王になるまでの道 第2話
「首相官邸 応接室」
イリスの首相がソファーに
堂々と佇み、俺達を睨んだ。
「何しに来た?テロ組織も半日で
半分が壊滅した、全部を
壊すのは、時間の問題だ。」
ルハク「あなたは、テロ組織のビルが
爆破することによって
民家や民間人が巻き込まれているんですよ
それを分かっているですか?」
言葉を選んで、怒りを訴えるが
イリスの首相は、眉一つ
動かさず、淡々と話す。
「そんなの分かってるに決まってるだろ
じゃなきゃ、こんな事は、しない。
多少の犠牲をはらって、
多くの命を救われたからいいじゃないか」
ベゼル「ちょっと、ルハクは、
黙りなさい」
手で口を塞がれ、黙り込むしかない。
ベゼル「あなたは、明日生きれる人を
殺したんです。それに
戦争に民間人を巻き込む事は、
国際法で禁止されています。」
イリスの首相「戦争?
そんな事をしてる覚えは、ないが」
ベゼル「あなたは、組織のビルに
魔法で爆弾を何10発も落として、
犠牲者は、数10人に死なせた。
一方的に戦争を仕掛け、
それをそうじゃないと言うのなら
私達は、反政府テロ組織に味方してでも
今の政府を潰しますよ」
イリスの首相の襟元を掴み、
ベゼルの威圧に押され、
冷や汗をかいていた。
「出来るものならやってみろ
帝国騎士団を根絶やしにしてやる」
ベゼル「あなたは、ほんとに
何もわかってないですね
帝国騎士団を敵に回すという事は、
世界を敵に回すんですよ
大勢の大軍と戦争をしたいですか?」
イリスの首相「世界全てが
お前らの仲間だと思うなよ!」
ベゼル「ほぅ、あなたの味方なんて
身内しかいないでしょ、
他の国、信用も友好も開いていないのに
何をおっしゃるかと思えば
さっき、言ったことは、
軽い冗談ですよ、動揺しないでくださいよ
首相・・・・・。」
狂った笑みを見せ、首相を怯えさせる。
ベゼルは、剣を引き、
刃を首相の首筋に擦り付けた。
ベゼル「これは、脅しです。
今すぐ、テロ組織への爆破を辞めなさい
じゃないと、今すぐここで
あなたの首を跳ねます。」
ニコッと笑う。
「今すぐやめるから、
やめてくれ、お願いだ。」
ベゼル「そうですか、じゃあ、ここで
今すぐやめる事を宣言してくださいね」
イリスの首相は、口をパクパクさせ、
何か言いたげだったが、次にこう言った。
「伝令魔法、魔法兵へ通告!!
今すぐ、爆破魔法を辞めてくれ
詠唱中もだ。これは、首相命令だ。」
ベゼル「べニラ、ルハク、魔法で
外の様子を見てくれませんか?」
べニラ「分かりました。ルハクさん
魔法を爆発させないでくださいね」
ルハク「しないに決まってるだろ」
窓を覗き、魔法を唱え、全体を見回すが
爆破魔法は、使われている様子もなく
テロ組織への攻撃も止んでいる。
ルハク「攻撃も止んでいますし、
これ以上、酷いことには、ならないと思います。」
ベゼル「分かりました。予定通りですね
王様にこれを渡されました。
書かれた通りにやらないと貴方達、政府を
政権から降りてもらいますよ」
紙を差し出し、受け取るが、
一気に破り、笑みを浮かべた。
イリスの首相「今、お前がした事は、
国際問題だ!!俺を殺そうとした、
これは、どういう事か分かるか?」
ベゼル「そう言うと思いましたよ
そんな脅し通じませんよ、だって予定どおり何で
今の所・・・。これは、ルシウス王の
ご命令です。そして、あれは、貴方に
爆破魔法を辞めさせる為に行った行為です。
殺すつもりも無かったし、この剣は、
玩具で人なんて切れません。」
剣をパキッと割り、自分の手を切ろうとするが
切れず、跡も付いていない。
正真正銘のおもちゃの剣だ。
イリスの首相は、気が動転して声が震えていた。
「い、今俺は、紙を破ったという事は、
その約束は、果たせない。」
ベゼルは、例の紙をべニラに何10枚も受け取り
冷酷な目で睨む。
「あなたが何枚破ろうが、いくらでも
代わりは、ありますよ、
あれだったら、首相官邸と国全域
この紙を貼ってあげますよ」
イリスの首相「それだけ辞めてくれ
ほんとに約束を守らなきゃいけなくなる。」
べニラ「本音が出ましたね、どうしますか?
ベゼル騎士長、約束を守る気は、
ないと思いますが・・・。」
ベゼル「今の言った事と同じです。
この国全域にこの紙を貼り巡らしましょ
約束を守ってくださいね、首相。」
イリスの首相「そんな膨大な量を
貼れる訳が無い。何を言ってるんだ?」
ベゼル「あたしは、実現出来ない事は、
言わないので、今すぐやってませましょうか」
窓を覗き、魔法を唱える。
イリスの首相「ま、まさか、辞めてくれ!!」
ルハクとべニラは、暴れる体を抑え、静観していた。
「多少、やり方は、変わるけど
仕方ないよな、首相さんが
約束、守らないですし・・。」
べニラ「仕方ないですよね。」
ベゼルは、強力な風の魔法を放って、紙を渦の中に
ばら撒き、街全体どころか、
世界全域に行き渡らせた。
ベゼル「やるべき事は、果たしましたし、
帰りますよ、べニラ、ルハク」
ルハク達は、イリスの首相を離し、
ベゼルの後ろに付いていく。
イリスの首相「動くな!!少しでも動くと打つぞ!」
俺達は、銃口を向けられた。
ベゼル「打ってばいいじゃないですか?」
どんどん、近づき、銃を持ち、額に当てさせる。
べニラ「ベゼル騎士長!?」
ベゼルは、イリスの首相の腕、捻り回し
銃を床に落とさせた。
「大丈夫ですよ、べニラ、
これくらいの事であたしは、死にませんよ
首相は、約束は、ちゃんと守ってくださいね
返事は?」冷酷な目で見つめ、
怯えていたのか、「は、はい」と
声が震え、口から泡を吹いていた。
ベゼル「じゃあ、行きましょうか、
ルハク、べニラ」二人共、静かに頷き、
その日のうちに帝国へと帰っていた。
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「王宮 大広間」帝国に帰る頃には、
深夜になり、外も真っ暗だ。
ルハク「それにしても、あの首相
ちゃんと約束守るのか?」
べニラ「守るしかなくなるでしょ
守らなかったら、王との約束を
破る事になるんですから・・。」
ルハク「王を敵に回すことは、
世界を敵に回すんだよな、そりゃ守るよな」
べニラ「他に何もしなきゃいいですけどね」
ルハク「まぁ何もしないだろうな
世界が恐ろしくて・・・。」
べニラ「そうでしょうね、王様も
ねているでしょうし、今日は、休みましょうか」
ルハク「そうだな、べニラ、騎士長も
休んでいいって言ってたしな」
欠伸をして、寝室に向かった。
べニラ「眠いですか?ルハク。」
ルハク「そうに決まってだろ、
疲れたんだよ、いつも寝てる時間だしな」
べニラ「まぁそうですか、明日も
忙しくなりそうですし、ゆっくり休んだら
いいじゃないですか?」
ルハク「そうさせてもらうよ」
べニラとルハクは、ベッドに寝転び、
眠りについて、朝を迎えた。
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「翌日」昨日の報告をしにべニラと騎士長と共に
王座の間に向かう・・・。
ベゼル「ルシウス王、入らせて頂きますよ」
巨大な門を開け、王座の間に入っていく。
有り得ない光景を目に焼き付けらされ
驚き過ぎて、何も言葉を発せない。
王座の椅子に座ってるのは、ルシウス王ではなく
この男だったからだ。
ベゼル「何故、あなたが座っているんですか
ルベル様が・・・。」
べニラは、分からない俺に小声で話してくれた。
「ルシウス王の息子さんですよ、
何を企んでいるか全く分かりませんが・・。」
ルベル「何でってそれは、あまりにも
父が、僕に王の継承権をいつまで
経っても渡してくれないからさ」
ベゼル「全く意味が分かりませんが
ルシウス様は、王に就任されて
6年ぐらいしか経っていないのですよ、
継承権は、まだなのは、世界運営で
忙しいからです、あなたもわかっているでしょう。」
ルベル「知らないだな、父は、
僕にこう言ったんだ!!
お前には、王を受け継ぐ資格などないと!!
分かるか?ベゼル騎士長」
ベゼル「話は、分かりましたが、
ルシウス様は、どこに行ったんですか?」
ルベル「僕の別荘でゆっくり眠ってるいるさ
たくさんの下僕に囲まれてね」
べニラ「それは、ルベル様の下僕でしょ
ルシウス様に何するつもりなんですか?」
ルベル「そんなの決まってるじゃないか
父が王の継承権を渡すというのなら
殺すのを辞めるが、渡さないのなら
ルシウス王の首が跳ねちゃうね」
狂った笑みを見せ、鳥肌が立つ。
自分の親を平気で殺せるんだ?
俺には、全くわからなかった。
汚れた人間の思考など、覗いたこともないし
理解なんて出来ない。
ルシウス王は、俺が守る。
今の世界を王様が作ってくれたんだ。
恩返しも果たせていないのに
殺させてたまるか・・・・。
続く。




