リアルとフィクションは違うもの。
シンデレラコンプレックスそれは、米国の女性作家が1981年に提唱した概念である。
自立できない女性がシンデレラのように自分を幸福にしてくれると思い待ってしまう心理のことである。
勿論現実にそんなこと起こるわけがない。
ただやはり理想を持ってしまうのが女性の本能だ。だから私は彼が迎えに来るのをじっと待つ。
と言う文章の小説を今読んでいます。初めまして小鳥遊 空音です。
いやいや、おかしいでしょ!友達に勧められて読んでるけど、なんで!自分から行けよ、その男好きなんだろ!
まぁ、これはフィクションだから多分男は女の理想通り女を迎えに行くだろうけども。やっぱり女の子が受け身になりすぎる話は好きじゃないな。
シンデレラもそう、かなりひどいこと言うけどシンデレラって結局なにした?
ただ意地悪な継母にいじめられて泣いていたら魔法使いが現れて、綺麗なドレスを着せてもらって舞踏会で王子と踊りそして、ガラスの靴が足に入ったから結婚って・・・シンデレラもっと活躍してよ。
12時過ぎても王子と踊り続けなよ、王子だってシンデレラに惚れているんだから貧相な姿でも受け入れてもらえたよ。寧ろ「そんな貧相な娘と王子を結婚させられるか!」と周囲から反対されても「私は王子様を世界で一番愛しています!!」とシンデレラが言ってくれたらさぞかしかっこよかっただろうに。
おっと理想のシンデレラを語ってしまった。
まぁ、結局なにが言いたいかというと、少女漫画でも女の子はかっこよくなって欲しいと思っているということ。
普段は内気なのにいざという時は愛する人のため何でもできるとか、やばい推してしまう。
でも、現実はとてもシビアなので、少女漫画的な展開はない。
ある日クラス一のイケメンに話しかけられる。ないない。そもそもクラスメイト公認のイケメンがいない。
ある日再会した幼馴染が主人公を好きだった。ないない。私幼稚園が同じ人と高校で再会した、しかもクラスも同じだったのに一度も話していない。もうすでに一年が経っているが未だ話していない。
現実はいつもそんなものだ。
だから、私は想像していなかった。まさか私には前々から決めていた婚約者がいるなんて。
「空音、今日アイス食べて帰らない?」
そう話しかけて来たのは私の友達の有希子だ。
「いいよ、今日も暑いし」
「やったー」
そう今はまだ五月なのにこの気温の高さ、異常気象はここまで来たか。数年前はあり得なかったぞ。
それから、適当に終礼が始まり、適当に終わった。
「いやー暑いね」
「そだねー」
「有希子いきなり流行語使うなよ~」
「はは・・・暑さ半端ないって」
「懐かしい・・・・」
暑さのせいか私たちは今正気ではない。
有希子の流行語好きが発動してしまった。
「そういえば、空音ちゃんと小説読んだ?」
「あーー読んだよ、途中まで」
そう言うと有希子の顔がパァと明るくなって抱き着いてきた。
「やっぱり、主人公の男の子かっこいいもんね!!大好きな人のためにあんなことできる男の人憧れちゃう!」
そう私に小説を貸していたのは、有希子だ。
有希子の口振りからするとやはり女子というものは攻めてくる男子にハマるのかな。
私には全く分からないな・・・。
「はい、おまちどお!200円です!」
私は財布から200円を出す。
「ありがとうございました!!」
店員の男の声が煩くてさっきよりも体感温度が3度上がった。
炎天下の公園にアイス屋が来ていた。今年も気温の上昇が早く五月にも関わらず来ていたらしい。
「ん~甘い!冷たい!」
先に買ってベンチに座ってアイスを食べていた有希子が若干興奮気味に騒ぐ。
私もさっき買ったばっかりのアイスを口に運ぶ。
おいしい、イチゴの酸味とアイスの甘さがマッチしてグッジョブだ。
あの店員見かけに寄らずいい仕事しているな。
女友達と二人でアイスを食べる、なんか高校生みたいだな、高校生だけど。
隣でおいしそうにアイスを頬張る有希子を覗き見る。本当にこいつはいいやつだ。
高校一年の春私は友達作りに見事失敗した、早速クラスでボッチとなってしまった。
でも、ある日有希子が「ねぇ、あたし有希子っていうの、よろしくね空音」と話しかけてきてくれて私は救われた。だから、私はずっと有希子といたいこの高校生活を一緒に過ごして欲しい。
よき友は人生の宝だ。誰かが言ったセリフ全くその通りだ。
友情の素晴らしさを語りその余韻に浸っていると、スマホが鳴った。
「!?」なんだよ折角いい気持ちだったのに・・・。
スマホをポケットから取り出す。画面にはお母さんと書いてあった。
お母さんは滅多に電話̪してこない、一体何があったんだ。
ドキドキしながら電話に出ると。
『あっ、空音』
「お母さんどうしたの?なんかトラぶった?」
『違うの!空音今すぐ帰ってきて!』
いつもとは違うお母さんの様子に戸惑いながらも「なんで?」と聞き返した。
『実は・・・今すぐ行ってもらいたい所があるの・・・』
「え・・・どこ?」
この時私はさんざん否定した自分の言葉を呪った。すべてがフラグの役割をしていたなんて思っていなかった。
お母さんは電話の向こうで息を吞み、信じ難いことを言った。
『実は・・・あなたには婚約者がいるの』
「・・・・・えっ?・・・」
この電話の内容は恐らく有希子にも聞こえていただろう。