呪文なるもの
どうも蒼榛です!またちょっと遅くなっちゃいました。すみません、、、
今回もぜひ読んでいってください!よろしくお願いします!
吹き曝しの真っ白な地面の上に小さな影が二つ。今日も和気あいあいと魔法の練習を
「だぁー!わからん!」
して……
「もう、いっそのこと肉弾戦で行かない?魔法なんかやめて」
「それは、私たちには無理だと思うけど……」
いた……?
「そもそも、私たちの魔法の効果ってわかりにく過ぎるのよ!なんなのよ、無属性って」
「ほんと……それには同意する……」
結局のところ、私たちの魔法の練習はあんまり上手くいっていなかった。
『まあ、これは便利だけどね』
突如、頭の中でレイミーの声が響く。
『ちょっと、いきなり通信魔法に会話切りかえないで……!』
そう、これは通信魔法だ。無属性の魔法ということでこれだけは直ぐに使えるようになった。これもサリーさん曰く私たちだからすんなり出来たらしいが。
「サリーのところ行きましょ。私たちだけじゃ何ともならないわ」
「……うん」
というわけで、
「たのもー!!」
また、門にお邪魔するのであった。
中の様子を窺うと、大きな氷の椅子でコンビニ飯を食べているサリーと目が合った。
「……君たち、気軽にここに来すぎでは?」
「だって暇だし。別にいいでしょ?」
「いや、よくないよ?」
「すみません、用事が済んだら直ぐに帰りますから!」
このままでは追い出される勢いだったので、急いで間に入る。
「用事?魔法ならもう教えないよ?」
「えー……」
その魔法について聞こうと思ってたので、出鼻をくじかれてしまった。
『どうする?』
レイミーから頭の中に言葉が送られてくる。
『と、とりあえず、私が話してみる』
彼女の声掛けでちょっと勇気が出た。
「一つだけ……一つだけ質問に答えてもらえないですか?」
「……わかった。ただし、ほんとに一つだけだよ?」
聞きたいことは実を言うと沢山あるが、それを何とか一つで伝えられるだけ伝えようと頭をフル稼働させる。
「えーと、私たちの魔法って無属性じゃないですか」
「そうだね」
「無属性の魔法って目に見えて変化がないので、どんなに使っても、何が起こっているかわからないんです。それに味方の強化とか回復ってイメージ付きづらくて、撃ててるかどうかも疑うレベルで……」
「確かに君たちの魔法が練習向けではないのは認めよう。で、質問は?」
ダメだ、まだ頭の整理が間に合ってない。
「は、はい。質問ですが。あの、つまり……私たちにも魔法が撃ててるって実感が欲しいというか、これで魔法が撃ててるんだって気分になりたいというか……」
思っていることをそのまま口にするが、うまく質問になっていない。
「それってつまり……呪文みたいなものが欲しいってこと?」
「呪文……」
本などで読んだ知識程度しかないが、想像通りなら確かに試す価値はありそうだ。
「呪文?何それ」
私が返答に時間がかかっていることを見かねてか、レイミーが代わりに質問をする。
「呪文、それはね、簡単に言えばその魔法のイメージを短くまとめたものだよ。これを言葉にすることで、頭の中でぼんやりと考えているものが明確になって、魔法を幾分か撃ちやすくなるんだ」
「へぇー。あ、もしかしてこの靴の機能使うときの掛け声って呪文だったの?」
「そうだね。あれも一種の呪文にあたるね」
「靴の機能?」
思わず、口を挟んでしまう。この靴に何か機能があるということは全く耳に入ってない。
「あー、そうか美玲は知らないよね!実はねーこの靴、雪面を滑れるんだよ!」
「えーと……どうやって」
「それはね……こうするんだよ!」
レイミーは、靴に指先で微かに触れる。すると、靴裏の形が変形して、丸い楕円のような形になる。
「へぇ~呪文なしでも出来たんだねこれ!っておっと」
レイミーがバランスを崩して後ろに重心が傾く。どうやら、この状態の靴はよく滑るようだ。私は、咄嗟に体を動かして彼女の後ろに回り込む。何とか彼女が地面に倒れこむ寸前に体を下に入れることが出来た。
「へへ、ありがとね、美玲」
「どういたしまして。お姉ちゃん」
お互い見つめあって笑みを浮かべていると、
「そういうのは、他所でやってくれないかな」
怪訝そうな顔で注意されてしまいました。
「ちなみに、美玲のは模倣品なので、その権能は使えないよ」
「なん……だと……」
結局、私がこれを体験することは一回もありませんでした。
「そういえば、この世界の呪文って決まった言葉とかではないんですね」
私の座っている足の間にレイミーが納まった後に、彼女の肩に顎を載せて私はそう口を開いた。
「いや?決め台詞のようなものはあるよ?私は嫌いだから使わないけど」
「はあ」
嫌いというか覚えるのがめんどくさいとかそういう理由な気がするけど、まあそこは黙っておこう。
「じゃあ、私たちの魔法の呪文でも考えよっか」
レイミーの顔を覗き込みながら問いかける。
「そうだねー、参考までにサリーなら何って言うか教えて!」
サリーの方を向くと、少し困惑した表情を見せていたがすぐに考え始める。そういうの嫌いだと言っておきながらそこはちゃんと考えるのかと少し感心する。
「私だったら、エンハンス、ヒールって言うかなー。シンプルだけど」
「それってどういう意味?」
「強化、回復って意味だよ。そのまんまでしょ?」
「ほうほう……どう思う美玲?」
「えーと、いいんじゃない?」
「よし、じゃあ採用!」
殊の外、私たちの呪文は早々に決まった。
門からおさらばして、丘の上で早速試してみることとする。
「エンハンス!」
左手を肘に添えて右手を前に出す、そして力を籠めていく。すると、足元にある雪が少しだけフワッと舞い上がった。これは今までにはなかった現象で、早速成果が出ているのではないかと思っていると、
「お……!!確かに感じるよ!何かはよくわからないけど!」
右手を伸ばした先に立っていたレイミーがそう反応を示した。呪文の効果は思っていた以上にありそうだ。確かに気分も高まるし、今から魔法を使うんだって気持ちが固まるので、撃っている感がすごい出る。
「じゃあ、次は私の番だね!ヒール!!」
相変わらずの両手を前に突き出すスタイルで魔法を放つ。彼女の場合も私と同様に足元の雪が軽く舞った。さっきの様子から察するに、成功したのではないだろうか。……特に何も感じてないけど。
「うーん……ごめん、わからない」
そもそも、回復魔法は傷ついている人に撃たないと効果がないのだ。私は、今特に怪我などしてないし、体調も良好である。
「そっかぁ。でも、今までと違ってなんか撃ててるって感じはしたよ!」
「うん、私から見てもそう感じたよ。でも私、今元気な状態だから……」
「ん?あ、回復するところがなかったから、何も起こらなかったのか!」
「多分、そういうことだと思う」
「なるほど、美玲は賢いね!ならどうしよ。さすがに美玲に傷ついてもらうわけにいかないし……」
確かに魔法の効果を確認するには、だれか傷ついた人を探さないといけない。しかし、今周りに人がいなければ動物なども存在しない。言わばどうしようもないのである。
「そうだね……、あっ」
そこで私は左足を滑らして、思いっきり尻もちをついた。言っておくがこれは決してわざとではない。……ほ、ほんとだよ?
「美玲!大丈夫!?」
「うん、大丈夫……」
レイミーが魔法なんて使わずに急いで駆け寄ってくる。残念ながら、下が雪なので全く痛くなかった。これでは意味がない。
「もう、いきなり倒れるなんて、ドジっ子ね」
「あはは……」
「あ!もしかして回復魔法使わせようとしてわざと……??」
ほんと私に対しての察しの良さは素直にすごいと思う。って、わざとじゃないよ、わざとじゃ。
「そ……そんなことないよ……?」
「誤魔化しても無駄なんだからね。一応、回復魔法打つわよ。ヒール!」
「いや、実は全然雪で痛くなかったから……ってあれ?」
訂正、正直に言うと、若干だけど衝撃はあったのだ。その時の少しだけど、ほんとに少しなんだけどあった痛みが完全に消えた。
「すごい……」
「え、何か変化あったの?」
「うん、ちょっとだけど。ちゃんと回復した」
「ほんと!?よかったぁ」
これで二人とも晴れて魔法が使えるという実感を得たのであった。
お読みいただきありがとうございました!次回も10日後くらいに更新予定です!