2021/03/26から
○2021/03/26
天気よし。風つよし。桜はほぼ満開か。
家族は僕を病人だとしたいらしい。病院で薬を処方されなかった事を詰められる。正直に訊かれた事に答えて処方されなかったのだからどうしようもないと思うが、それではきっと駄目なのだろう。あわれで惨めでどうしようもない病人の方がいっそ行政が手を差し伸べやすいのだろうか。
まあ、たんなる怠け者よりかはきっと差し伸べやすいのだろう。今日もいい日だ。散歩にでも行こうか。散歩から帰って来た後だが。何だか誰もいない家がよそよそしいから。
○2021/03/27
おだわら。
おだわらに行ったのは失敗だった。そう言われた夢。
夜道の夢。
肋骨から下が存在しない裸の女性が群れて浮いている。
目に嫌らしいモノを感じるのは偏見だろうか。ぬらぬらとした眼球。放り出されたままの乳房。長い黒髪。友好の笑顔か、獲物を見るが如くか。薄ら寒く感じる。あるいは感じようとつとめる。なむあみだぶつ。少し進む。女性をかき分けて。なむあみだぶつ。腕に乳房が触れる。なむあみだぶつ。手のひらに乳房が触れる。なむあみだぶつ。少しずつ進み続ける。なにも思わず。一つ一つ丁寧に小さく間を置いて、なむあみだぶつと念ずる。目が覚めるまで。
裸の女性達に囲まれるのがこれほど寒々しいとは、夢とはいえ夢が壊れる。
○2021/03/29
満月は過ぎた。何事もなく。一つまた数だけが増えた。三十七。静かな家に冷えた空気が沈澱しているようだ。
四月は今のところこれといった話がない。活発に何かをするという事はなさそうな月。
ケーキを食べた。供養として。影への貢ぎ物として。
痙攣した。空っぽの人間として。自らへの慰として。
○2021/04/02
新年度はじまる。
が、これといった事もなくぶらぶらとしている。風が吹いている。ふらふらと歩く。通りの和食料理屋が駐車場に椅子と机を置いている。机には灰皿もある。料理は、外食は野外で食べる時代か。横目で見つつふらふらと進む。椅子には誰もいない。机には空の灰皿。黄色い夕暮れ。走る子供。桜か。ふらふらと落花。新緑はみずみずしくすっかり春か。静かな家に帰ろうか。夕暮れが暗くなる前に。
○2021/04/04
風と雨。
ぼつり。ぼ。ぼ。断続して大きな音が家に響く。背景には途切れない細やかな流水。からからの舌。夕暮れは既に暗く、掴み所のない日が過ぎた。ただ痙攣がある暮らし。
実際より膨らんだ実感がある。膨れ上がった事実を虚構というのか。ない内実を錯視しているのか。囲われた小さな手順。曖昧さが庇護する自由。規定からの脱走。支払われた代価は孤立。曖昧さが膨張させたものの不穏さ。
我々は一つ。我々は同じ。その後にくるあれは違う。同じ過ぎるかさもなくば違い過ぎるか。仲間という敵なのか。家が鳴る。雨に打たれて。
うとうととううとうとう。
うがまあ。うがまあを僕はできない。
ううとうとできない僕は家に帰ろうか。
○2021/04/09
タッパー。
タッパーに入っていた茹でたブロッコリーが腐っていた。
茹でたブロッコリーの腐敗は早い。
数日前にもやってしまった。さよならブロッコリー。
見逃された冷蔵庫の片隅でむいに腐ってしまった。忘れられたブロッコリー。申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
冷蔵庫の野菜は何故だか長持ちするような気にいつもなる。
思っているよりずっと早く駄目になるのにね。
○2021/04/12
自分の事は自分でやれよ。 後は
夢に出た死んだ父親の言葉は途切れた。僕の返事を聞いた後に。胸が潰れたような苦しさのなか答えた言葉は一言。わかったよ。小さ過ぎて聞き取れなかったのか。聞き返された。頑張ってもう一度答えた。わかったよ。
なんと夢のない応酬だろう。命の秘密もない。シゴノ教えもない。具体もない。身も蓋もない。自分の事は自分でやれよ。そして後は。で途切れる。
二度目の邂逅は一度目よりは少しだけ苦しみが緩和されていた気がした。
○2021/04/14
携帯電話の店舗。
店舗の光回線解約の確認中。
春風がほどほどに吹いている。
日光もさんさんとてる。風光明媚か。
店員さんが来た。解約済みとのこと。
なんの問題もない。なにも。
刀。
軽い。持つだけでは胴体の筋を収縮させない。
重い。速く動かそうとすれば胴体の筋を収縮させる。
変動する。使ううちに筋を発達させ重かったものは軽く、使ううちに疲労させ軽かったものは重く、感じる。
鋭く、怪我を容易にさせる刃が傍を行き来する。疲労する。
もう使うことのない刀を思った。
○2021/04/19
おたま。
食器を洗う。はし。おたま。皿。丼。
洗剤を擦り付け洗い流す。大きいものから小物へ。指で擦りつつ洗う。はしとおたまをそろそろやるか。はしを洗う。
おたまを洗う。ざりざりする感触。ずくっ。痛み。人差し指の腹に血が。切れている。欠けたふちが引っ掛かったか。三十年位あるおたま。指をやられた。
○2021/04/26
痔。
調子が悪い。患部に熱と痛みを感じる。薬を塗り、薬を飲み気をつけていてもこれとは、内科で薬を貰うだけでは完治しないのか。肛門科へ行ったほうがいいのかもしれない。
倒立。
床を見ずに、手元を見ずに向こうを見たままに。よっこらせと倒立する。側転ぎみに。視界はくるりと回転する。逆さまの景色。空の倉庫は逆さでもあまり代わり映えしない。
手首、肘、頭、痛みなし。逆上せなし。楽なものだ。壁はまだ、いまだに必要だけれども。それでも楽になったものだ。
ささやかな変化でしかなく、さほどの意味もないのだとしても。
○2021/04/26
つきそい。
霊媒は転んだ。顔から落ちた。両手に重い荷物を持っていたから。左顔面。目の近く。バトルマーク。
内科で紹介状を書いてもらう。脳外科でCTやらなにやらをとるのだそうだ。足を引っ張られた。そうだとしても、そうでなかったとしても転んだ。何もない道で。
夢。
いつもより早く目が覚めた。父の夢を見たせいだろう。泣きながら目を覚ます。これで三度目か。回数を重ね、父はじょじょに気楽になっている。死者の夢を見る。死者と気付くまで。気付く。夢は終わり。悲しい気持ちが満たす。そうして
待合室。
一時間たったか。血液検査もついでにするそうで待っている。置かれたTVは情報を流し続けている。有線はイージーリスニング。クラシック。関係のない音が混在する空間。
居心地は悪くないはず。早く帰りたい。お薬手帳はどこやったかな。目につくように置いていたら片付けられてどこかにいってしまった。
流行り病はますます流行り、居心地は悪くなる。
待ち時間は長い。現実は留まる。
長い長い準備は終わることはない。
○2021/04/29
切断。
回線の切断に立ち会えと言われて午前9時の倉庫へ。
装置も返却するべくまた持ち込む。窃盗を警戒し自宅に持ち込んでいたものだ。手続きから一月位か。始めるは早く、止めるは遅くか
作業がおわった。装置も返却。しかし一つ残る。小さい装置は買ったのだったか。まあいいか。空気の入れ換えのためにあけた窓を閉めよう。空っぽの倉庫。風が吹き抜けて心地よい。いったん家に帰るか。
○2021/05/04
おわり。
今日も終わる。目に疲れて。風が吹いている。新しい発見もなく。いや、一つ試した。片方の足首に布をまく。片方を長く余して。結ぶ。簡易な取っ手をこさえる。足を後ろへ。後頭へ近付ける。後屈させる。二度三度と結びがほどける。試行しほどよかろうと思われるところを探す。
体幹が弱いと言われた。体幹が弱い。体幹が弱い。いったん後屈を止める。結びを緩め外す。逆の足首に布をまく。もう一度始めから。
○2021/05/06
下には善意が、上には善行がある。
椅子を壁に寄せて置く。椅子の前で倒立。壁に足。ずるずると降ろす。椅子の背もたれへ到着。片足をそこからそろそろと降ろし足を着席させる。もう一方も。頭を着床させる。椅子から少し離れるように頭を前進。一回。二回。一息。
足を床へ。片足ずつ。ともに到着。床へたおれこむ。仰向けで。ゆるやかに。
○2021/05/09
ぴょんぴょん。
ぴょんぴょん。床を跳ねる。足と手を着け、跳ねる。
前へ、後ろへ。せっせ。せっせ。
凸。
倒立し壁のでっぱりを足裏で掴む。ゆっくりと降りていく。ぺたりぺたり。足が窮屈になる。身体を揺らし片手を床から離し壁から離れる。ちょこちょこと腕で歩く。窮屈さが和らぐ。また足を床へ。頭を床へつける。顎を開く。ぬわっと壁から床へ。片足がつく。もう片足も。つく。床へたおれこむ。む。
○2021/05/14
さむい。
筋力がおいついたのか。あったまらない。
倒立も、橋も、うっすらと汗をかく。冷たい皮膚。
ぐにゃぐにゃ。軽いふるえ。腹を伸ばして冷たい背中。
もう少し温かくなれば寒くはなくなるのだろうか。
動いて伸ばして冷たい。効率化は冷却。動いても冷えていく。背骨を後屈させてにじむ汗の冷たいこと。痙攣混じりの分散に冷たさがへばりつく。
○2021/05/20
なくもない。
ムカデが頭に降ってきた話を聞く。前にもあった。今日もあったのだろう。二度もムカデが降ってきたとはよくある話なのだろうか。
五月も後少しか。進展は当然のようにない。
痔はだいぶん調子が良い。油断せず薬を飲み、塗り、治療を完了させたい。
公園のベンチの前にペンキ塗り立て。
工事現場のついたてにテープが×の字にはられている。テープにはペンキ塗り立ての文字。三日も四日もある。気がする。
このまま使用中止にしておくのか。厚く塗り直されたつやつやしたベンチ。座る人のいない椅子から新品の雰囲気が漂っていた。
そさいあるいはバリケード。
阻塞ではなくバリケード。現場のあれはバリケード。
阻塞でいいじゃない。でもバリケード。
橙色の錆のはたらきもの。二十一世紀になっても現役だ。
そんなバリケードもいつか見なくなって老人の思い出の中にしまわれてしまう日が来るのだろうか。いつか。
○2021/05/22
くさ。
古い。繰り返された所作。繰り返されて繰り返されて新しいもののない諸々の動作達。試すことのないありふれたものたち。飽き飽きしてくる。冷えた身体を揺らしこなす。発見がない。喜びもない。後は待つばかりなのか。何かを探す。ふりさえできないのか。
○2021/05/25
ひえ。
額がよく冷える。月が丸く、ずいぶんと丸くなった。明日は満月。中年の下り坂を降り始めたばかりの身体が冷える。冷えて太りやすく、冷えて静かにしている。額が冷える。前髪への血行に良くないのでは。言葉が浮かぶ。額に横一文字の冷えの線。まあいいか。
○2021/05/29
ちりん。
カーテンを閉めた。忘れられた風鈴がちりんとなった。暗がりを閉め出した。空は群青。星も月もない。薄暗い外から逃げる。室内の灯り。名前の思い出せない友達の顔をふと思い出す。休息。隣の部屋から映画の音声が聞こえる。字幕だろうか、英語のように聞こえる音たち。伴奏。心情を促す音のつらなり。痙攣が必要なものなどあるのだろうか。
新しい痙攣者を育成するのにさえ痙攣は必須ではないのではと思う。痙攣者はおちいりがちな先祖帰り、あるいはありふれた突然変異。胴体部を振動させるという拍子、連動。概念。みなおまけ。なるやつはなる。気付くか気付く前か。少し遠いか少し近いか。諦念。
痙攣にしかできないものなどどこにもないのだ。
忘れてしまった友達を懐かしく感じる。
暖かい夜の景色。
○2021/05/31
まち。
荷物がこない。12時から2時の間と聞いたのに。もうすぐ3時。こない。どうしたものか、出かけるか。日付を勘違いしていて今日は来ないのか。待ちぼうけをくらっている。
どうせ、たいしたものではないのだ。もう待つこともないのでは。気晴らしに外でもぶらついた方がよいのではないかとぼんやりと考える。ぐったりと椅子にもたれながら。ああ来るなら早く来ないものか。来ないなら来ないで連絡が来ないものか。どうしたものか。夕暮れが近付く。むいに時が過ぎる。排便を我慢しながら待った時間は無駄だったが、その時に荷物が来なくて良かったと思おう。あとどれだけ待てばいいのだろう。夕暮れに途方にくれる。3時か。静かな時間が続いている。
○2021/06/04
暗黒啓蒙。
○2021/06/05
うん。
街路樹の伐採。切断音が響く。機械が唸りをあげる。
道の向こうを覗き見て鬱蒼とした木々がなくなる様を想像した。それはすぐに現実になるのだろう。せっせと刈り込んでいるのだから。
停滞にもすっかり慣れっこ。こうなって久しいがどうしたものかと考えても良い案も浮かばず。だらりだらりと時を浪費する。新しいというのはどういうことか、最後にそう感じたのはいつだったか。ちっとも思い出せない。見上げる木の先が風に揺れている。木を見上げるのはただ。無料。松の木の静けさ。風中に静かに揺れる松の木の。
○2021/06/07
寝そべり主義。
○2021/06/08
チャヴChavs。
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