迷路の戦場
ルイーダ「誰もいないな
魔物も人も・・・・」
兵士長「そうですね、ルイーダ様
罠張りますか?」
ルイーダ「嫌、良い、どこ歩いても
同じ景色で道中に仕掛けても
自分らが引っかったら嫌だしな」
兵士長「それもそうですね
ルイーダ様は、王様の所に
行かなくて宜しかったんですか?」
ルイーダ「さぁな、俺がいなくても
王様なら勝ってるだろ
心配なんていらんのじゃ」
兵士長「そこまで王様って
すごい人なんですか?
イリスの国の首相と同じ
親の七光りでは、?」
ルイーダ「親の七光りねぇ
兵士長、お前は、知らんのか
実は、王様は、先代の王の直属
息子じゃない、つまりは、
そういう事だ。」
兵士長「でももう1人居ましたよね
弟さんが・・・・・。」
ルイーダ「さぁな、今は、
消息不明だ、生きてるか死んでるか
わからん人間だ。でも先代の王は、
今の王様が相応しいと思い
選んだお人だ。だから大丈夫だ。」
前から脚音が聞こえる。
ルイーダ「おっ来たみたいだな」
ルーク「仲良くお話とは、随分と呑気だな
ルイーダ首相・・。」パーカのポケットに
手を突っ込み、見下すよう目で睨む。
ルイーダ「出迎えてくれるのか?
敵にしては、礼儀わきまえとるな」
ルーク「な訳ないだろ、じじぃ
ここは、老いぼれが来る所じゃない」
ルイーダ「生意気な小童やな、
それにしてもこっちから来てくれるとは、
色々と省けたな」
ルーク「拷問でもして、俺に組織の
秘密を喋らす気か?」
ルイーダ「ご名答、そうだ、大人しく
捕まってくれないか?」首筋に
ナイフを当てる。ルーク「怖いじじぃだなぁ
大人しく捕まる訳ないだろ!」
思い切り力で押し、ナイフから逃れ、
ルイーダは、アイコンタクトで
兵士長に合図を送った。
腰にかけていた銃を取り出し、引き金を引く
バン!?銃弾が腕にねじ込まれ
血が滝のように流れ出す。
ルーク「ぐっ!?痛いじゃねぇか
なんの目的でここに来たんだ?」
ルイーダ「ここにアジトがあると聞いて来た」
ルーク「ふーん、誰から聞いたそんな情報」
ルイーダ「君達がおせわになってる
武器密輸組織から聞いた。
君達が嫌いな政府特有の権力でな
逃げ場はないぞ、どうする?
悪あがきを続けるか?」
ルーク「悪あがきなんか最初からするつもり
なんてない、俺達は、ボスの為に
組織を守るだけだ。」
ルイーダ「間違ってるな、ボスの為?
世界侵略は、どうした?」
ルーク「ボスがいなければ侵略など出来ないし
ボスがいない未来なんて理想的じゃない」
ルイーダ「慕われているのだな」
ゆっくりとルークに近づき、肩に手を置く。
「俺をどうするつもりだ?」
ルイーダ「別に何にもしないさ、今はなぁ」
僅かに残ってる草むらから人の気配がする
手に持っていたナイフを投げた。
ネウネ「危ないネ!ルーク、まだ怪我
治ったばかりなのに何勝手に
出て行ってるネ!!」
草むらから出てきて、ルイーダを
嫌な目で睨んだ。
ルーク「別にいいだろ、もう治ってんだから」
ネウネ「そういう問題じゃないネ!」
兵士長「どうしますか?ルイーダ首相
ここでやった方が後が楽ですよ」
ルイーダ「それもそうだがここは、敵の本拠地だ。
敵の数が正確にわからん、慎重に行くんじゃ
ほんとは、アジトごとぶっ飛ばした方が
手っ取り早いだがな」
兵士長「でもそれももう無理でしょう
敵自ら現れたんですから・・・・。」
ルイーダ「ここで殺すか、生かして
拷問にかけて問いただすか・・。」
前に視線を向けると、痴話喧嘩
か分からないが口論を繰り広げていた。
兵士長「長引きそうですね、
どうしますか?ルイーダ様」
ルイーダ「ほっときゃ、じき終わるだろ」
兵士長「それもそうですね」
***************
1時間後・・・・・・。
ルイーダ「説教長くないか?」
兵士長「もう1時間経ちましたよ」
ルイーダ「まぁいい、さすがに止めるか」
ゆっくりとした足取りでルーク達に近づいた。
ルイーダ「痴話喧嘩は、もう終わりか?
お二人さん、喧嘩するほど
仲良いとは、言うが、イチャつくなら
他所でやってくれないか?」
ネウの顔が茹でタコみたいに紅潮していた。
「な、何でこいつと痴話喧嘩しなきゃいけないネ!
まずそういう関係じゃないネ!」
ルーク「そうだ、こんな可愛いくない女
じゃなくて、もっと可愛いくて
おしとやかな女が良いに決まってる」
ネウネ「なんて事言うネ、あたしも
充分おしとやかネ!?」
険しい顔で激しく怒鳴る。
ルーク「どこがだよ、お前がおしとやかなら
全人類おしとやかだよ!」
ネウネ「それは、どういう事ネ!」
いきなり、無数の矢が飛んできたが
見事にわざと自分らに当てないように
打ってきたように見えた。
ルーク「危ねぇ、わざと当たらないように
打っただろう、どういうつもりだ?」
兵士長「つまらないからですよ、
すぐに打って死なれては、・・・・・。」
ルーク「舐められたもんだなぁ」
舌打ちを落とし、殺気を込めた視線が
絡みつく・・・・。
ルイーダ「戦場で痴話喧嘩するお前らもじゃ
ワシらのこと舐め取るんか?」
ルーク「舐めてるかもなぁ、だって
オッサンと百人位の兵士しかいねぇだろ」
ルイーダ「何や、何もわかってない
戦は、数多ければ勝てる訳でもない
それに君たちの方が少ないだろう
今の所2人か?・・・・。」
ルーク「お前ら知らないのか?ここは、
俺らの本拠地だ、ここにアジトもある」
ルイーダ「そんなの知ってるにきまってるだろ
つまり、こう言いたいだろ、援軍呼び放題で
すぐに助けに来てくれるから
お前らに負ける可能性ないって
言いたいのか?」
ルーク「まぁそうだな」ネウネ
「もう話は、飽きたね!全員皆殺しね!」
ルイーダ「そうか、随分と自惚れいるのだな
君たちが敵にしているのは、
世界だ。綺麗事をどんだけ並べようが
君たちの理想は、国民すべての
理想じゃない・・・。
それに君たちと違って軍の数は、
桁違いだ。敵に舐めとるか?
なんて呑気な事聞いとる場合じゃない」
ルークの襟首を掴み、持ち上げ
投げ飛ばす。
ルイーダ「じじいと
舐めとったら偉い目会うのは、そっちじゃ」
ネウネ「ルーク!!大丈夫ネ?」
ルーク「じゃない決まってるだろ」
木に強く背中が当たり、激しい痛みが走る
ゆっくりと起き上がり、ルイーダ
を睨むが怖じけてもせず、
強気に構えている。兵士長「ルイーダ首相
どうします?兵士にアジトの捜索を
任せますか?」ルイーダ「そうだな、
兵士長、お前も行ってもいいぞ」
「大丈夫なんですか?お独りで・・・。」
ルイーダ「たまには、いいじゃろ
それに自信満々な若者を踏みにじるのも
中々面白いだろ」兵士長「悪いお人ですね
もし危なかったら呼んでくださいね
行くぞ、兵士達」ネウ「通すわけないネ!」
兵士長は、冷酷な目で見下し、
腸に猛烈なパンチを入れ、ネウを
うずくませる。た、立てないネ!
ルーク「おっと俺がいるのを忘れるなよ」
兵士長「居たんですね、ルイーダ首相
の所まで戻してあげますよ、トルネード!」
竜巻を起こし、ルークを巻き込んで
ルイーダの所に行き着いて、
ルークは、地面に強く落とされ、
竜巻は、自然消滅していた。
「兵士長、お前も人の事言えんやろ」
ニヤリと笑い、ルークとネウネに歩み寄る。
「じじぃが相手したるから、早よ立て、小童」
ルーク「うるせぇよ、言われなくても
立ってやるよ、兵士達行かせてよかったのかよ
イリス国みたいになっても良いのか?」
ルイーダは、豪快に腹を抱え、笑う
「あんな七光りと一緒にされたくない
あいつは、戦えないただの上に立つ
裸の王様だ。前から思ってたんじゃ
イリス国の世襲制は、いつか
この国をダメにする、見通し通りやった。
まぁあそこまで根性無しとは、
思わなかったけどな・・・」
ルーク「裸の王様を王にした王様にも
問題あるだろ、同じ七光り同士
仲良いじゃねぇの?」
ルイーダは、背中に掛けていた。
槍を取り出し、相手に判断を
与えないまま、斜め斬る。
血が溢れ出し、崩れ落ちる。
ネウ「ルーク!!お前良くやったね!
許さないね!!」
ルイーダ「いつでも来い、踏みにじってやる
王様は、あの七光り野郎とは、
天と地ほど違う、ただの親の七光りでは、ない
あのお方は、自分の実力だけで
王という地位まで這い上がった。
なんも知らん他人が勝手な事、言うな」
ルーク「んな事、知るわけないだろ!
じじぃ1人なら俺達2人で充分なんだよ」
腹に深手負っていたが治癒魔法を施していて、
傷は、すっかり無くなっていた。
ルーク「行くぞ、反撃だ、いつまでも
やられぱっなしじゃ嫌だしな」
ネウ「そうネ!おじいちゃん
安らかに眠らせてあげるネ!」
ルイーダ「余計なお世話じゃ、小童共
かかってこい」手招きをして、挑発する。
ルークは、銃の引き金を引く
銃口から魔法陣が浮かび上がり、
銃弾が無数にルイーダに向けて撃たれた。
ルイーダ「一気に焼却じゃな
キングファイア!!!」巨大な炎を
銃弾の群れの中に投げ込んだ。
燃え散り、地面に灰になり、落ちる。
ルイーダ「これで終わりとかほざいたら
流石のわしも切れるぞ」
ネウ「終わり訳ないね!じじぃ!!」
高く跳躍して、細長い剣を振り落とす。
ルイーダ「剣の使い方が随分と
手慣れないなぁ」剣を指先で掴み、
ネウネを近くにあった木まで
容赦なく投げ飛ばす。
ルイーダ「普段使う武器とは、違う
今、剣使った方が、こいつを倒せる
そんな簡単に倒せる訳ないやろ
こんなぬるい剣術で、あんまり
笑わせるなよ、じじいを・・。」
ルーク「笑わせるつもりなんかねぇよ、じじぃ
殺すつもりしかねぇよ、
ブラックボックス!!」
地面から、四角の黒い壁が現れ、
ルイーダを閉じ込める。
ネウ「これでお前を攻撃し放題ね
早く倒して、アジトに向かわないと
行けないネ!ルークささっとやるね!」
ルーク「そうだな、や、やっと傷が癒えたぜ
たっぷりいたぶってやるよ
インフォニテイブレイド!!」
無数の剣がブラックボックスを突き抜け
ルイーダの体にも突き刺さる。
ネウ「いい気味ネ!!この調子で
どんどんやっていくネ
ポイズンレイン!」毒の雨が降り注ぎ
血を吐くルイーダの姿が見えた。
ネウ「弱ってるみたいネ!ここで
叩かみけるネ!!」
「こうも簡単に騙せるとは、思わなかったなぁ」
背後から声がして振り向く。
ルーク「な、なんでお前がここにいるんだよ!!」
ルイーダ「何でって、いるからだろう」
この状況がよく分からない、ルイーダは、
無傷でケロッとしている。
さっき攻撃を与えたはずなのに
そうは、見えない。
ルイーダ「お陰で分身に使った人形が
ボロボロになったし、使い物にならねぇな」
指さした先には、
ヘナヘナとなったルイーダそっくりの人形
が地面に落ちていた。
ルイーダ「お前らが攻撃してたのは、
人形で俺じゃない、その隙に俺は、
お前らの所まで魔法でワープして
という訳だ。やりたい放題
やってくれたみたいだな、人形相手に・・。
痛すぎるよな」ゲス笑いを浮かべ
指を鳴らす、「これで終わりだ。テロリスト共
フリーズ!!ストーン」
一気にルークとネウネは、
氷漬けにされ、カチカチに
固まっている。
ルイーダ「時期に解ける、その時までな」
森の奥へと足を踏み入れる。
続く。




