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004 (暁、矛盾、真のメガネ)<邪道ファンタジー>

運命とは、かように不思議なものである。

本来、引き合うことのない二人が出会い歴史を動かした話だ。



三百年ほど前、とある地域で大戦があった。

王室の分家から発展した戦争は、国中を巻き込み、二国間で長年に渡り続いた。


その争いの最中、人知れず名を上げた戦士がいた。

彼は、「恥ずかしがり屋の凶戦士」と呼ばれていた。

その活躍の背後には、ひとりの技師がいたとされる。


この二人がいなければ、A国ではなくB国が勝利を収めていただろうとも言われている。



その戦士には、戦士として致命的な欠陥があった。

恥ずかしがり屋であったのである。

大変に腕のたつ剣士でありながら、恥ずかしがり屋であために、戦場では活躍できずお荷物扱いされていた。


その彼を助けることになったのが技師である。

その技師は、メガネのレンズを加工する技師であった。

腕の悪いその技師は透明なレンズを作ることができず、工房でも持て余されていた。

彼は色の混じった粗悪品としか言いようのないレンズばかり作っていた。


ある時、戦士と技師、それぞれが運命的に絡み合う。

戦士が、その技師のメガネを着用することにしたのである。

明らかに視界は悪化するのだが、その戦士はもはや戦闘の際に視力を必要としていなかった。

見通しの悪いメガネを使用することで、恥ずかしがることを解消したのである。


彼は戦闘の度にメガネを血に染めたと言われる。

水で洗い流すこともなく、視界が悪くなればなるほど、彼は強さを増していった。

より視えなくなればなるほど、敵の動きが観えるようになったのである。


真っ赤にそまったそのメガネは、A国の勝利に貢献したとして、「AKATSUKI」の名で戦勝博物館に今も飾られているという。





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