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鏡写しの幻想世界(ファンタジーワールド)  作者: 蒼榛(あおはる)
雪の里編
7/35

「嫌だね」から始まる魔法講座

遅くなってすみません!蒼榛です!

今回から少し文章の形式変えてみました。少しだけ読みやすくなったのではないでしょうか……?

これに先駆けて、今までの分も同じように修正しています!ちょっと見直してみたりしてみてください(笑)

「嫌だね」


 返ってきたのは否定的な言葉だった。いや、あんな言い方したら誰でもそう言うと思う。


「そこを何とか!」

「ちょっとお姉ちゃん、止まって止まって」


 手を合わせて懇願し始めたのを見ていられず、慌てて止めに入る。


「ん?どうしたの美玲」

「えーと……ちょっと私がサリーさんと話すから、一旦そこで見守っといて」

「ふーん?なんだか今日の美玲は積極的だね」

「え?そんなことないこともないけど……」


 否定しようとしたが、実際そんな気がしてきたので、そんな返事になってしまった。


「いやあるんかい!ほんと今日の美玲面白いね!」

「そう……かな‥‥?」


 からかわれているような気もするけど、ちょっと嬉しい。


「で、サリーさん。さっきのレイミーの提案なんですけど、私からもお願いしたいです」

「美玲ちゃんまで?なんで?」

「はい、理由ですけど、いや単純に魔法というものに興味があるのは認めます。でも、それよりも帝都に行く際に、自分の身を守る術として覚えておきたいと思ったんです」

「そう、私もそれを言いたかったの!」


 後ろで静かに見ていたレイミーが賛同の意を唱える。私は、彼女の方を向いてゆっくりと頷いて、直ぐにまた前を向く。


「だけど、さすがに何も見返りなく教えてもらうのも申し訳ないので、こういうのを提案したいんです」

「……こういうのとは?」


 私は、元々話すつもりだったことをやっと話せると心の底で安堵する。まさか魔法を教わりたいということをレイミーの方が先に言うとは思っていなかった。


「サリーさんに魔法を教えてもらえるお礼として、田野理沙さんを見つけたらここに連れてくることを約束するっていうのはどうでしょうか?」

「……なるほど。だけどほんとに連れて来れる?」

「それは……頑張ります」


 しばしの沈黙。さすがに今の反応はまずかったかな……


「わかった。だけど、私教えるの下手だからそこらへんは許してね」

 『わかった』その言葉の意味を一瞬考える。それが肯定の言葉だと頭が理解したとき、私の表情は一気に晴れ渡る。


「ありがとうございます!」


そうして、私たちの魔法の修行が始まったのです。





「とりあえず、魔法打ってみてくれる?」


 最初の一言目がそれであった。本当に教える気はあるのだろうか。

思わず小さく呆れたような「え……」が出てしまった。


「いや、突然そう言われても」


 ほら、レイミーもそう言っている。


「まあまあ、簡単なことだよ。片方の手を前に突き出して大きく掌を開いてごらん」


 私たちは、言われた通りに私は右手、レイミーは左手を前に伸ばす。ちょうど私たちの腕が近くで並ぶような感じだ。


「そして、この掌から何かを出すんだ!って気持ちで力を籠めるんだ」


 掌に力を込める。隣では握りこぶしを力強く握っているが多分そうではない。


「違う違う。掌は開いたまま、力を籠めるんだよ」


 案の定、レイミーの方が注意される。


(何かを出すんだ!って気持ちね……。で、出ろーー!)


 目を瞑って強く力を籠める。……しかし、何かが起こるような気配はない。


「何も起こらないじゃん」


 それは、レイミーも同様で私のやり方が悪いわけでもない……とは言い切れないな。


「ふむ……。もしかしたら……」


 サリーが今までに見せたことのないほど真剣な表情で思いにふけっている。


「ねぇ、私に向けて一人ずつさっきやったこともう一回やってみてくれない?」


 真剣さとは裏腹に、差し出されたのはとても奇天烈な提案であった。


「それは本当に大丈夫なんですか……?」

「いいからいいから。私を誰だと思ってるんだい?」

「はあ、わかりました」


 隣に視線を移すと、レイミーもこちらを向いている。お互いに目配せをした結果、先に私がやるということになった。


「では、私から行きますね……え、えい!」


 掌をサリーの方に向けながら力を籠めてみる。……やはり何も起きない。


「いや、そんなことはないよ」

「……ナチュラルに人の心読まないでください」


 彼女は人の心を読む魔法とか使っているのかもしれない。


「で、実際のところどうなんですか?」

「うーん、そうだね。レイミーの番が終わったら、まとめて話すよ」

「……わかりました」


 さっさと知りたいという気持ちもあったが、ここで盾突いてもこっちにメリットがないので、大人しく引き下がる。


「じゃあ、次は私の番かな?いくよーとりゃー!」


 そんな自分の気持ちを察してか、レイミーはすぐに魔法を撃つ動作をする。ちなみに片手ではなく両手を前に突き出してる。あれで魔法が撃ててるのか甚だ疑問だ。


「撃ててるから大丈夫」

「だから、さっきから心を読まないでください!」


 確定。あいつは絶対魔法で人の心を読んでいる。


「それで、どうだったどうだった!?」


 レイミーが目を輝かせながら、サリーの近くまで寄っていく。その気持ちはわからんでもないが、私はそういうのを表に出せない。


「先に結論だけ言うと、君たちが今撃った魔法は無属性魔法だ」

「無属性……?」


 サリーが近寄ってくるレイミーの頭を制しながら、そう答える。

 無属性、つまり属性がない。ということは、魔法が使えないということだろうか。いや、それだとさっきまで言ってたことと矛盾してしまう。


「突然無属性って言われてもわからないと思うから、まずは魔法の属性について少しだけ説明しよう。幻想世界ファンタジーワールドには、目に見えない小さな精霊が空気中を無数に漂っていて、その精霊を呼応させることで超常現象を引き起こすことが出来るんだ。これを世間では魔法って言う。で、その精霊にも様々なタイプがいて、これを大まかに五つに分けたものが属性で、火属性、水属性、風属性、土属性、そして無属性に分類される」

「……それってつまり、無属性もれっきとした属性だということですか?」

「そういうこと。だから、別に魔法が使えないってわけではないんだよ」


 なるほど、どうやら魔法が使えないわけではないようだ。それはそうと、いちいち思考を読むような発言は辞めてほしい。


「へぇ~、じゃあじゃあ無属性の魔法って何ができるの?」

 

 レイミーが頭に乗せられていた手を振りほどきながら質問する。確かにこれは気になるところだ。


「簡単に言えば、味方のサポートかな。身体強化、回復、主にそこら辺がメインになってくる。ちなみにだけど、さっきの二人が撃った魔法は、美玲のが身体強化、レイミーが回復魔法って感じだったかな。あくまで軽く受けてみた感触の話だけど」


 それはつまり、暗にまだ確証が持てるほど大きな変化が起こっていないということではないだろうか。本格的に魔法が使えるようには、まだまだ時間がかかりそうだ。


「他の属性とかって使えたりしないんですか……?」


 ふと気になったので尋ねてみる。どうせ魔法が使えるなら、派手な魔法も使ってみたいじゃないか。


「まずは自分が撃てる属性の魔法に慣れてからかな。ただ、あんまり期待しない方がいいかも」

「それはどういう……」

「最初に適当に撃った魔法が無属性っていうのはとても珍しいパターンでね。さらに言うと、無属性だったとしても基本何か色が混ざってたりするんだけど、君たちの魔法は何も色のない純粋な無だった。つまり、他属性の精霊が全く反応してなかったんだ」

「何それ、絶望的じゃん……」


思わず、敬語が崩れてしまう。

初っ端からテンションがた落ちの美玲ちゃんであった。

読んでいただきありがとうございます!次回は、10日後くらいに更新予定です!

頑張ります!

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