再会
どうも、投稿遅くなってすみません!蒼榛です!
いやぁ、プリコネとウマ娘ほんと楽しいですね!
では、今回もぜひ読んでいってください!
美玲との通信魔法を切った後、私は勢いよく立ち上がった。
「よし、休憩終わり!すぐ出発するよ、グルース!」
少し遠くで座っていたグルースに声をかけると、彼は驚いた顔をしてこちらを見た。
「唐突だな、おい。ほんとにもういいのか?」
「うん!それよりも早く帝都に行ってみたい気分になっちゃった!」
美玲に会うためにね。本当、今すぐに会いたい!
「まあ、確かにレイミーは初めて来るもんな、帝都」
「え?あ、そうだね。確かにそうだ」
「……何だその微妙な反応は?そういえば、休憩中もなんか動きが挙動不審だったが、前の時といい一体何をこそこそとやってるんだ?」
さすがにそろそろ言い逃れは出来ないか……まあいっか言っても。今気分いいし。
「美玲と話してたんだよ。私たちはいつでも繋がれるのさ♪」
「……は?」
「詳しくは後で!さあ、出発進行♪」
「何が何だかわからんが、とりあえず何かいいことがあったことはわかった」
私はスキップを踏むかのような足取りで、周りを見渡すと自分たちより高いものは見当たらない開けた場所から、誰かが作ったと思われる石段を使って降りていく。
「あんまり、はしゃぎすぎると転ぶぞー」
後ろからゆっくりと歩きながら注意喚起してくれるグルース。相変わらず優しいやつだ。
「はいはーい、足元はちゃんと見るようにするよーっと」
石段を一段一段確実に降りていく。この一つ一つの足取りがこの旅を着実に前へと進めていく。帝都は見えている。終わりはもう近い。
「さあ、さっさと帝都へ行っちゃうよー。待っててね帝都!」
それから、山を下りきるまでの時間は下り坂ってことを除いても非常に短くて感じた。登りの時に感じていた疲れも体の痛みも今となっては、どこかに飛んで行ってしまったようだ。
「さて、後はこの道を抜けるだけかな?」
世界の色が赤く染まり始めた中、私の前には真っ直ぐに道が伸びている。その先には自分の身長を大きく超す門が建っていてが見えて、両端に人影らしきものがある気がするが、あれは多分門番的な何かであろう。
「そういえば、これしか道が見当たらないけど、美玲たちはどこから来るの?」
「ああ、それは反対の門だな。ここが東門でこれと反対側にも同じような門があってな?美玲たちはそこから入ることになると思うぞ」
「ふーん?えーと、それってつまり……すぐには会えないってこと!?」
「まあ、そうなるな」
帝都に入ったら、すぐ合流できると考えていたからこれは予定外である。
「帝都入ってから合流するのにはどれくらいかかりそう?」
「そうだなー、案外大してかからないとは思うが。ただ、あっちがもう着いてるかどうかってとこがまず問題だな」
「そっか、それもあるか」
山からの道のりは体感的にはかなり飛ばしてきたので、自分たちの方が早く付いてる可能性が高い。これは思ったよりも美玲と会うまでには時間がかかりそうだぞ……?
『おーい、聞こえる?』
その時、頭の中で聞きなれた声が響く。さっすが美玲、タイミング完璧♪
『聞こえるよー、どうした?もしかしてもう帝都着いた?』
期待を込めた声で言葉を返す。だって、あっちから通信魔法をかけてきたってことは、そういうことでしょ?
『うん、そっちが急いでる風だったから、ちょっと飛ばしちゃった』
やっぱり。しかし、こっちもなかなか飛ばしてたから、あっちもかなり飛ばしてきたのではないだろうか。いや、単純に距離が短かった可能性もあるのか。
『そっちは今どこ?こっちは今から門を抜けたところなんだけど……』
『はやっ!?えーと、こっちはもう少し門までかかりそうかなー。って言ってもそっちの門とは違うやつだけど』
『うん、ルドーから聞いたけどその門は確か反対側にあるんだよね?』
『そうそう、って私もさっき聞いたばかりなんだけど』
『じゃあ、どうする?とりあえず、私たちはそっちの門の近くまで行っておけばいい?』
『そうだね、それでいいと思う!』
『わかった、ルドーに伝えとく』
それで通信魔法は切れる。よし、殊の外早く再開できそうだ。
「どうした?ニヤニヤして」
グルースが私の顔をのぞき込んでくる。私はどうやらすぐ表情に感情が出てしまうようだ。
「美玲達もう帝都に着いてるって!だから、私たちも急ご!」
「え?それは本当なのか?」
「ほんとだって!さっき話したんだから!さあ行くよ!レッツゴー!」
グルースの手を引っ張って駆け足で門へと向かう。美玲との再会の時は近い。
それから、門の前まで来るのにそう時間はかからなかった。
「では、通行証をお見せください」
門番と思われる人が感情のない声でそう私たちに呼びかける。改めて近くで見るとその門の大きさには驚かされる。ってか通行証?そんなものがいるの?
「通行証通行証……、あっ」
グルースの顔色が一気に悪くなる。え、これはまさかの
「忘れた?」
「いや、忘れたわけじゃないんだが」
「じゃあ、何よ?」
「……グルースが持ってる」
「それって、つまり?」
「ここには通行証はないってことだ」
「……は?」
そこから数秒間の沈黙が続いた。
「予備とかは?」
「ないない、俺たちが持ってるのはグルースが持ってる一枚だけだ」
「じゃあ、通行証なしで入る方法は?」
「そんなの俺が知ってるわけないだろう?」
「なるほど、ちょっと美玲と話してくる」
美玲に通信魔法を飛ばす。
『美玲!緊急事態よ!』
敢えて深刻そうな言葉を使うことで反応を促す。
『緊急事態!?』
予想通り、直ぐに反応があった。
『うん!今から急いで通行証こっちに持ってきて!』
『え?あ、だからルドーは急いで……』
『ん?ルドーが何だって?』
『ううん、多分大丈夫だからちょっと待ってて!』
今の反応からするとルドーは近くにいない可能性がある。けど、大丈夫ってことはどういう……
その時、不意に目の前にある門の扉が開く。誰かが町の外に出ようとしているのだろう。私たちは、自然と門の中に視線が移行する。その先にいたのは、
「やはり、そこで止められていたか。グルース。そしてレイミー」
なんとルドーだった。
「え、なんであんたがここに?」
「門で通行証見せるときに、お前たちが持ってないって気づいたから急いでこっちに向かってきたんだ。感謝しろよ?」
「すごい!気が利く!ほんとありがとう!で、美玲はどこ?」
「淡白なお礼だな……美玲ならすぐ後ろに……」
「えー、見えない……あ、いた!」
すぐ後ろではなかったが、確かにこっちに向かって急いでやってきてる人影が見える。私はそっちに向かって、全力で走り始める。
「美玲!」
「え、ちょ、レイ……ミ゛っ!??」
物凄い勢いで美玲に抱き着いた。美玲の方も走っていたので、お互いの勢いも相まって、美玲には相当な負荷がかかったのだろう。私を呼ぶ声が最後の方は出しずらそうだった。
「ちょっと、レイミー、苦しい……」
そう言われて、初めて彼女を強く抱きしめていることに気づく。私は急いで彼女から体を離す。両手を肩には載せたまま。
「あ、ごめん、つい嬉しくなっちゃって」
「ううん、それはいい。いいけど、今この場でキスとかはやめてよね?」
「え、何で?」
顔を少しずつ近づけていたのに感づかれたのか、先に釘を刺されてしまった。
「こんなみんながいる前では、恥ずかしい……」
目線を逸らして、顔を少し赤らめながらそう言う美玲を見て、何かこみ上げてくるものがあったが、ここはグッとこらえる。
「じゃあ、みんながいないとこで……ね?」
「…………うん」
唇の代わりにおでこを合わせながら、静かに約束を結んだ。
読んでいただきありがとうございます!
次回も10日後くらいに更新予定です!