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箒に乗ると言う目的が失踪しています

「ウワーーン!痛い…んです!酷いん…です!どう…して…止めて…くれないん…ですか!ウワーーン!」


 うん、知ってたよ!アマミちゃんのことだからこれぐらい食らっても大泣きで済んじゃうことぐらい知ってたよ!と言うか、最近こんなことばっかりしてない?もう少し自分を大事にしようよ!


 アマミちゃんが大泣きしているのでアマミちゃんを抱いて頭を撫でてあげる。少しでも怖い思いをしたならこれで少しは落ち着く…はず!保証はない。残念。そのうち煙が晴れてきた。


「な、何がどうなったかぇ?」

「アマミ?大丈夫か?」


 二人の顔が見えたので両方を睨み付ける。いったい僕のアマミちゃんに何してくれるんだといった形である。え?僕のアマミちゃんじゃない?いやいや、アマミちゃんは僕のものじゃないの?異論は認めません!


「いや…すまなかったぇ。久し振りに会ったからちょっとやり過ぎちゃったぇ。」

「すまない。魔法使い足るものこういった戦闘は良くあることなのだ。人間相手では只の弱いもの虐めだから襲われない限りは攻撃しないが…つい200年前より前の癖が出た。」


 魔法使いって戦闘民族なの?!新たな歴史の幕開けである。…いや、それはないか。あくまで目の前の脳筋だけと言うことにする。実際、魔法使い同士の戦闘なんて見たのはここが初だし。と言うより、200年前の癖って何?!それもう絶対忘れてるよね!再び出るものなのそれ?!


「アマミちゃんがボロボロなんですけど、どうしてくれるんですか?」

「そうか?見たところアマミが泣いている以外お互いピンピンしているが?」

「精神論です。アマミちゃんが二人を止めようと何度も騒いでいたでしょう?」

「すまない耳が遠くなってな。聞こえなかった。」

「わしも年だねぇ。普段なら聞き取れるんじゃがねぇ。」

「自分も500歳だ。仕方がないんだろう。」


 おい、JJIにBBA!都合のいいときに難聴になるな!絶対聞こえてたよね!その雰囲気絶対聞こえてたよね!


「うわーん。ミズハさん…痛かったんです、怖かったんです!」

「よしよし。もう大丈夫だよ。二人とも喧嘩はやめたみたいだし。」

「本当ですか!さすが魔女なんです!最強なんです!」


 なんか急に開き直ったぞこの子!ねえ、この展開についていけないのは僕だけ?ま、まあいいか。


「ところで、アマミちゃんへのカウンター魔法はどうなったんですか?マジーラさんは発動していたように見えましたが。」

「そう言えばそんなのあったな。」


 おい、師匠がそんなんで大丈夫ですか?!


「それがねぇ。呪文を唱えたのは見ていたがねぇ。マジーラ殿が発動したのは見たんだけどねぇ。魔女様は発動していなかったように見えたんだねぇ。だから、マジーラ殿だけを攻撃したんだねぇ。」

「それにしてはカウンター魔法が発動した後追撃があったと思ったが?」

「それはカウンター魔法でワシか店を吹っ飛ばそうとしたのが悪いねぇ。」

「うん?」

「喧嘩は止めていただけませんか?アマミちゃんは体を張って止めるだけですが、僕は命を奪います。」

「お姉ちゃんダメなんです!殺しちゃダメなんです!目が光ってるんです!」

「わ、わかったぞぇ…。」

「わかった。落ち着け。」


 なんかどっちも急に顔色真っ青で僕を見てきたんだけど?そんな怖かったかな?


 僕はいたって優しい女の子です。男装はしているけどそれでも優しい女の子です。たまに剣士をノックアウトしたり熊を一撃でノックアウトするけど優しい女の子です。大事なことなので3回も言ったんだからそんな化け物見るような目で見るな!


「そう言うことだから、魔女様がその箒をうまく使えるかは微妙だねぇ。」

「そうか?確かこのカウンター魔法は魔法使い用の魔法なんだろう?アマミは魔女だ。魔力以外の理由で使えない可能性もある。

 第一、今アマミは自分等の攻撃を平然と耐えて見せた。あれだけの威力、相当な耐久魔法なりなんなりを使わないと無理だ。それこそ魔力は十分にあると思うが?」


 話を聞いていると、アマミちゃんが箒に乗れるか否かで揉めているようである。絶対乗れると思うけどなぁ。しかも相当余裕で。


「新しい魔法を覚えたいんです!そうしないと箒に乗っちゃいけないんです!教えてほしいんです!」


 アマミちゃん?因果関係がおかしなことになってるよ!乗っちゃいけないとは誰もいっていないよ?!


「うーむ…魔女様基準で測るとなるとわしもわからないねぇ。」


 どうやらお手上げのようである。


「実際に乗れば早いと思うんですけど。」

「駄目なんです!魔法を覚えないと箒に乗っちゃいけないって書いてあるんです!」


 書いていないよ!捏造しないでよ!


「アマミ?別に魔力が足りるかどうかの話だぞ?魔力が足りれば十分なのでは?」

「嫌なんです!何か覚えるんです!卑怯なんです!」


 やっぱり目的変わってるじゃん!あーこうなったら、納得させないと箒に乗らないぞ…?


「すいません。アマミちゃんがカウンター魔法を使えないとして、何なら問題ないでしょうか?」

「いやミズハ。店長も自分も魔女の事について詳しくわからないのだ。おそらく自分等が提示してもアマミが出来ると言う保証がないし、それでは箒に適しているかどうかは分からん。」


 うーん、何とか上手くアマミちゃんを納得させる方法は無いだろうか。とにかく、店長さんが◯と言わなければ納得しないと思う。とはいえ、店長はアマミちゃんの魔力を測定できないし、使える魔法で判断するのは魔法使いと魔女では専門が違うので難しいみたい。


「えっと、そのカウンター魔法ってどういうところで魔力を多く使うんですか?」

「うむ…?どう言うことじゃ?」

「えっと、僕はアマミちゃんと結構長く過ごしているので魔女云々は良くわかりませんがアマミちゃんの事ならある程度わかります。だから、そのカウンター魔法で魔力を多く使う部分をアマミちゃんが使えそうな魔法で代案するのはどうかなと思って。」

「うむ。それはよい案かもしれんが、店長は自分よりも魔女の付き合いがない。アマミが使えそうな魔法だとしてもそれを店長が評価できなければ意味がないぞ?」

「そこは考えます。アマミちゃんと相談しますので。」

「そうか。だそうだ店長。カウンター魔法で魔力を取り分け使う部分はどこだ?魔法を耐えるときか?放つときか?それとも発動そのものか?発動した後とかはないよな?」

「うーむ。そうだねぇ。カウンター魔法は呪文さえ覚えれば基本は誰でも放てるのじゃ。じゃから、わしは放った後どれだけ耐えれるかを見てるんだねぇ。受けた魔法をどれだけ耐えれるかと言うことだねぇ。

 全然耐えれなければ、少し魔法を食らえばカウンター状態が解除されてしまう。即ち反撃はできないんだねぇ。

 ある程度、魔法を耐えることによって魔法を蓄えて放つ。これが鉄則だねぇ。そしてそこに魔力量が依存するのじゃ。使う魔力が多ければ多いほど、耐えれる量が増えるねぇ。」

「ギャー、木さんがズタズタなんです!お店に穴が開いているんです!痛いって叫んでるんです!治療するんです!」


 今さら感だよ!急に明後日の話にしないで!とか言いながらアマミちゃんまた手を伸ばしちゃってるし。

 ツッコミが仕事を放棄しまくっている件。主人公は残念ながらボケキャラ枠です。

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