大きな図書館と無認識だった事情
どうも蒼榛です!すみません、投稿までに一ヶ月かかってしまいました。
次こそは、もっと早くに投稿出来るはず……!!(フラグ)
では、今回もぜひ見ていってください!
あらすじ:街の案内をしてくれるということで、アンリについていくと最初に案内されたところは、なんと図書館だった!
「……なんで、図書館??」
外観からして、確かにとても大きくて立派な建物だということはわかる。しかし、案内するというのならもってこう……庭園とか城とかもっと華やかなものを想像していた。
「それを聞いちゃいますか!?」
アンリは、困惑した様子でこちらに振り向く。如何にもその質問はして欲しくなかったって顔だ。はて、それが意味することは
「しょうがないんですよ……。ボッチな私が行くところなんてこんなところくらいですから……」
「あ……」
アンリの目からコントラストが消えていく。
(マズい、これは地雷だったか。でもまあ……)
「それ、わかります」
「……え?」
下向いて、落ち込んでいる様子だったが私の言葉に反応して、視線をこちらへと向ける。
「私ももともと図書室に籠るような人でしたから」
「もしかして、ボッチ仲間ですか!?」
大きな声で普通の人が聞いたら嫌味にしか聞こえない返答が帰ってくる。この時点で、死んでいた目はいつの間にか生き生きとしていた。
「その言い方はちょっと……けど、確かにそうなるのかな……?」
その答えを聞いた瞬間、アンリの表情が目に見えて明るくなった。
「ケイオスさん!こんなところに仲間がいましたよ!!」
「ああ、ただその態度は辞めた方がいいぞ。仲間が離れてくぞ」
「……はっ!すみません!!ちょっとテンションが上がってしまいました!!」
頭を勢いよくペコリとこちらに下げる。さっきまでの落ち込みようがまるで嘘のような動きである。
(この子、情緒が安定しないなぁ)
けど、そこが面白いと少なからず思ってしまうので、私も大概おかしいのかもしれない。
「コホン。えーと、ここに来た経緯はそんな感じでして……で、ですけど!ほんとに素晴らしいところなんですよここは!てことで、いざっ!出発進行!!」
ハイテンションが抜けきっていないのは、私が仲間だとわかったからなのだろうか。それとも行きつけのところに来れた高揚感なのか。それともその両方か。ってこんなこと考えたところで私には答えは導き出せないだろう。
というわけで、図書館の中に入っていったわけだが、なるほど確かにこれは……
「広い……」
左右を確認すると、先がどこまで続いているのかわからない程の長さで、上を見上げれば建物でいったら四階分相当だろうか、それくらいの高さがある広大な空間が拡がっていた。
「ここは、王都にある本が全て集められていて、本当になんでもあるんですよ!この魔導書もここで見つけましたし」
そう言われて、本の数がどれくらいあるのかを確かめてみる。入り口付近は吹き抜けとなっており、上まで眺めることが出来るのだが、その視線の先にある壁という壁に本がびっしりと詰まっていた。見た感じ階段を上がって二階に行くことは出来そうだが、それよりかなり上までびっしりと本が本棚に収まっている。果たしてこれらを取るにはどうするのだろうか。まあ、それは今は置いといて。確かにこれだけの量の本があれば、王都の本が全て集められていると言われても納得してしまう。
「というわけで、元々本好きということなら、ちょっとどれか手に取ってみたらどうですか?お気に入りの本とか見つかるかもしれませんよ!」
「うーん、わかった。じゃあ……」
とりあえず、一番近くにあった本棚の本を適当に取ってみる。見た目はちょっと古めで、厚い板のような紙で挟まれている。ページ数で言ったら300くらいだろうか。
適当にパラパラっとページをめくって真ん中らへんのページを開いてみる。思ってたより一枚一枚が太い。これは、300ページもないかもしれないな。
「……読めない」
開いてみたら、そこには見たことのない文字の羅列が書かれていた。普通に話せているので、文字も読めるのではないかと期待していたが、どうやら駄目なようだ。
……しかし、よく見たらそれらはいつも使っていた文字を反転したかのような形をしている。これは、もしかしたら案外すぐ読めるようになるかも……??
「へぇ、これが本っていうものなんだね」
文字を何とかして解読しようとジーっと本を眺めていると、後ろから肩に頭を載せるような形でのぞき込んできたレイミーが、私にそう尋ねてきた。
「そうそう、これがほ……」
そこまで言ったところで、私は彼女が発した台詞に大きな違和感を感じて言葉が詰まる。
そして、刹那の思考のもとその違和感の正体に気づいた時、私はレイミーの方をものすごい勢いで振り返った。それはもう、ものすごい勢いで。この時に顔がめっちゃくちゃ近かったけど、そんなことはどうでもいい。
そういえばそうだ。なぜ今まで気づかなかったのだろう。
この世界に来て、私はまだ一度も本を見たことがないということに。
「もしかして……本、初めて見た……??」
事実を確かめるために、震える声でそうレイミーに尋ねる。
「うん、そうだよ?」
まるで『そんなの当たり前じゃん』とでも言いたげな言い方だった。彼女を表情を見る。それは純真無垢そのものだった。
私の手から本が、何の抵抗もなく静かに落ちていった。
読んでいただきありがとうございます!
次回は、一ヶ月以内には投稿したいなって思ってます。