問題:子供に対し、自分で勝手にお金を作ってはいけない理由を説明せよ
好きにお金が作れれば、貧富の差なんて言う不平等は無くなる筈なんです!! by 魔女の娘:アマミ
「アマミちゃん?ところで、お金どうしたの?アマミちゃんそんなに沢山バナナを買うお金あったの?」
僕とアマミちゃんの稼いだお金は僕が一括管理してる。と言うよりアマミちゃんに持たせたら絶対無くなるからね!使いすぎではなく何処かにおいてくるパターンである。
「お金なら作れば良いんです!簡単なんです!」
成る程。その手があったか…いやいや駄目だろ!偽札じゃん!犯罪じゃん!現行犯じゃん!
「おい、アマミ?どう言うことだ?」
「はい!お金が足りないので作ったんです!これで沢山買ったんです!」
「…おい…!アマミ!!!」
「マジーラさん。僕に託してくれませんか?アマミちゃんの世話をするのは僕です。流石に何を言いたいのかわかります。僕に任せてください。」
いきなりシリアスになろうとしたので全部僕が回収する。こんなところでアマミちゃんが連行されたりしたらたまったもんじゃない。
「マジーラ殿?急に顔色を変えてどうしたのじゃ?」
店長さんはどうやらこれだけの情報では何が起きたのか分かっていないらしい。助かった。
「ミズハ?流石に分かっているようだが、お金の偽造は…」
「分かってますから言わないでください。」
アマミちゃんを強引に引っ張って店の奥に連れていく。別に説教する気はない。ただ、流石に繰り返されるとあれだし…。
「ミズハさん?!どうしたんですか!マジーラさんが急に怖くなったんです!何がどうなっているんですか!」
実際僕も怖かった件。力ずくだったら僕もアマミちゃんもマジーラさんは倒せないと思うけどそう言う意味じゃない。うん。
「アマミちゃん?お友達はどうしたの?アマミちゃんしか今いないけど。」
「はい!捕まってしまったのでバナナを配った後別れたんです!余ったので持ってきたんです!」
「そう。因みにアマミちゃんはお金を作ったとき誰かに見られたりした?」
「見えないんです!私の財布の中で自動増殖させたんです!問題ないんです!」
見られていないだけ少しはましかな?見られていたらそれこそもっとややこしくなる。…いやいや、自動増殖って何?!お金自動生産させたの?それ、許可されたら経済ぶっ壊れるよ!
「えっと…その財布は?」
「はい!これなんです!もう作っていないので余ったお金だけが入っているんです!」
「了解。ちょっと見せて?」
「どうぞなんです!作りたて新鮮なお金なんです!」
新鮮なお金ってなんだよ!そのうち腐るのそのお金?!僕が持っている本物とアマミちゃんが作ったものを見比べてみる。…うん、本物にしか見えない件!模様から生産番号から全て。透かしや角度によって見え方が変わると言ったものも見事に再現されている。アマミちゃんが引っ張り出した偽物の生産番号も全て異なっている。逆にこれを偽物と言えるのかすら分からない件…完全犯罪だよこれ…!
取り敢えずこれからの方針を考える。もうこれは隠蔽で良いと思う。絶対ばれない。言わなきゃ絶対に。断言できる。実際僕は過去をネチネチ言う奴が大っ嫌いである。終わったことをあーだこーだ言われたって直らない。歴史は変えれないんだから。それより未来を変えた方がよい。
「アマミちゃん?取り敢えず、アマミちゃんの魔法は凄いことは分かった。うん、認める。」
「エヘヘ!ミズハさんに誉められたんです!もう一度抱き付くんです!」
僕が方針を考えているうちにアマミちゃんはバナナを消費した件。そのまま抱きついてくる。うん、可愛い!頭を撫でてあげる。
「アマミちゃん。1つだけ約束して欲しいんだけど良いかな?」
「約束ですか!ミズハさんとの秘密の約束なんです!みんなに自慢するんです!」
それ秘密になってなくない?!
「えっと…お金を自分で作っちゃうのは止めて。ほら、冒険者みたいに物を売ってその結果お金を貰うとかそう言うのなら良いんだけど、お金そのものを魔法で作るのは止めて。うん。間違いなく、アマミちゃんは魔女だし魔力がおかしいから誰にも偽物なんて分からないお金を作れるのかもしれないけど本当に止めて。うん。」
「どうしてですか!だったら、バナナをプレゼント出来なかったんです!ミズハさんと旅をしていたときみたいに雑草をプレゼントすれば良かったんですか?!
第一、このコインとか紙切れがそんなに特別なんですか!そこら辺の紙や金属と何が違うんですか!これを持っていないだけで何も出来ないなんて不平等すぎるんです!酷すぎるんです!」
雑草を渡すのは衛生上よくないかな…僕らじゃないんだし、うん。と言うよりただ増やすだけならそれこそチョコバナナを増殖させた方が良かったような気がするけど…いやいやそう言う問題じゃないよ!
お金には基本的に価値があるんだよね。確か、本来は金と対等関係にあって金を持ち歩くのは大変だから代わりに通貨が出来て…でもそのうち面倒臭くなってこの世にそんなに金がないのに紙幣ばっかり作ったからお金の価値が意味不明になって…今では架空の価値の通貨が1京以上あって…じゃない!そう言う世界の裏話をしたいんじゃない!
「アマミちゃん?アマミちゃんはどうしてお金を勝手に作っちゃいけないか知っている?」
「分かんないんです!どうしてですか!」
「うん。これは色々複雑な話が絡んでいるんだ。だから理由がわかるまで作っちゃいけない。まあ、逆に理由さえわかれば作ろうとも思わなくなると思うけど。最も、それでも勝手に作る奴が国レベルでいるから訳分からないんだけど。」
「分からないんです!」
「分からないならそのままで大丈夫だから。だけど、分からない限りお金は勝手に作らないで。理由も分からないでお金を増殖させると取り返しのつかないことになっちゃうから。アマミちゃんなら分かってくれると思う。」
こんなの大人だってちゃんと説明できないに決まっている。だから僕は叱るのではなく諭す方を選ぶことにする。語りながら、まだ抱きついてくるアマミちゃんの頭を撫でてもう片方で抱きつき返してあげる。
暫くアマミちゃんは僕の胸に顔を当てたまま黙っていた。暫くしたら…
「よく分からないんです!だけど、ミズハさんが心配してくれていることは分かったんです!秘密の約束なんです!分かったんです!お金は作らないことにするんです!守るんです!」
と言ってくれた。うんそれで良い。笑顔も最高、120点!最後はただの自己満足ですが何か?
とまあ、まとまったので再びマジーラさんのところに戻ります。




