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Welcome To The J  作者: Pの幻肢痛
ケースA
7/9

ミスティ・マウンテン・ロック

 ぼくは生き餌にゴキブリ飼ってるんですよ。

レッドローチっていう「ゴキブリと聞いて最初に思い浮かぶ普遍的な方」タイプとマダガスカルやらヨロイモグラといったワラジムシっぽいタイプの中間みたいな見た目

 こいつらクソザコでガラスケース登れないからもう毎日がエブリバディよ


 でもやっぱこいつら逃げのプロなだけあってケースから出すのが一苦労

 流線型のボディは掴みにくいし、掴みやすい触角はプツプツ自切してくるし速いしすぐ隙間に逃げ込むし素手じゃあ無理ですよ

しかもケツの尾葉とかいう器官で気流読んでこっちの動き察知→神経回路の構造上その情報を直に胸部にぶち込むからすぐ反応できるとかいうチート能力まで備わってるそうじゃあないですか

こんなんクソゲだわ


 仕方ないから指たらして登ってくるのを待つって方法を採用してたんすけど、敵と認識されたのか最近はめっきり近付きすらしなくなった


 最近ピンセット使えばいいってことに気付いてさっそく爪楊枝で作った


 また1人、チームメンバーが倒れた。

 死因はいずれも衰弱死。冷たい石牢に収容されてから一体どれくらい経っただろう。

 飢えが、寒さが、時間が、見えない死神の手がゆっくりと彼らの心臓を握り締め、力を込めていく。


 今回の哀れな被害者はクラン「荒狼の要塞」。

 人は彼らを様々な名で呼ぶ。

 盗賊、ヒャッハー、ゲス、サイコ、害悪、そしてPK集団。

 PK(Player Killer)、すなわち読んで字のごとく他プレイヤーを攻撃して殺害する行為。

 彼らはそれを生業とし、生きる意味としていた。


 深い理由はない。

 強いて挙げるとするならば装備目当てに経験値目当て、PK数競いに実績解放。

 それらも魅力的だが、なによりも一番の理由は単に楽しさからだった。


 元より下の者は上の者にただただ蹂躙されるのみの世界だ。

 それに加えてPKで得た武器と装備とレベル、そして数の暴力に犯されれば手も足も出ない。

じゃあ逃げるしかない、しかしステータスは相手の方が上、さらに数にものを言わせて囲まれる。


 どうしようもなく、初心者はもちろん上位プレイヤーすらもいともたやすく堕とされ光の粒と化していった。

 一方的に相手を蹂躙し、今までの努力を灰燼に帰してやる麻薬のような快楽に彼らは溺れていた。

 しかし今に限っては、立場は逆転している。


 時は二刻前、仮想空間の時間に換算すれば二日前に遡る。

 この日彼らはミスティ・マウンテンを狩場としていた。


 目に映ったプレイヤーは彼らの糧となった。

 高難易度エリアということで獲物は漏れなく強者揃いのパーティだったが、お得意の数の暴力殺法の前に為す術もなく敗れていく。


 あまりにも場違いな風体のプレイヤーと遭遇したのは、その帰り道であった。

 お決まりの初期装備を着込んだプレイヤーが麓の樹海をうろつき回っていたのだ。

 ここは初心者が来るような地ではない。

 出現モンスターのレベルが圧倒的に違うし、険しい山脈と樹海という過酷な環境のためモンスターを抜きにしても生半可な心持ちでは挑めない。

 装備と整え、食料や医療品など諸々を用意し、万全の体制でなければこの山にすらたどり着けない。

 

 そんな場所に初期装備が、それもたった1人でいるというのは明らかにおかしい。

 せいぜい運悪くリスポーンしたってところだろう。

 このゲームの開発者をナイフでメッタ刺しにしたくなる要因は?と聞かれて7番目あたりに出てくる問題点だ。

 リスポ地点が完全にランダムなのだ。床ブロックを張られていない地べたならどこでも構わず飛ばされる。

初期装備の彼のようにレベル1の状態で地獄に送られたり、他人の家に現れたりといった事故が今日もどこかで起きている。

 

 この事故を利用して他人の建物内に出るまでリセマラして空き巣や強盗を働いたり、わざと床のない「箱」を置くことでそこにリスポしたプレイヤーを幽閉させる嫌がらせを働いたりといった悪質な事件までもが横行している。


 初期装備だろうと大した経験値を得られなかろうと、彼らは構わない。

 彼らの目的はPK。そこから得られる装備やアイテム、経験値はおいしいが副産物に過ぎない。


 そこからは早かった。誰が一番槍だったかは永遠に謎のままだが、狩りが始まった。


 「な、やめてくださいよ!ちょっと!なんでこんなことするんですか。」


 逃げながら初期装備が叫ぶが、命乞いなどしてもかえって連中の嗜虐心を刺激するだけだ。


 そっちに行ったぞ、殺せ、囲め、殺してやる。返事がわりの野蛮な鳴き声が樹海に響き、初期装備を追う。

 今の彼ほど「脱兎のごとく」という言葉が似合うものはないだろう。

それくらい彼は必死に逃げ、そしてその兎を追って狼の群れが涎を飛び散らして牙を剥く。


 銃弾が飛んだ。火球が放たれた。ワイヤー付きの鉤が踊った。グラディエーターが得物を振り回し突進した。


 「ね、あいつ妙だよ。」


 メンバーの1人が走りながらリーダーに進言する。


 「レベル1の動きじゃあないよ。速すぎるよ。」


 彼に言われるまでもなく、薄々とチーム全員が疑問を抱き始めていた。

 明らかにレベル1のスピードじゃあない。レベル1ならとっくのとうに追いついてる。

 それどころか差が開きつつあるではないか。

 追えば追うほど、その疑問は確信に変わりつつあった。

 間違いない、ヤツは不幸なリスポ事故の被害者なんかじゃあない。

 上位プレイヤーだ。

 理由は大方予想できる。縛りプレイ、身包み剥がされた、そして雑魚騙り。

 油断させて近付いて殺すという方法だ。


 だからといって臆することはない。

 ヤツがレベル100だろうと2000だろうと30000だろうとこの数この装備を相手に勝算はない。

 この世界にキリトは生まれない。

 レベルの低い者はレベルの高い者に食われ、レベルの高い者はレベルの高い者達に食われる。それがこの世界の絶対的ルール。

下克上はありえないし、多勢を相手に無双が許されるのは雑魚相手の話だけだ。

 だからヤツは逃げている。


 しばしの逃走劇の末、唐突に巨大な人工物が現れた。

 あまりに唐突な登場に樹海を潰しながら降ってきたとすら感じた。

周りの風景も相まってレイダースに出てくるような古代文明の遺跡のようだった。

 その古代遺跡にウサギが逃げ込んだ。

 どうやら急いでてドアを閉めるゆとりもなかったようだ。

やったーこれはチャンスだぞー。とっとと拠点に押し入って略奪だー。

 ワーイ、大モーケ!チームは本当にラッキー!ピース!


 待て待て待て、そんなわけないだろとリーダーが止める。


 「どう見たって罠だろ。バカかよ。」


 ほれ見たことか。やっぱりだ。

 初期装備で誘うのも、拠点の入口をこれ見よがしに開けっ放しにするのもありふれた古典的トラップだ。

 初期装備でザコを騙りながら立派な巨大拠点へ誘い込もうなど矛盾しているのではないか。


 もうヤツの考えは完璧にわかった。

 PK集団を誘い、拠点に入れ、ドアを閉める。こんなのにかかるのは野生モンスターか間抜けだけだ。

 そして荒狼の4分の3は野生モンスター並の間抜けだ。

 PKなんか生業にしてる時点で野蛮極まりないが、もう少し脳ミソあったっていいだろう、と思わずリーダーは頭を抱えたくなった。


 「それじゃあどうすんだよ。逃がすのか?」


 餌を目の前にしてお預けをくらった獣が不満を垂れる。


 「そうじゃあない。人間ならもう少し人間らしく考えてみろって話よ。」


 果たしてわざわざ怪物の口に飛び込むリスクを冒すほどの価値はあるのか。

 雑魚狩り対策でレベルはフレンドになるかカードを見るまでわからない仕様だが、動きからしてかなりの高レベルが伺える。

 ミスティ・マウンテン麓で砦を築いてる時点で相当のものだ。

 だからこそ警戒に過剰の文字はない。しかしだからこそ大きな利潤が信用できる。

あくまで目的はPKで物質的な報酬は二の次というスタンスは取ってこそいるが、それはそうとしてやはり欲しいものは欲しい。

 行くべきか行かぬべきか、それが問題だ。決断を誤ればこちらが死ぬ。

 リーダーが悩んでいると、1人が地図を見せながら言った。先程初期装備の怪しさを指摘した男だ。


 「リーダーさんこれ見てよ。ほら、ここ。」


 地図にはこの拠点が全貌が映っていた。

 広さは一般的な体育館の半分ほどで、20の部屋から成っている。2階はないが、真下には地下層が掘られている。

 クランの拠点として一般的な規模だが、個人の拠点としては広さも部屋の数も無駄といった印象を受けた。

 そして男が指したのは中央に位置する比較的大きな部屋。


 たった今二階はないと言ったが、この真上に限っては豆腐型の部屋がひょっこりと突き出ていた。

 面積は寸分違わず全く同じなため、下から木槌で思いっきり叩き上げたようだった。

 二階と地下とでサンドウィッチよろしく挟まれた構造は、具となる部屋を二次元的だけでなく上下からの侵攻から守るためのもので、件の部屋の重要さを強調していた。


 室内を埋める記号を見ればその理由がわかる。

 周りの壁ブロックとも、作業台を表す記号とも異なる記号が、その部屋を埋めていた

 長方形で、横向きのラインがまっすぐ中心を通った茶色のマーク。

 意味はチェストだ。人一人通れるくらいの通路をギリギリ確保して、残りの空間は全てチェストで埋められていた。


 「宝物庫だよ。ねぇ行ってみようよ。」


 拠点の規模からしてここで暮らして2日3日ってわけないし、きっとレアな素材やドロップアイテムをたっぷり蓄えこんでるはずだ。

 こりゃあ行くしかないな。


 とでも言うと思ったか。

 宝物庫の存在を知り、獣達は今にも理性という首輪を引きちぎり駆け出そうとしていたが、リーダーは違った。


 「だからお前、どう見たって罠だろっつってんだろ。

 中央まで引き込んで閉じ込めるつもりだ。」


 ハニカム構造もどきの拠点も宝物庫の位置もあの初期装備野郎自身もなにもかもがルアーに見えた。


 「敵は一人だよ。仲間がいるならクラン名が表示されるはずだよ。」


 確かにその通りだし、見える範囲に黒点は1つしかない。二部屋挟んだ先に引きこもりじっとこちらを伺っている。


 「今は遠くで隠れてて念話(チャット)で連絡してるかもしれない。」


 そもそも1人でこれ程までの拠点を築くのは不可能に思える。

仲間は必ずいる。


 と、今まで冷静に踏みとどまっていたリーダーだが、もちろん退くという選択肢など存在しない。

 ただ慎重に突入するか、なにも考えずにアホみたいに突入するかというだけの違いだ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 扉越しに羊が言う。


 「わかりましたよ〜〜、持ち物も金も全て捨てますから見逃してくださいィィお願いします〜〜っ」


 同情を訴えるなんとも哀れな泣き声にメンバーはまたもサディズムを刺激された。

 リーダーの俺とごく少数を除いて。


 白々しい。いかにも自分は抵抗のできない弱者風って感じだ。

 こいつは羊なんかじゃあない。羊の毛皮を被った狼だ。

 俺は楽天的だがバカじゃあない。チームの楽天的バカとは違う。

 その見え見えの罠に敢えて飛び込んでやろうではないか。


 「扉ごとに見張りを置いた。残念ながら閉じ込めはできないぞ。」


 「そんなことしませんよお〜〜!するわけないじゃあないですかーー」


 「あぁ、させないさ。」


 下手な演技だ。警告通り3つの扉全てに2人ずつ置いた。

 そして俺は12人の仲間を連れて残りは入口に待機させている。

 算数の問題みたいだな。さて荒狼は全部で何人いるでしょう?


 xを駆り出す必要があるから算数じゃあないな。下手なジョークを練ってると、またもやあの大根演技が飛んできた。


 「どうすれば見逃してくれます?」


 難しい質問だ。言って欲しいセリフは「宝物庫を明け渡せ」だろうが、こちらの最終目的はお前の死だ。


 しかし宝物庫もまた目的の1つであるのも事実。

 ヤツを殺せば宝物庫はなくなり、宝物庫の中身もロストする。

宝物庫は人質というわけだ。これがある限り殺せないと踏んでいるんだろう。

 乗ってやる、乗ってやるさ。


 「今は殺さないし、殺せない。わかってるだろ。

 だから大人しく出てこい。そして宝物庫を明け渡せ。⋯⋯満足か?」


 「わ、わかりました。本当に殺さないんですね?見逃してくださるんですね?」


 「くどいぞ。気が変わる前に開けろ。」


 俺らの気が変わったところでどうなるんだろうな。


 「今から開けますかね?信用しますからね?」


 かくして天岩戸は開かれた。

 相変わらず初期装備で着飾ったヤツが怯えた表情を浮かべ姿を見せる。

肥溜めで溺れかけてるネズミみたいに絶望した目をしていた。

 目だけじゃあない。震えも、表情も、目線も、姿勢も、足の運びすら絶望一色だ。

 疑ってかかってなきゃ俺も騙されそうだ。

むしろ本当に心の底から怯え屈服しているのを、疑いのバイアスが演技に見せている気すら湧いてきた。

 それくらい真に迫った演技だった。リアルでは劇団員かもな。

 この世界の劇団の話するかい?


 脱線する前にそこに不意打ちでバインド魔法もぶちかます!

 バインド魔法や縄の扱いなど敵の拘束に特化した仲間が紫色に光る茨を放ち、茨は瞬く間に手枷足枷と化した。

 こうなるとトップランカーでも易々とは抜け出せない。


 悲鳴をあげ、自由とバランスを失ったヤツが倒れる。


 「いい反応だな。スーツはIOI製か?」


 「な、なんでっ、こっ殺さないって約束じゃあ⋯⋯」


 「もちろん今は殺さない。」


 「これじゃあドアを開けられないじゃあないですか。」


 「掌は動くだろ、ほら行くぞ。」


 無理矢理ヤツを立たせ、扉に押し付けると俺らは先へ進んだ。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




 「やったァーーッ!メルヘンだッ!ファンタジーだッ!こんな体験できるヤツ他にいねーっ」

 「やっ、ヤバイッ本当にあるんだなッ!?凄い数だッ!!」

 「ぎゃあああああああああああーーーーー!!!わはははははははははははははははははははははははは!!」

 「「武器」も「アイテム」もッ!カネに換えてあたしのものだああああああーッ」

 「あはははは、すげえな今日のオレッ!」


 思い思いの彷徨をあげ、宝物庫を目の前に仲間がヤクでもしたように狂乱する。

 かくいう俺だって内側からこみ上げる喜悦を隠しきれずにいた。

 喉から上がってきた感情は口角を押し上げ、音を立てて溢れ出る。


 実物を見ればこいつがどれほど宝物庫に心血注いでいるかがひしひしとつたわってきた。

 ここから宝を盗み出せる人物がいるとすれば、ルパンかオーシャンズくらいだろう。


 例えば、本拠点を構成する壁はどこもかしこも隅から隅まで石、石、石の石尽くしだが、この部屋とその周辺は分厚い鉄でもって堅牢に守られていた。

 こうなると、攻城戦も考慮に入れ編成をしている我々でもかなり骨が折れる。

しかもそれが二重に置かれてんだから、まともにかかればこちらの食料が尽きるのが先だ。


 さらに金庫破りを不可能にしたのが扉だ。

 バタンバタンと貧乏臭い雑音を奏でるただの扉じゃあない。

言うまでもなくこちらも鋼鉄製で、以前同じものと出くわした際爆破を試みたがビクともしなかった。


 そして施錠は今どきアンティークショップでもなかなかお目にかかれないアナログな鍵と穴ではなく、一昔前ながらハイテクな機構によってされる。

 要はピッキングスキル対策だ。ボタンで開閉する電動扉にドライバーを突っ込む穴はない。


 そんなハイテク防犯グッズも家主に銃口を突きつけた今、くだらないガラクタと化していた。


 「ね、せっかくだから記念撮影しよーよ、ね。」


 地図担当はそう言うと、ヤツの顎を掴みあげ自分の顔の横まで引っ張る。


 「はい、チーズ。」


 83年前より続く歴史情緒あふれる掛け声とともにスクリーンショットがシャッターを切り、実に唆られる表情がフォルダに加わった。

 俺達が雲一つない快晴の青空なら、ヤツの表情は今にも落ちてきそうな空そのものだ。


 地図担当がパイオニアとなり、チームは次々と羞恥を強要し始めた。

 やれ土下座だ、やれ笑え、やれ踊れと好き放題に屈辱的な命令を下す。

四肢を封じられた身ではもちろん満足にリクエストをこなせるわけもなく、立ち上がったり屈んだりといった簡単な動作ですら交尾中の環状生物のような無様な踊りになってしまい、嘲笑を誘った。


 「さぁ、踊れ、踊るんだ。踊ってみせろ。」


 1人が実に性格のいいアイデアを思い付き、さっそく実行に移していた。

 ヤツの足元に弾丸を撃ち込み、避けようと必死にピョンピョンはねるサマを楽しむというものだ。

銃口が火をふち、床で弾けるたびにヤツは可愛い悲鳴を発しながら踊ってくれた。



 さしずめ宝物庫というメインディッシュを前にした余興といったところだろう。

 あとでID付きで晒してやるとして、しばし楽しんだ後いよいよ本題に手を付けた。


 

 「さ、はやく開けてくれ。もう待ちきれないよ。」


 苦虫を噛み潰した顔でもって答えるヤツを二人がかりでドアに押し付ける。

 あとはこいつがボタンを押せば、それだけで宝物庫は開け放たれる。


 「⋯⋯本当に命だけは助けてくださるんですね?」


 「もちろんだ。」


 もちろん全て奪い尽くすまでは生かしてやる。


 ついにボタンの1つが押された。

 もしかすると開閉ボタンと見せかけてなにかトラップの起動装置かもしれないので、すぐにヤツを引き寄せる。

流石に自分ごと押し潰すような真似はしないだろう。


 重苦しい、無駄に大仰な唸り声が上げて機構が機構が動き出した。

レイダースごっこのクライマックスシーンだ。これくらいの演出してくれたっていいだろう。



 恐らくここも数多い分岐点の1つだったと、後に俺は述懐する。


 もし、ここで違和感に気付けたら、少しはマシな被害に抑えられていたかもしれない。

 もし、以前仲間から電動扉設置を提案され、さして必要性を感じない点と完成までのクソ億劫さを理由に却下していなければ、違和感に気付けたかもしれない。


 一度でも電動扉の開閉を見た者なら気付けたはずだった。

 ただドアを開けるだけで何故こんなにも大袈裟な効果音が鳴る?何故こんなにも時間がかかる?


 今動いてるのは本当にドアの機構なのか?

 今本当に動いているのは音と長さからしてもっと巨大で大掛かりななにかなんじゃあないか?


 そう気付けたはずだった。


 最終的に餌置いて食いついたら上げるって方法に行き着いた

 そんな彼らも今日卵生み出した

 たまたま風で飛んでってたまたま嫌いなヤツの郵便入れに入ったら面白いんすけど


 めでたいから投稿した

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