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第四話 今更…異能とか魔法使えるとかそんなの要らない…!

おはようございます!

今日も1日頑張っていきましょう!

二度寝で起床した時間は、午後一時を回っていた。

昨日発揮した不思議な力が相当体に響いたんだろうか?


それにしても、僕は何故あの時、二人の男性を一瞬で気絶まで追い込めたのか。

それがまるで分からない。


。と、考え事をしていれば徹は彼が起きてるのを確認して疑問に思っていることをぶちまけた。


「あのよ、昨日のお前の攻撃って何だったんだ?

まるで、魔法のような……異能?

分からねえんだよ、あんな動き見たことなくてな!」


うん、それをまさに考えてたところだよ。

僕も!


思った通りのことを徹へ伝えると。



「……自分でも分からない!?

何じゃそりゃあ!!!」


いや、僕も言いたいのその言葉!!

僕が瞬間移動して男二人を倒した?


何じゃそりゃあ!!!


生まれつき、異能も魔法も持ってないような寝るために生まれて来た僕が今更能力の開花?いや、要らない要らない。


そんなことになってしまったなら、この混沌に陥ってしまった世界を取り戻してくれとか言われておしまいだ。

それに、現在のこの世界でも魔物を倒して魔王からの侵略を防衛している人物だって少なからずいるはずだ、僕がやらなくてもいい。


そう、王道魔法ファンタジー小説のような小説の主人公に僕はなりたくない!!


どちらかと言えば、王道魔法ファンタジー小説の主人公が歩いている道に横たわっている丸太とか落ちている林檎とか……立っている木とかになりたい。


主人公とか主要キャラクターにされるくらいなら、僕は進んでモブを選ぶ!!


モブ、万歳!万歳!!



頭の中で独りでに妄想を続ける少年は、ニヤニヤが止まらない。

そうなってくれれば嬉しい、けれど現実はそう甘くはない。


その葛藤だけで、徹にはとてもモブキャラ志望の男の子には見えなかった。

元気一杯に時と場合によって表情を使い分け、自分自身の弱さと戦っていこうという強い心を持つ少年。


それが彼に見えた、小雪である。


だが、それが大きな間違えだとさえ、徹は信じなければ気づきもしない。

小清水 小雪、少年の災難は既に始まっていよう。


仲間に力を信頼されてしまった瞬間から。



____

徹の家に居たはずの小雪は森の中で彷徨っていた。



「ここは……?」


日差しが弱まり、自分を取り囲むのは影や所々に出来た暗がりだけとなってしまった。中が空洞になった木から、何かの目がチラチラ光って見える。

もうだいぶ遅い、三時頃に家から出て少し歩いただけなのに、既に知らない場所。

風は嘆き声を上げながら変形した幹の間を通り抜け、口滝の不快な臭いを僕の鼻に運んできた。


そろそろ帰らないと、夜の森は魔物達にとって絶好の狩場だ。

遠目でも人間の骸骨が剣を持ちながら彷徨う、スケルトンが見えるくらいだ。


僕の黒い長ズボンに引っかかるイバラや肌を汚す、湿った葉を無視して僕は先を急いだ。



「……オマエ、人間ノ匂イスル!!

サッサト、死ネエエエエエ!!」


案の定、最悪の敵に見つかってしまった。

僕は馬鹿である、森の番人、猪鬼(オーク)の視界が狭いことを駆使して、堂々と死角を通っていたはずなのに、僕のことをしっかりと目で捉えた雪男の存在に気づけなかった。


雪男はその名の通り、雪を皮膚の表面に貼り付けて低体温を保つことで生き延びられる魔物、彼の攻撃力は凄まじいもので、拳一発で地面にヒビを、木を薙ぎ倒すと言ったところ。


そんな相手に僕が勝てるわけがない。

だから、死に物狂いで逃げるしかなかった。



「待テ待テ!!

オマエ、オレノ森ニ入ッタノハナゼダ!?」



「道に迷ったんだよ、だから殺さないでくれ!僕はこんなに走るキャラじゃない!」



「キャラ…?モウ一回最初カラ言ッテクレ!」


それは内部事情というやつで_______!

まあ、とにかく!走りたくないから追いかけないでくれ!というのを全力で伝えるも、彼は彼自身の大きな足音のせいで耳が遠い。


結局追いかけ回されている始末に。



森の中を自由に駆け巡ること数分、

僕の体力はもう半分を切っていた。


あと少しで燃料切れ、もう走りたくもないし、寝ていたい。

自動的にまるでロボットのように停止してしまうよ、本当に。


と。半分諦めていた頃。



「《不死鳥の業火よ、この身に力を与え、敵を穿ち、永遠の焔で灼き尽くせ!》」



暗闇の森の奥から放たれたのは、

青と赤の入り混じる焔だった。


焔は自分自身の姿を不死鳥(フェニックス)のような無限に羽ばたく鳥へ具現化させると、対象(ゆきおとこ)の身体の周りを縦横無尽に駆け巡る。

何が起こったのか理解さえ出来ない小雪は、ただただ呆然と雪男の皮膚の氷が灼熱の熱気に溶かされて蒸発していく様を見ている。



「ナ、ナッ!

オレノユキガキエタ!?


イヤァァァァァアアアア!!」



ズンズンと重い足音を床に弾ませながら、まるで裸になってしまった女性のような悲鳴をあげて走り去っていった。



僕は、何も言わず、木に止まった不死鳥の近くへ行くと、暖炉の熱気を楽しむかのように満面の笑みで両手を差し出した。


暖かい…!!

こんな生物がまだ生きてるなんて…!


素晴らしい!!

めっちゃ感動した!!



あったかさの余韻に浸っていると、不死鳥を放ったであろう人物が僕の背中を蹴り飛ばした。


おっ、とっと。

そんなことをしている余裕も体力もなかった僕はただただ蹴り飛ばされて、地面にうつ伏せで突っ伏してしまう。


「ウチの不死鳥を暖炉にしてんじゃねえ!」



後ろを振り返ると、右足を微かに上げて大声を出している厚着をした赤髪の少女が立っていた。


そう、この出会いが僕の運命を大きく変えてしまう。

一生、モブでいたい僕の夢を。


簡単なまでに引き裂いて。


今のところは毎朝投稿出来てますね(笑)

これがいたバタンキューになるか…怖い怖い。


ブックマークの方、ありがとうございます!

まだ話数はかなり少ないですが、自分の体力が潰れるまでは毎日投稿していく予定なので、応援の方よろしくお願いします!!



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