第三話 二度寝は正義さ!
おはようございます。
今日も1日頑張って行きましょう!!
***
赤と青の服を着た二人の男は、拳を前に出し、利き腕をやや引っ込める状態で身構えた。素人でも出来るファイティングポーズというやつだ。
「この二人を倒せば……何ヶ月ぶりだろう。オフトゥン、オフトゥン、ぬくぬくオフトゥン!!」
___と言って、彼は最初から腰に携え、全く使う予定がなかった刀で___一閃。
風でも吹いたかのように二人の間を疾い速度で通り過ぎた。
すると、男二人は白眼をむいて気を失い、前のめりに倒れる。
一瞬の出来事に黄色い服の男は、現実を疑った。
あまりの驚きに目を擦って、何度も何度も現実かどうかの確認している。
そんな彼よりも驚いているのは____。
!?
ぼ、ぼ、僕、今何した!?
なんで男二人を倒せてんのおお!?!?
自分で行動に移したのに、訳が分からない状況。
というのも、特殊異能も身体能力が高いとかそういうハイスペックな設定は僕自身に持ち合わせていることがないと確信していたからだ。
だが、光景はどうだろう。
何故か分からないけれど、二人は僕の手によって倒されてしまったように見える。
いや、そうなんだろう。
強いとか弱いとかは別にどっちでも良い。
ただ、この後、この黄色い服の男の人が目を輝かせながら僕に駆け寄って「命の恩人です!」とかテンプレ吐くんじゃないかって気になってる。
「……ありがとうございます!
命の恩人さん!!何かお礼がしたいので、私の家に来ませんか?」
コレって竜宮城パターn……。
この黄色い人が亀で、最終的に変な箱貰ったら僕がおじいちゃんに!?
嫌だ。でも、そうなったら帰って楽かも。
家でゴロゴロ出来るような程、近くの村人に媚びっていけばきっと……!!
ふとした時、三途の川のお爺ちゃんが頭に浮かんだ。
………アレは違う。きっと違うんだよ!!
>>>何が<<<
「……うん、お願い。
僕は小清水 小雪。君は?」
「なんか眠そうだな。
俺は、山口徹。
小雪君、よろしくな!」
実に馴れ馴れしい。
楽に円滑に仲を有効的に進めるのであれば、最低限僕に何か差し出せ。
_____と言いたかったが、それも面倒に。
彼はその場で意識を手放した。
***
・徹視点。
「えっ、ちょ!大丈夫か!?
小雪君!小雪君!!小雪k……?
ね、寝てる…マイペースだなあ。
仕方ない、家までそんなに時間かからないし、担いで行くか…」
まるで米俵でも担ぐかのように徹は小雪を肩に乗せて、此処からでも見える煙突から小さな煙が上がっている家へと向かった。
***
・再び小雪視点。
暖かい空気が僕を包み込んでくれるように優しく手を伸ばしてくれ、
後ろには背中を預けても大丈夫だと判断出来るほどのフワフワなクッションを三枚重ねで僕は今、床に寝転んでいる。
先程の徹?と言っていた青年は、台所で温かい飲み物を作ってくれているらしい。
そこまでの気遣いは別にいらないんだが、それはそれでありがたい。
僕が欲しいのは、常にこの状態を保つということ。寒々しい校舎や瓦礫の下で過ごす夜ではなく、暖炉の前でぬくぬくとした空気に触れながら毛布にくるまって寝る。
そんな至福なことがあろうか?
だから僕はもう世界が魔王に侵略されていたって良い。
別に、寝られればそれで良いよ。
「小雪君……?
家に着いた瞬間、あったかい空気に感激して俺の家のクッション全部を使って身体を支え始めた時はどうしたかと思ったよ……。
そんなに睡眠不足なのか?」
小雪は気怠そうに答える。
「いや……寝不足は寝不足なんだけど。
この至福の瞬間がこんな早い場面で出会えるとは思ってなかったから、嬉しくて!
もう良い、このままずっと寝てたい…」
眠そうな彼の前に熱々のホットミルクが入ったコップを置くと、徹はソファに腰を下ろした。
「____小雪君、君は今の状態をどう思ってるんだ?
魔王に《世界暦書》を奪われた人類は成すすべもなく全滅するかもしれないって状態をさ」
コップの取っ手に手をかけた小雪は、一度態勢を起すのが面倒だったのだろう。
そのまま、コップを傾けて飲も____
「ま、待て!!
それは熱々だから絶対火傷する!!
ちゃんと態勢を起こしてから飲め、流石に!!」
仕方ない。と思ったのか、小雪は態勢を起こして、コップに入ったホットミルクを喉に流し込んだ。
徹の心の中。
「えっ、マジかよ。
今俺が止めなかったら確実に顔面大火傷で済まなかったぞ?
まさか、俺の洞察力を試したのか…?
止めると分かって、そんな大切な部分を危険に____!!」
勝手に勘違いしていた。
「それでさっきの質問の答えだけど、どうでも良いよ。僕は____」
彼の辛そうな瞳に何かを感じた徹は哀しそうな表情で口を開いた。
「そうか、過去に何かあったなら言わなくても良いよ。
でも、もし俺が君の支えになれるならなんでも出来ることをしよう!!」
瞬間。小雪の瞳が輝いた。
「えっ、ホントに!?
ぼ、僕紐になっていいの!?
じゃあ、よろしく。
この現状は維持で、ポテチとホットミルクを僕が言った時に持って来て!
後は適当にそこら辺にいて欲しい」
「……俺はお前のメイドか」
当然、その願いは受け入れられない。
何たってこれは冒険ファンタジーなのだから、小雪少年はカテゴリーの重さを知るべきである。
***
徹との話もひと段落ついたところで、
もう夜の9時を回っていた。
暖炉の前は本当にあったかく、何もしたくない気分になってしまう。
そして、時折、外へ出かける徹が開けた扉から染み込んでくる冬の寒い寒気が背中に通ったかと思うと、熱気で溶かされていく感じがこれまた、心地いい。
僕はクッション全部をソファに移動させて、ソファへ身をまかせることにした。
眠そうに大きな欠伸をすると、目を閉じてこの幸せな空間に感謝の気持ちを伝え、僕は深い眠りについた。
____
今日は赤と青の服を着た盗賊と思われる男2人に襲われていた時、まるで世界に取り残されたかのような表情で気怠そうな少年が俺を助けてくれた。
彼の抜刀速度と見えない剣戟も、俺には見えていた。
凄まじい速度で通り過ぎる瞬間、刀の刃の無い方で強い衝撃を二発続けて当てた。
この二発が峰打ちで、男二人の気を失わせたわけだが、俺には不可解な点が一つだけある。
倒した後、彼は困惑していた。
まるで自分の身に何が起こったのかわからないとさえに。
小雪には、巨大な力を感じた。
椅子の上で一人、掌を顎に押し当てて考え事をしている徹は、目の前のソファで寝ている小雪に視線を移した。
どんな夢を見てるんだろう。
天井に取り付けられている木製の巨大な籠から顔を出した僕は、
昨日みたいなモヤモヤとした空気というよりも、熱々の湯気が下の方から湧き上がってきている感覚に陥った。
下の方からは、ブクブクと沸騰した水が水面で飛び跳ねる音が聞こえ、少しだけ視点をずらしてみると、そこには小さな赤鬼が立っていた。
赤鬼は僕を見るなり、手招きをしてくる。
でも、そちらに降りる方法があるのなら実行したいけれど、僕に残された手段は、籠のちょうど下に落ちるよう用意されている巨大な茹で釜に飛び降りるしか無い。
ただ、多分降りれば即死。
熱々とかそういうレベルでは無いはず。
「おーら、こっちに来るっぺ!
おんまえの大好きなフカフカのベッドもあるんだべさ!
早く降りてきてくんろ!!」
フカフカのベッド!?!?
そ、それは……行き……!!
僕は考えるのを放棄し、釜に飛び込もうと身を乗り出す、下の方から湧き上がる熱い熱気が釜の中の温度を物語っているようで、「やめとけやめとけ」と言われてるような気分になる。
が、僕は行くよ。
オフトゥンは正義さ!!
と、捨て台詞のように言って、僕は釜の中に飛び込________この瞬間に夢が覚めた。
「え、もう朝……?
6:00になれば「気怠げ勇者の世界取り戻すの面倒くさ〜い」の投稿時間だよ。覚えておいてね…」
「露骨な宣伝やめろ。
そういうのは後書きスペースってところに書くから言わなくていい!!」
元も子もない話をして、徹は起床した。
現在は6:00。早朝だ。
だが、小雪は起きない。
二度寝は正義さ。
朝投稿をしたかったので6:00という時間を指定しましたが、要望等で時間変えます!
まだ3話しかありませんが、ブクマや感想、レビュー、採点、お待ちしております!!