騎士学院編5章
「1回戦」目の前に居るのは、
一個上の先輩で、殺気を剥き出しにして
俺を睨みつける。
必死なのだろう、勝つのに・・。
勝てなければ卒業出来ないのだから
「お前みたいな奴と戦えて、
俺は、嬉しいよ、騎士長の息子を
倒したって聞いたら、俺の評価は、
格上げだ・・・。」
ルハク「それは、俺に勝ってたらという
話でしょう?」
「どうせ、親の七光りでよわいのだろう?
ここに入学出来たのは、
お父さんのおかげなんだろ!」
その言葉が腹立たしく、聞こえ、
心を動揺させる・・。
だめだ。冷静になれ、
俺は、完全に舐められている。
こんな言葉は、一刀両断すればいい。
ルハク「何を見てないのに、
勝手に判断するなよ」
「先輩大して、生意気だな
礼儀も身につけてられないだな」
ルハク「そうかもしれないですね
いつまでも無駄話ばっかりなので
さっきに仕掛けます。」
掌に魔法陣を発生させ、炎魔法を放つ。
あまりにも早すぎて、避けられずに
軽度の火傷を負わせる。
「熱っ!?」地面に尻餅を付き、
こんなの決まったな。
ルハクは、剣を差し向け、首に触れさせる。
「負けを認めたら、これ以上、
怪我を負わせませんよ」
「降参だ!なんて言うわけないだろ!」
俺の剣を握り、魔法を放とうする。
ルハク「チャンスあげたのに
自分で無駄にするなんて
馬鹿にも程がありますよね」
ちょっと、歩み寄り、
顎を蹴り上げ、壁際まで吹き飛ばす。
審判員が駆け寄り、十秒カウントダウン
するが起き上がらず、
俺の勝利が決まった。
このまま、順調に勝ち進み、
準決勝まで言ったが、
今日は、これで試験は、終わりみたいだ。
明日もあるし、休めと言う事だろう。
もう夕方だしな・・。
中庭のベンチに座り、水を飲み干していた。
ベル「やっぱここにいたのね
ルハク・・。」
「ベル、いけたのか?」
「まぁね、運が良かったのか
相手が弱かったのか分からないわ」
俺の横に座る。
ルハク「どっちだろうな」
ベル「べニラも勝ち進んだみたいよ
あの子は、当然でしょうね
さすが天才だけある。」
ルハク「そうか、それは良かった。
でも俺は、いくら天才だろうが
負けたくは、無い・・・。」
ベル「ふーん、負けず嫌いね
戦ったら互角位じゃないの」
ルハク「それは、どうだろうな・・。」
ベル「さぁね、あんた達と当たらないように
祈るわ、めんどくさいだもの・・。」
ルハク「それは、分かる、ベルは、
相手にしたら厄介だからな・・。」
ベル「どういう事よ!?」
ルハクは、俺は、高笑いし誤魔化した。
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「実力試験2日目準決勝戦」
ルハク「べニラ、あの先輩、ほかの後輩に
負けたみたいで、戦う事は、ないみたいだぞ」
客席で静かにべニラは、座っていた。
べニラ「そうですか、それは、残念ですね
腹立ってたんで、敗北の顔を見たかったのですが」
ルハク「お前って意外と腹黒いよな」
べニラ「気のせいですよ・・。」
そのブラックな笑顔は、俺をビクッとさせる。
ベル「あんた達何やってんのよ、
もうすぐ出番よ。」
ルハク「ほんとだな、2人とも負けるなよ」
べニラ「それは、あなたもじゃないですか?」
ベル「そうよ、負けないでよ、
笑い話しかならないだから・・・。」
さすが、準決勝で順調に勝ち進めるなんて
思ってら負けだ。油断は、禁物だよな。
2人に勝てば、決勝戦に進める。
その一人目がとにかく魔法を使う奴で
魔法が苦手な俺にとっては、
運が悪い相手だった。
剣術で交わせたが、いいが、
そんな単純な相手でもないし・・・。
さて、どうするか・・・。
「どうしたの、止まって?
魔法は、苦手なのかな??」こういうぶりっ子は、
苦手だ、まぁそんな事を言っても
何を始まらないが・・。
魔法をばっかり使うってことは、
近接戦闘は、苦手だと言うことだ。
問題は、魔法を交わし続け、
相手にどれだけ、近づけるかだ・・・。
ルハク「ちょっとな、でも俺は、
君の性格の方がもっと苦手だ。」
「そんな事、言われたら、ショックだなぁ〜。」
地面に剣を突き立て、体にバリアを張り巡らす。
これは、レムに教えてもらった魔法で
心の中で唱えることで相手にバレない。
これで近づける・・・。
足早に距離をどんどん詰めて行き、
杖を持ってる手を掴み、持ち上げる。
ルハク「女だからとか、男だからとかで
差別したりしないからな・・。」
「まさか、投げたりしないよね?」
ルハク「言っただろ、差別しないって
大丈夫、投げたりなんかしないから・・。」
風の魔法を使い、吹き飛ばす。
「ほとんど変わらないじゃない。
もう、戦えない〜こんなの降参だよ」
弱音を吐き、俺の勝利が決まった。
まぁ当たらないことを祈ってしまうが
ベルに当たってしまった。
当の本人は、客席に居た。
「ほんと容赦ないわね、面白い。
1度、あんたと戦ってみたかっし、
ちょうど良かったわ」
満面の笑みで中々挑戦的なことを言う。
ルハク「俺もだよ、絶対負けないからな」
ベル「それは、あたしもよ、ルハク・・。」
今まで戦った奴らより、ずっと厄介で
一筋縄じゃ行かない・・・。
***************
「準決勝戦 2回戦」
ベル「まさか、あなたと当てるなんてねぇ
運は、時に意地悪なのね・・。」
ルハク「仕方ないだろ、言っておくが
女だろうが手加減は、しない。」
ベル「その方が助かるわ、
だって手加減されて負けられたら困るからね」
ルハク「ほんとお前は、人を挑発するのは、
上手いよな・・・・。」
ベル「ありがとうね、貶されてる感じしか
しないけど・・・・。」
ルハク「気のせいだろ・・・。」
当たってしまったものは、仕方ないが
こいつホントに強いから油断ならない。
さっきに仕掛けたのは、ベルだった。
殴りかかってきて、ギリギリの所で交わして
拳を掴みとり、風の魔法で吹き飛ばす。
踏みとどまり、余裕な笑みを見せる。
ベル「ほんと弱い魔法しか使えないみたいね
だからあれ程、練習しとけって
言ったのに・・・。」
ルハク「苦手なんだから仕方ねぇだろ、
魔法を成功できただけでも、
こっちからしたら進歩だろ」
ベル「ふーん、そうだね、でも
こんな魔法じゃぬる過ぎるわ」
ルハク「そりゃお前の方が魔法上手いからだろ」
ベル「そうとは、限らないわよ
魔法に上手いとか下手とかないし、
あんたの場合、魔力が強すぎるから
制御のコントロール出来ないから
それを危惧して弱い魔法しか
使えないじゃないの?」
ほんとにこいつの目は、鋭くて
すべて見透かされてる気持ちになってしまう。
弱い魔法しか使えないのは、
それしか使えないから何だけどな。
ベルの意見は、一理あるし、否定は、出来ない。
ルハク「あってるけど、俺の事を知ってるベルなら
分かってくれると思ってたけど、
違うだな・・・・・。」
ベル「まさか、使ったことがないだけって
いわないでしょうね・・。」
ルハク「正解だ。よかったなベル。」
ベル「ほんとバカね」ため息を吐き散らし、
目に負えないスピードで
至近距離でナイフを差し向けられる。
ベル「これならどう?こんな至近距離じゃ
切れないでしょ??」
体が密着して、自然に手が剣に伸びるが
この状態では、背中しか刺すしかない・・。
でもそれは、自分の腹を突き刺すことになる。
俺の剣は、長いから、それをベルは、
考えて、ほんと厄介なやつだ。
それに死傷を与える事は、禁止されてるし
魔法を使うしかないみたいだ。
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「回想。」レム「強い相手に大して、
有利に動かせる為に睡眠魔法を
覚えておくと便利ですよ」
ルハク「それなんかずるくないか?」
レム「戦いにそんなものは、ありませんし
そういう甘い考えをしていると、
足元をすくわれますよ」
ルハク「分かったよ、レム・・。」
レム「それでいいのですよ、
備えあれば憂いなしですから・・。」
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俺が唯一、覚えた上級魔法の一つだ。
これしか方法が見つからない。
背中を手で触れ、魔法陣を発生させる。
ルハク「スリープ!!」
ベルは、すぐに危機感を感じ、
俺を吹き飛ばし、離れるが・・
もう手遅れで地面に倒れ込んだ。
ベルの負けが決定し、俺は、決勝戦に進出した。
「休憩」ベル「あーもぅ!!悔しい!
あんたがあんなズルい手使うと思わなかったわ」
ルハク「油断したな、ベル・・・。」
食堂で食事を取っている。
ベルは、カリカリし過ぎて、やけ食いをしていた。
「うるさいわよ、あんた、あの光の精霊に
影響されまくりじゃない。
いい意味でね!卑怯だわ・・・。」
ルハク「あれしか方法が無かったんだよ
仕方ないだろ・・。」
ベル「そうだけど、アンタのおかげで
あたしは、ベスト3止まりよ」
ルハク「別にそれでも凄いだろ
何が気に入らないだよ」
ベル「睡眠魔法を交わせなかった事と
そんなありがちな巻き返しに
見抜けなかったのは、完全に
油断してたから、だから余計に悔しいのよ」
ルハク「そうかよ、でもあの魔法が
なかったら、おれは、ベルに負けてた。」
ベル「そんな慰めは、要らないわ、
次は、べニラよ、油断も隙さえも許されない。」
ルハク「分かってるさ、でも負ける気がしない。
弱点がない人間なんていない、
どっか欠点があるはずだ。」
ベル「まぁそれを、戦いの中で
見抜けられたらいいけど、どうかしらね」
ルハク「さぁな・・・。俺が知りたいわ」
強い相手だけにベルの言う通りで
一つの油断も隙も命取りになる。
さすが特待生なだけがある、でも
オレだって修行した日々があるから
努力を怠った事は、ないからきっと大丈夫だ。
最善を尽くすしかない・・・。
****************
「決勝戦 」ついに始まり、心臓の音が鳴り止まない。
べニラ「あなたと戦う日が今日だと
思うと楽しみすぎて、
早くぶった斬ってやりたくなる。」
ルハク「それは、恐ろしいなぁ
早く始めようぜ、べニラ・・。」
べニラ「分かりましたよ、始めましょうか」
互いに剣を引き、戦いが始まる。
続く。




