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底辺刑事と異世界精霊の365日  作者: ドン・ヅ・マリ
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精霊との出会い(1)

・ この物語はフィクションです。

・ 実在の人物、団体等とは一切関係ありません。

・ 登場する地名、固有名詞等は全て架空のものです。


※ タイトルに「刑事」とつきますが、基本的に事件は発生せず、

  推理要素もありません。

※ 内容的には日常路線・・・・・と思います。



俺はもうだめかもしれない。


なぜなら、妖精さんが見えちゃっているからだ。


人間、精神的にヤバイ状態になると小人さんが見えたり妖精さんが見えたり、


ありえないものを幻視すると聞いたことがあるが、まさか自分がそんな状態に


なるとは・・・・。






確かに、ここ一か月の俺の精神状態はヤバかった。


通常勤務中は広域窃盗被疑事件捜査本部の追送致準備に追われまくりで、


連日の早朝出勤深夜帰宅。


そして6日に1度の当直勤務では、変死・火災・労災・突発逮捕事案の雨あられ。


仮眠をとれたためし無し。


極めつけは、ようやく休みをもらえた日曜日に強盗事件発生で非常招集・・・・。


もう、なんか呪われているんじゃないかと思えるような悪い流れ・・・・・。


この一か月で一体何本のエナジードリンクを消費し、一体何錠の頭痛薬を


服用したのだろう。


パソコンに残している「一行日記」には、上司・同僚に対する罵詈雑言か


キーボードをただ乱打しただけの意味を成さない文字列が並んでいる。


完全にヤバい人。


まあ、幻覚を見ても納得できるレベルの精神状態ではないだろうか。







それでもなんとか激動の1か月をしのぎ切り、ようやく業務量も落ち着いてきて


それなりの日常が戻ってきた。


週に一度は休みもとれるようになったし、このまま穏やかな流れになって欲しいと


願うばかりだ。


もしここでもう一波来ようものなら完全にイってしまいそう。


それでなくても、色濃く染みついた疲労はなかなか抜けず、体は鉛のように


重いし頭は霞がかったようにぼんやりしている。






こんな状態の時は休日だからと言って寝ているよりも、運動でもして汗を


かいた方が体調は良くなる気がする。


そこで、心と体をリセット&リフレッシュしようと登山に来たと言う訳だが‥‥


山の中で妖精さんに出会ってしまったのだ。


そう、「ある日、森の中、妖精さんに、でああた」である。






妖精さんは身長が30センチ位、肌は白色。セミロングの金髪で緑色のそれっぽい


服を着ており、その背には4枚の透明な羽がついている。


妖精さんは、俺が山頂付近の岩場でコーヒーを飲もうとお湯を沸かしていた時、


ふいに現れた。


岩場の陰からとことこと。


『えっ?えっ?えぇぇ~?』と声にならない声を上げて固まる俺。


妖精さんはそんな俺を気にする素振りも見せず、俺のそばまで歩いてくると、


足元に置いていたリングビスケットを手に取り、スンスンと匂いを確認したのち


パクつき始めた。


『なにこの状況?なにこの状況?

 不思議生物が俺の昼食を食べちゃってるんですけど~?』


心の中で叫びつつ、ただただ呆然とする俺。


視線はしっかり妖精に向けられているように見えて、その実虚空を


さまよっており、思考はカラカラと空転し続けている。


『NowLoading・・・・・』の表示のままビジーカーソルがむなしく


回り続けているかのようだ。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・『幻覚?』



長考の末、俺のロースペックCPUがはじき出した答えがそれだった。



御閲読いただきありがとうございます。

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