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第二話 橋をかければ渡るとでも…?早く行…

お早うございます!今日も1日頑張りましょう。

***



先程、「手鏡」を使った戦闘で魔族四匹の討伐に成功した少年は、廃墟となり、壁や地面の所々にヒビの入った高等学校だった場所の室内で寒い空気を温かい空気に変えていた。


魔法も特殊異能も持ち合わせていない、平凡で天才ですらない小雪は、現代であれば地面に落ちていて当然な、特別道具、

「ライター」を取り出し、空気中で点火。

長い間、押し続けているのは辛く、怠くて眠くなりそうではあるが、仕方がない。


今はこの小さな火で一つの教室を暖めなければ、僕の教室での安眠ライフは夢で終わってしまう。

昔々に体験した暖炉の火の前での暖かい熱気に身を包み込まれ、眠ってしまった時の感覚が恋しい。


ーーけれど、僕は世界を取り戻そうとは思わない。

僕に勇者という名の世界を背負う面倒臭い使命が託されていないことが救いの理由だ。

そんなに面倒で仕方ないコトをやりたい人がいるのであれば、喜んでやってほしい。


僕はあくまで他力本願がモットーの眠たい系男子。

暖かお日様の下、ふわふわの芝生の上でゆっくりおやすみなさいしていたい系の子猫さんに近い生物なのだから。


自分の中で、全力の現実逃避をしているとウトウトと眠くなってきた。

まだ寒い、けれど、昨日の三途の川は夢に現れることはないだろう。

今日は一日中、荒廃しきった街中を日陰だけのルートで休み休み進んできたので相当疲れている。三途の川だけはやめてほしい。


あのお祖父ちゃんの元気そうに手招きをしている姿を見ると、本当に川を渡れば楽になれるんじゃないかって勘違いしそうになるからだ。


僕は荒廃し、机と椅子の残骸が転がる中、生存している机と椅子を並べ、椅子に腰を下ろし、机に上半身を突っ伏した状態で目を瞑って、この世界におやすみなさいを告げた。



***



またモヤモヤとした白い霧に包まれた世界が視界に映る。

目の前には昨日と同じ川、に巨大な木製の橋が架けてあり、昨日よりも渡りやすい。


いや、そういう問題ではない。

渡りやすくしたからと言って楽になれる方法を選ぶなんて、そんな___いや、行こう。


僕は足を踏み出し、お祖父さんの方へと向かうべく、橋の真ん中まで辿り着いた。

通常の人であれば三歩、僕であれば十歩はかかるであろう向こう岸までもうひと頑張りだ。



「こっちじゃ、こっちに来れば楽になれるぞい!早くこの渡るんじゃ!

昨日はすまんのう、足を濡らしてしまって…橋を渡れば楽になれるぞい!」



お祖父さんは申し訳なさそうな表情で謝罪の言葉を言ってきている。

それに対して、橋を渡るので精一杯の僕には返答をしてあげることができない。

本当にごめんなさい、申し訳なさで胸が苦しい。


橋を渡りきる瞬間で、また夢が覚めてしまった(・・・・)



夢の中でどんどん三途の川が渡りやすくなって、僕は死ぬ運命なのかとさえ思うようになってきた。

突っ伏していた身体を起こして、右腕に装着している腕時計に視線を向ける。



ーー6:00。

と短い秒針と長い秒針が喧嘩しているように真逆の位置に指していた。


もう朝か。

昨日の今日で目覚めの悪い朝だ。

一日中歩いては休み、休んでは休み、休んだ僕の身体のどこに異常があるのだろう。

あのお祖父さんは何処まで三途の川を渡らせたいのか…。

疑問に思ってしまったことを上の空で考えていると、

ヒビが入り、透き通る輝きもない曇った窓ガラスに視線を向けた。


何やら二人ほどの人間が一人の人間を囲むように殴る蹴るを繰り返しているような絵面が見える。

イジメ…?こんな世の中で?


それに早朝とは言っても、まだ木陰の多い場所はある。

高位魔族でも来て仕舞えば、普通の人間である僕の場合、瞬殺されてしまうだろう。




高位魔族には、昨日の朝に使用した陽の光を直射で浴びせることの出来る特別道具の「手鏡」は全く通用しないと聞く。

こういう時は黙って見なかったことにして、学校を出る時も無視しながら歩いていけば大丈夫、声もかけられないと思う。

※かけられたら面倒臭い。


もう少し経ったら、一夜、お世話になった学校を去って、ふかふかのベッドがある場所を探そう。

彼は虚ろな目で窓越しに見える青い空を眺め、時が過ぎるのを待った。



***



時間が経過したことを確認した僕は、しっかり元あった位置に机と椅子を転ばせると、一夜お世話になった教室を抜けて、学校から出るべく、イジメ…?が行われている学校の門前に近づいてきた。


「も、もう、もう!やめてくれ!

これ以上は身が持たない…!!


あっ、人が……た、助けてくれ!!」


赤と青の服を着た男二人が黄色の服を着て、地べたに仰向けの態勢で男二人に片足を腹に乗せられている男は、殴られて沢山の空気を肺から吐き出し、呼吸困難になっているであろう状態時に助けを求めてきた。


だが、それも運の尽き。

今回ばかりはドンマイだな、僕はそれを平気な顔して、無視していく!!


自信満々な表情で通り過ぎていく少年に、黄色い服の男性はキョトンとした表情で少年の方を強い眼差しで訴えた。

だが、彼は後ろを振り向きさえもしない。



「えっ、ちょ、助けてよ、お願い!!

君だってこういう時あるだろ!?

哀れみのつもりでさあ、ホントに、頼むよ!」



大声で吐き出された言葉。

きっと、今の時点で男にとっては肺に残った僅かな空気で紡げた叫びなんだろう。


仕方ない。助けてあげよう。

と、普通の人間であれば思うかもしれない。


でも、僕は面倒なことに関わるほどの余力は今日一日中歩くことに使いたい。

歩き去ってしまうかと思った瞬間、黄色い服の男が少年のやる気を引き出す一言を口にした。


「家に帰れば、あったかい暖炉もフワフワの布団もあるから!!頼む!

俺をこの二人から救ってくれ!」


と。


___その瞬間。

体に電撃が走ったかのように、僕は目覚めた。

このお粗末な男二人を倒せば、夢が叶う?

そんな好都合なことがあるわけない。


そもそも、なぜこの男が僕の夢を?


色々疑問に思ったが、黄色い服の男を信じて見たくなった。

ので、僕は振り返り、自分の方を見て身構えた男二人に視線を移し、臨戦態勢へ移行しよう。


___続く。

おはようございます。

当小説の投稿時間は毎朝6:00です。

投稿速度については出来れば毎朝。

出来なければ、二日に一度かそれ以上のマイペースで書いていきます。


また、早速のブクマ登録ありがとうございます!

感想やレビュー、採点、ブクマは僕のモチベに大きく影響するので是非、よろしくお願いします。

拙い文章で作品を紡ぎますが、全力で楽しい作品にしたいと思っておりますので、どうか、応援の方お願い致します。


次回……新キャラ登場(?)

お見逃しなく!

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