立ち寄ったスーパーで二けた悶着。


カルチャーショック連発の末、ようやく我が家に着いた次第だ。





築40年に迫る5階建てのオールドマンション。


303号室が我が城だ。


3LDKは独り身としては広すぎるが、借りた当時はゴールインのタイミングを


見計らっていた相手がおり、将来的なことを考えてこの間取りにしたのだった。


そのお相手はといえば、震災後のてんやわんやの時期に放置プレイしすぎたため


別れを告げられた。


今冷静に考えれば、100%俺が悪い。


被災した実家に一緒に様子を見に行って欲しいと連絡があってもスルー。


住居の引っ越しを手伝ってほしいと連絡があってもスルー。


たまには食事でもして苦労話を聞いて欲しいといわれてもスルー。


そりゃ捨てられるわ。


しかし、当時の俺は業務に忙殺されていたこともあり、


『職業柄忙しいのを理解してくれるだろう』


と考えていた。


その独りよがりな考え方を相手に押し付け、優しさのかけらもない対応を


してしまい、捨てられるべくして捨てられた。


全くダメな奴だよ俺は。



その後、引っ越しをするのも面倒でそのままここに住み続けている。


築年数がだいぶたっているせいか、立地や間取りが良いわりに家賃が


相場より安いのだ。


しかも、職業的に家賃のとりっぱぐれなしということで駐車場代をサービスして


もらっているし。


スーパーで騒ぎつかれてぐったりとしている精霊さんを肩に担ぎ、


3階までの階段を昇る。


霊獣様は警戒しながら少し離れて俺の後をついてきている。


ペット可なので問題はないが、首輪やリードをつけないとまずいよな~。


つけさせてくれるだろうか?


ちなみに、霊獣様は他の人間にも見える。


登山道入口の駐車場にいた親子が霊獣様に手を振っていたので間違いない。


精霊さんについては俺にしか見えないようだ。


精霊さんと一緒にスーパーに入ったのだが、誰一人精霊さんを気にする


素振りを見せなかった。


見えているのは俺だけ。


『おいおい、やっぱり病んでいる俺の幻覚なんじゃないのか?』


と不安になった。


大丈夫。


俺はまだ大丈夫。





玄関の鍵を開けて部屋に入る。


思えば彼女と別れてからこの部屋に人を招き入れるのは初めてじゃなかろうか。


まあ、人ではないのだけれど。


「いらっしゃい。ようこそ我が家へ」


小さく声を掛けるが反応はない。


我が家の新たな住人は驚き疲れから未だ脱せず、肩の上でぐったりしている


のであった。

御閲読いただきありがとうございます。

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