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底辺刑事と異世界精霊の365日  作者: ドン・ヅ・マリ
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精霊との出会い(3)

・ この物語はフィクションです。

・ 実在の人物、団体等とは一切関係ありません。

・ 登場する地名、固有名詞等は全て架空のものです。


※ タイトルに「刑事」とつきますが、基本的に事件は発生せず、

  推理要素もありません。

※ 内容的には日常路線・・・・・と思います。


どうやら俺の思考がネガティブ方面に飛んでいる間に、妖精さんが


子犬を宥めてくれたようだ。


今は俺のことなど眼中になしという感じで、俺の昼食だったはずの


リングビスケットをガツガツと貪っている。


気を取り直した俺は、とにかく現状を把握すべく妖精さんに事情聴取を行った。




聴取結果


人定事項


氏名    なし

年齢     不詳

性別    不詳(見た目は女性)

職業    ダルダバの森の聖泉の管理者・守護者  妖精ではなく精霊

住居地   ダルダバの森 


本件事実


昨日、双月が重なり合った深夜0時ころ、ダルダバの森北東部

ダルダバ山脈山麓において、霊樹の管理者と供に『界渡り』実験を行い

これに成功。

霊力が維持できている間に異界を観察して戻る予定だったが、同行して

いた霊獣(子狼)が興奮して暴走し姿をくらます。

霊獣を捜索するも発見に至らず、あきらめてゲートに戻ろうとするもすでに

ゲートは閉じてしまっていたもの。


なお、閉じたゲート付近で佇んでいたところ、霊獣はいつの間にか傍らに

戻ってきていた。

霊樹の管理者は、こういった事態に備えて元の世界に待機しており、今回の

ような非常事態が発生した場合は、次回の双月が重なる日に再度ゲートを

開くこととなっている。


というか、霊脈が最大限活性化される『双月の晩』でなければゲートは

開くことが出来ないとのこと。

ちなみに、会話が成立しているのは、精霊さんが日本語を話しているわけでは

無く、精霊さんの不思議パワーによるらしい。




『妖精さんではなく精霊さんなのか~。

 妖精と精霊ってなんか違うんだろうか?犬じゃなくて狼?』


などとぼんやり考えていると、精霊さんがいい笑顔で手を差し出してきた。


「と言う訳で、これから一年間よろしくね!」


「はい!?」


「だから、アタシは一年後の双月までこの世界を満喫するつもりだから、

 協力よろしく!」


「・・・・・・・・」



確定事項の様に話してくる精霊さんに気圧されたものの、


そんなのは『NO!』一択に決まっている。


決まっているのだが・・・・・やはり俺は疲れているのだ。


『こんな不思議体験ちょっと面白いかも。犬も飼いたいと思ってたんだよな~』


などと、ちょっとずれた方向に思考が飛んでしまっていた。


『最近一人暮らしの気楽さにも閉塞感を感じていたし、一人でいるとどうしても


ネガティブ思考に走りがちだから別にいいかな~』


などと容認の方向に考えがまとまりそうなところで、俺の生来の


天邪鬼気質が自動発動した。


「精霊さん。面倒を見てあげるとして私にはなにかメリットがありますか?

 無償で協力というのは・・・」


と、暗に対価を要求。


とにかく相手の思い通りに事が進むのが嫌いなのだ俺は。


ホント嫌な性格。


「人間らしい考え方ね。森の生き物達なら喜んで協力するでしょうに・・・・・」


精霊さんの笑顔が引っ込み、俺は下手を打ったと直感したが、次に精霊さんが


発した言葉は俺の想定を上回るものだった。


「まあいいわ。ただでとは言わないわよ。

 なんでも願い事を一つ聞いてあげようじゃない」


「・・・・・・・・・・・・。」


俺の心は激しくざわついた。

御閲読ありがとうございます。

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