2020/08/23から
○ 2020/08/23
○ 2020/08/24
○ 2020/08/25
○
夢の中。
霊媒は夢の中の力の行使を現実と同程度には重視している様に見える。空を飛び、遠くへ行き、死した人に会い、心行くまで語らう。それらを力と称する。夢の中での自由。夢の中での幸福。夢の中で不運でなければ良いという考えの僕とは妥協点を探りにくい考えだ。飛行も理想の地も素晴らしい誰かに会うのも要らない。静かに横たわる夢で十分なのだ。僕は現実に生きているのだから。夢の中で柔軟体操をしても現実の筋肉は伸びない。
夢の中で核心の教えを受けたことがない。夢の中には結局僕が知らない事が存在しない。僕は昨日分からなかった事を分かりたい。知らなかった事を知りたい。それには現実が今のところ必要不可欠。現実の肉体から抜け出る事が出来ないのだから。
○ 2020/08/28
財布に金が、少しある。ほとんどないとも言える。
十円硬貨が四枚。一円硬貨がざくざく。以上。
喉が渇く。自販機で冷えた飲料水を買えない。
氷を水道水に氷を。さほど水道水も冷さずに溶けて小さくなる氷塊達。氷周りの水だけが冷たい。水水。ごくごくと飲む。飲めば飲む。又飲む。小さくなった氷をがりがりかじる。ああ喉が渇く。
○ 2020/08/29
親父から100円を借りた。
手持ちの四枚の十円硬貨と合わせて自販機で冷えた清涼飲料水を買う。ごくごくと飲む。終わり。僕は床に臥せった。今日も暑くしんなりして時間が速く過ぎ去るのをただただ待った。ぐったりと臥せっていると何故生きているのかと疑問が浮かぶ。ふやけたまま浮かぶ疑問をやり過ごす。
今日も暑い。
○ 2020/08/30
満足か徒労か。
消耗しつくすまでに何かを得る。それは達成。あるいは次の課題の発見。でなければ虚しい。
若く意欲と体力があるならば、消耗しつくすまでの時間は長い。中年や老年に比べればという意味で。
偽りの満足にすぎないのか。痙攣は。
不要な添え木にすぎないのか。痙攣は。
栄光ある主動ではないのか。痙攣というのは。
どんづまりの枯れた技法にすぎないのではという疑念を払拭できず暗澹たる日々。
満足よ。満足よ。本当に本当なのか。これは。
○ 2020/08/31
○ 2020/09/01
これらの、痙攣や後頭の随意化の技法の問題点。
その大きな点は別に出来なくてもどうとでもなるという点だ。これが出来ないと絶対出来ない何かがあればその為に頑張ろうとなるかもしれないが、これらの技法に今のところそういうのを見いだせない。生来、運動神経が良いとか筋肉がしなやかで可動域が広いとか、生来の体質気質で問題がないなら、強いて欲する理由もないのだ。神秘を欲するような人はまた別だろうが、そのような理由で手に入れたら、その後はさぞ虚しいだろう。良くできた代替品の域をでない技法だから。僕だけがそうで別の人はまた別の結果を導くのかもしれないが。もしそうならいいのだけど。同じ虚しさを噛み締める人が増えるのはまた格別に虚しい。自分だけ虚しいのとどちらが虚しいか比べる機会がないのは幸いなのだろう。
○ 2020/09/03
五年後死後夢の中あるいはその時が来れば。
霊媒はいつも来ない時を待つように言う。霊媒自身はその時が来ない時だとは思っていないのだろうが。
五年後に言うのはもう三年待て。
死後に何を言える。
夢の中は忘れて。
その時はきっと来ない。
力。秘された言葉と導かれる結果。人目を憚り、聞き耳を恐れ、口の端に上らぬようにする。
馬鹿馬鹿しい。
○
2020/09/05
愚行権。
痙攣の保持もできないようでは自身の体について何も知らないと言われる。痙攣の保持しか出来ないようでは世界について何も知らないと言われる。
世界とは、人、物、金、文化、情報だ。
痙攣の保持をできないのは何も知らないから。
痙攣の保持しかできないのは何も知らないから。
どちらもできないのは何も知らないからさ。
○ 2020/09/08
霊媒は夢の様なことを言った。
影も三十番目が出ていった。後六つ出せば素晴らしく劇的な変化があるのだという。何が出来るのか目録でも作ろうかという話があるのだという。素晴らしい事にそうやって何が出来るのか知ることで、出来る様になるのだという。そういう夢見がちな話。お前には素晴らしい力があるのだと説いて、本当にその通りならいいのにね。
ありもしない到来を永遠に待っているようには見えない。
今にも来るのだと信じる者だけがその空虚な嘘に命を吹き込むのかもしれない。
○ 2020/09/10
天気が安定しない。
昨日は雨に降られた。今日は濡れはしなかったが、ごろごろとごろごろと雷鳴が断続し、稲光が時折空を照らしている。
左手首が痛む。痔が痛むよりは気持ちましな気がしている。新しい事は何もなく、ただ時を浪費する。
鈴虫が鳴いている。蛍光灯の音がする。
約束の日は遠く。奇妙はない。
○ 2020/09/14
お化けか。
どうやらお化けが出たらしい。僕が化けて出たのだ。
姉のマンションを訪ね次期総裁を予言したり、これからの暮らしについて熱心に話したんだそうだ。インターフォンごしに。迷惑な話だ。当然そんなことをした覚えがない。
霊媒も相変わらずはしにもぼうにもかからない話を持ち込む。
話の出所は姉だというがどこまで本当なのやら。
姉が夢でも見たか。霊媒がまたホラを吹いたか。僕の頭がおかしくなったか。僕としては夢でも見たんだろうでおしまいにしたい。狐か狸かキジムナアか天狗が悪戯でもしたんだろうよ。そういう事にしておけばいい。それらから苦情が来るまで。
次期総裁の予言は当たっていた。実に順当な当選なので大概誰が予言しても当たっただろうが。お化けなのに手堅く予言したりするのはどうなのだろうか。
○ 2020/09/17
顔を勝手に使うな。
善いことをする。その為に顔を勝手に使うな。
違いない日々に兆しを。その為に顔を勝手に使うな。
顔がないからと。その為に顔を勝手に使うな。
顔を勝手に使う理由にはならない。
誰かの振りをして何をする。誰かの顔で話し掛けて。
そうして何が変わったのか。何も変わりはしない。
誰かの顔を使っていい理由などどこにあるのか。
そう思うが。本人ではないが本人の顔をした何かはありふれている。
○ 2020/09/18
観劇。
自身から脱け出した何かが行った。それを人伝に聞く。
それは善いことをしたんだろうよ。それを人伝に聞く。
それを人伝に聞く自分は何なんだろう。脱け殻だろうか。
不思議な事が行われた。それをすっかり終わってから聞く自分。日々の成果は出て行った。賞賛の中。栄光に復した。
それを聞く自分の虚しさ。何処かの誰かが偉大な栄光に復した。感謝の言葉がある。自分に対しての言葉が。なんと虚しいのか。その言葉は。後ろ足で砂を掛けられたのと何が違うのだろう。終わった後で聞く言葉は。
○
許せるだろうか。
顔と名前を使われても。
咎め立てて返ってきた言葉がワザが欲しくないのかという言葉でも。
勝手に使うなよという事を理解出来ない知性の持ち主達と交流しなければならなくても。
どんなワザなら喜ぶだろう。上の空な言葉が出ても。
それを聞く僕の気持ちを理解させる事が出来たならどんなワザがまだ必要だというのか。
悲しいかな、決して理解しないだろうし、ワザも何もないだろう。願望と予想と予定の混ざった夢の中の存在達には。人間の限界などどうでもいいのだ。
不思議でしょうがないのだ。透明になったり、遠くへ瞬時に移動したり。それらを望まない事が。
そろそろ四十絡みの男がそんな事を望まない事を本当に分からないのだろうか。分からないのだろう。なんて、愚かなんだ。そしてそれを理解させてやれない僕もとんだ愚か者だ。愚かな輩が集まってお互いに不思議がっている。