レイミーはちょっと殴り込みに行くそうです
どうも!蒼榛です!
今回の話は、当初の構想ではなかったのですが、作品を見つめ直した際に、必要だと思い追加しました
短めですので気軽に読んでいってください
「ちょっとあんたの家行って、殴り込みしてくる」
小一時間話したのち、レイミーはそう言った。
「え、いや、暴力はちょっと……」
あまりにも予想外な反応に自分もちょっとずれた反応をしてしまう。
「実際に殴ったりは多分しないから大丈夫。でも、あんたのその義母?にはちょっと一言いいたい」
……どうしよう、これはもう行く気満々だ。
「それにさ、あんただけ入れ替わるのってなんかずるいじゃん?ここで私も美玲を演じることで平等ってもんでしょ?」
うう……そういわれると何も言えない。そんな自分が辛い。
「わかった。でも、派手なことして警察沙汰とかはやめてよね?」
「警察?まあ、そんな事を荒げるつもりはないよ。安心して」
そう言って、またゲートの方へと向かっていく。
「何ボーっとしてんのよ、美玲、あんたも来るのよ」
どうやら、私も同行するらしい。
「……え?」
「だって、そこにいても退屈でしょ?さあ、一緒に行くわよ」
そうして手を引っ張られ、私たちは、一緒にゲートに入っていくのでした。
「やあ、さっきぶりだね、二人とも」
ゲートに入ると、例の女性が嫌な顔せず向かい入れてくれた。
「ほんとさっきぶりね、サリー=ミーシィア」
どうやら、彼女の名前はサリーというらしい。
そういえば、この顔どこかで見たことがある気がする。どこだっけ……?
「というか、同じ服装だと二人ともほんとそっくりだね」
私たちは向き合って、お互い姿を確認しあう。今、私の服装はサリーの魔法により、彼女と同じ服装となっている。首には赤いマフラーを巻き、肩回りは茶色のポンチョのようなものを羽織っていて、その中は白色の長袖のワンピースを着ているという感じだ。意外とこのポンチョはモフモフしてて暖かい。
「こうやって向かい合うとほんと鏡見てるみたいね」
数秒ほど見合いっこしてから、レイミーがそう口を開いた。
「そうだね」
私も同意する。
すると、レイミーは少し驚いた表情を見せたかと思うと、ニッコリと私に笑いかけた。そして、すぐにサリーの方を向き、奥にある扉を指さしながら、
「そういえば、私、美玲の世界に用事が出来たんだけど、行ってもいい?」
本題に突入するのだった。
「ああ、行くのはかまわないよ。けど、用事ってのは一体どういうものなんだい?」
「彼女の義母ぶん殴ってくる」
また、物騒なことをいってる。
「殴るのはあまりよくないんじゃないかな?平和的解決も時には必要だよ」
「冗談冗談。まあでも、どうしてもそいつに言ってやりたいことがあるの」
そう言うレイミーは、とても真剣な表情をしていた。
「……なるほど、で、どうやってそこまで行くんだい?」
「もちろん、彼女、美玲に案内してもらうつもりよ」
ああ、だから連れてこられたのか。
って思考を巡らせると、レイミーはこっちを見て
「なんか不満そうね。別に案内係を果たしてもらうためだけにあんたを連れてきたわけじゃないわよ」
と補足した。彼女は私の思考をある程度読むことが出来るのではないだろうか。
「話が逸れたわね。案内はしてもらうけど、突然二人で押しかけたらいろいろまずいと思うから、美玲にはどこか目につかないところで待機しててもらうつもりよ。美玲もその方がいいでしょ?」
彼女は、私の事情を知っている。先ほど私が包み隠さず話したからである。その際、私が何度か感情的になったけど、その都度彼女は体を優しく抱き寄せて大きくうなずいてくれた。
「うん、でもどこに待機しとけばいい?」
「そうね……私が見つけられる範囲で隠れといて」
「……わかった」
とりあえず、駐車場の車の後ろにでも隠れていよう。
「ってことで、行ってくるわ。それで問題ないわよね?サリー」
「……ああ、一応忠告しとくけど、極力二人でいるところは見られないように」
「わかったわ。心に留めておく」
そういって私の手を引いて、走りだそうとすると
「おっと、そのままの服装で行くつもりかい?」
それを聞いて、踏みとどまる。
「何か問題でも?」
「問題も何も、そんな服装で美玲の家に行ったら、おかしいって思われるよ」
「??美玲も私と同じ服装じゃない」
「それは、私が魔法で着せ替えただけだよ。ほんとの服装はこう」
そういって私に、ポーチから出した杖を振る。すると、もともと着ていた制服へと服装が変わる。
「へぇ、あっちではこういう服装をしてるんだ。って、あれ?この服今日夢で見た気がする」
今日の夢というワードに私はピクっと反応する。
「そういえば、今朝夢から覚めたら、外にいたんだよね。あれは、いったい何でだったんだ?」
それで、私は確信する。
「多分、それ私と入れ替わってたんだと思う。私も今朝の夢でレイミーの町を見たから」
「ふーん?不思議なこともあるものね。それとも、私たちだからそんなことが起こったのかな?」
頭にはてなを浮かべるような表情をレイミーが見せていると、
「その話、実に興味をそそられるね~」
サリーが話に割って入った。
「おっと、その前に君の服装も変えてあげないとね」
今度は、杖をレイミーの方に振る。すると、今の私と同じ服装へと変化した。
「便利な魔法ね」
そう言いながら、自分の服装をチェックする。
「先ほどの話関連で、ちょっと試したいことがあるから、用事がすんだらまたここに来て欲しい。といっても、ここは絶対通らないといけない門だから、どっちみち来ることになると思うけど」
「そうね、私も美玲の世界にとどまっておくつもりはないし。じゃあ、今度こそ行ってくるわ」
彼女は私の手を取り、来た方とは反対方向にある扉へと向かっていく。
そうして、私たちは扉を開いたのだった。
読んでくれてありがとうございました!次回も、来週くらいに更新予定です!