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第十三話 余計なことしてんじゃねぇ!

おはようございます!

今日も一日頑張っていきましょう!

「おええっ、本当にまずかった。

なんであんな調味料を……」


ケチャウラを一気食いして戻してしまった小雪は、次の名所へ向かう途中に思い出して呟いた。



「うん、私もケチャウラは嫌いかな。

なんていうか、普通にまずいよね」


「わかってるならやめろよ!!」


彼が怒鳴りつけると、、苦笑しながら怯えたふりをする梓。



「いやーん、こわーい。

蒼真君、守ってー」



「社さん、キャラ変わりすぎだよ。

それは流石気持ち悪い……」


蒼真のドストレートな言葉に胸が貫かれた梓は立ち止まり、女装をつけると徹の背中へ捕まった。


「ぐえっ!!!

や、や、やめろっての!


くっ……首を掴むな……!!

し、し、しま……る!」


捕まる場所がない直立の背中なのか、

彼女は徹の首を掴み、体を支えようとする。

だが、彼女の全体重は彼の首だけに任せられたのだ。

そんなの、耐えきれるはずがない。



「苦しいんだったら背負えよバーカ!

筋肉しか取り柄がねえんだから、私専用の車にでもなってりゃいいんだっつーの!」


_____なんという自分勝手な話だ。

だが、このままでは息が苦しい。


彼は後ろに腕を回すと、背中を少しだけ斜めにして彼女を背負うことを決意した。



「テメェ、これが最後だからな!!

次はその腕掴んで蒼真に投げ捨ててやる!」


「え!?

なんで、俺なんだよ!」


自分の名前が出てきたことに驚愕し、彼は焦ったように言葉をぶつける。



「そりゃあそうだろ。

お前の言葉が酷すぎて、社が傷ついたんだろ?なら、当然だよ」


「そーだそーだ、バーカバーカ!」


二人の言動に怒りさえ覚えた少年は、

剣を引き抜き詠唱で手向けを。


「《炯……」


「ちょ、待て待て!

悪かったからそれはやめよう!?」


剣が金色の光に包まれようとした瞬間、彼が《光輝の剣》を放とうとしていることに気づいて、瞬時に止めに入る。

あれを生身で受ければ、即死は確実。

梓と徹は血だらけの肉片になること間違いなしだ。



「うん、分かればいいよ。

俺も王都で魔法なんか使いたくないからね」


「それはどういう意……」


小雪が気になって突っ込もうとしたが刹那。

彼らの目の前を複数の王国騎士が立ちはだかった。



「ここから先は通せんぼだ。

蒼真、ツラ貸せよ!」


王国騎士の一人が強い言葉を叫ぶ。



「何だよ、今は客人をもてなしてるんだ。

……後でいいだろ?」


「俺らにそんなクチ、いつから聞けるようになったんだよ。

俺らがもう一度躾けてやらねえとダメなのかっ!!!」


蒼真の腹部へ兵士は蹴りを入れ、地面に尻餅をつかせると剣の矛先を彼の首筋に当てた。



「雑魚が、魔法が使えるからって調子に乗るなよ?

俺らだってお前の魔法よりは弱いかもしれねーけどな、魔法は使えるんだよっっ!!」



兵士の一人が手から炎を蒼真へ放った直後だった_____背の高い少年が彼のことを身を呈して護ろうと前に出たのは。



「あっちぃぃぃぃ!!


……っと、テメェら騎士なら騎士の自覚を持てよ。複数で一人を寄ってたかって虐めるとか、そういうガキみてえなことはするもんじゃねえええええ!!」


梓を背負ったまま、剣を持っている少年を殴り飛ばすと、彼は咆哮のような叫びを上げた。



「何だよ、テメェ!!

テメェはこいつがどういう奴なのか知ってんのか?」



「俺は《魔女の子》だろうが何だろうが、身を呈して護んだよ!!

テメェらみたいなクソ野郎どもに蹴り飛ばされて、そのまま見てられるわけがねえだろ!」


「……なッッッ!!

お、お前ら行くぞ!!


蒼真、テメェは次あったらぶっ殺す!」


複数の王国騎士は逃げるようにその場から去って行った。

地面に腰を下ろして下を向いている蒼真へ、徹が優しく肩を叩いた。



「……余計なことしてんじゃねえ!」


徹にとって驚きの声と光景が目の当たりになった。

助けて礼でも言われるのかと思えば、

激情と怒りのこもった言葉。



「そ、蒼真?」


「あっ、ごめん。

今日は帰ることにするよ。


宿はココだから……またね。」


彼は立ち上がり、哀しみの表情のままポケットに入っていた小さな紙を徹へ渡して涙ながらに走り去って行った。



「……徹、余計なことしたんじゃない?」


グサッ。

これまで全然話してなかったやつに言われた一言。幾ら、無神経の眠りだけが命のやつに言われたとしても腹は立った。



「小雪、お前なぁっ!」


「でも、僕には蒼真の言葉伝わったよ。

……助けて欲しいって言葉」


「取り敢えず、今日はこの宿に泊まって、明日マリアに聞きに行こう。

蒼真のコト、何か知ってるかもしれないからな!!」


彼の想いに答えようと、彼らは動き出す。

《魔女の子》の忌み名が蒼真の金色の輝きを掠めていくのは当然だった。


小雪に聞こえた。

彼の"助けて"という言葉。


葛藤しているようなそんな表情だったのが今でも思い出せる。


明日にはきっと、分かる。


彼らは少しだけ早く電気を消すと、

明日に備えて、就寝したのだった。





______翌日。

朝早く起きた三人(小雪は徹に抱えられている)は、洋風な街並みを抜けて路地近くの喫茶マリアを訪ねた。


朝早く過ぎたのか、マリアはピンクのハートが沢山描かれたパジャマと帽子を付けて、眠そうに欠伸をしながら扉を開けてくれた。



「ちょっと待っててねん。

ふぁーあ……朝早いわねえ。


……着替えてくるわ!」


裏口の方に階段があるのか、

マリアは眠そうに階段を上がっていった。



______数十分後。

朝から聞くような音楽ではない軽快な音楽を古めかしいラジオで流し、喫茶マリアは急遽早めに開店した。

マリアがコーヒー豆の入ったアルミバッグを開封し、コーヒー豆をミルで挽く音が小雪を目覚めさる。


暫くすると、無糖のブレンドコーヒーを持ったマリアが笑顔で招き入れてくれた。



「今日はこんな朝早くにどうしたの?」


「蒼真のことで聞きたいことがあるんだけど、良いかな?」


クッキーやデニッシュの入ったお皿をテーブルに並べて、腰を下ろすと、彼女(?)は。



「……蒼真ちゃんのこと?

聞いてみるだけ聞いてみようかしら」



昨日起こった出来事。

徹が蒼真を庇ったことを包み隠さず全て話すと、マリアは難しそうな顔をして、「うーん」と唸り声を上げ、しゃくれた顎を触る。



「……でも、今日ここまで短い間でも蒼真ちゃんのことをそれだけ想ってくれたのなら、説明してもいいかもしれないわね。


あたしから聞いたって言わないこと、

約束してくれるかしら?」


「ああ!約束する!」


マリアは頷くと、彼らに話し始めた。


《魔女の子》の意味を。


忌み名が苦しめる蒼真を。



恐らく短いと思いますが、申し訳ございません。


この作品の更新日程は、毎朝六時投稿更新です。

自分の身体が壊れない限りは毎日投稿更新を頑張っていくので、どうぞ、応援よろしくお願いします!!


また、多数のブクマと採点ありがとうございます!大変励みになっております!


今回の話から少しだけシリアス?になるかもしれませんか、暖かい目で見守ってください(笑)

後、知り合いに言われたのですが小雪君の存在がたまに薄すぎると指摘があったのでこれからは台詞を増やそうかなと考えています(笑)


このような要望がございましたら、

感想欄か、twitterの方でお願いします。


twitter↓

@sirokurosan2580


これからも引き続き、「気怠げ勇者の世界取り戻すの面倒くさ〜い」をお願いします!

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