強くなった僕(ドラゴン編の後日談)前編
「豚族の村 ピグの家」
ピグ「ただいまブー!!」
勢いよくドアを開けると
抱きしめられ、ちょっと苦しい
ピグの母「おかえりブー!
心配したブー!無事に
帰ってきてくれて嬉しいブー
ほらお父さんも!そんな
遠くにいないでブー」
ピグ「お父さん、ただいまブー」
ニコッと笑い、お母さんを
そっと引き剥がし、歩み寄る。
ピグの父「よく帰ってきたブー
おかえりブー、ピグ」
ピグ「お父さんの顔、久しぶり
見れて嬉しいブー」
ピグの父「そ、そうかブー、
お前もいい加減親離れしなさいブー」
ピグの母「なんでそんな事言うブー!
お父さん!ピグがいつ帰って
来るか心配で家中を
ウロウロしたり、ソワソワしたり
上の空だったじゃないブー!」
母さんは、何故か怒っていて
父さんは、タジタジで
そんなことは、ないと
否定を必死にしていた。
僕は、父さんが親離れしろ
と言われた事は、気にしていなくて
ただこの家に帰ってこれた
それだけで嬉しくて
ふたりが喧嘩してる前で
涙を流していた。
ピグの母「どうしたブー?急に泣いて・・」
心配そうに僕に駆け寄る。
ピグ「なんでもないブー、タダの
嬉し涙ブー、荷物を部屋に置いてくるブー」
階段を上がり、部屋に入った。
ピグの母「あの子、顔つきが変わったブー」
ピグの父「そうかブー、何も変わってないブー」
ピグの母「お父さんは、分かってないブー、
凛としている感じがするブー」
ピグの父「えぇ・・、そんな感じしないけどブー」
ピグの部屋を見上げ、父は、切なそうな顔をしていた。
ほんとは、よく帰ってきたと
母さんみたいに抱きしめてやりかったが
照れ臭くて、とってもじゃないけど
出来ない・・・・。もしかしたら
俺の方が子離れが出来てないかもしれない・・。
*****************
部屋に入ると、何も変わっていなくて
そのままだったブー。でもちゃんと綺麗で
母さんがこまめに掃除してくれたのが
見ただけで分かった。
ピグ「帰ってきたブー、でも何で何か
寂しいブー・・・・」俯き、荷物を
そっと落としてしまう・・・。
母さんだって父さんだっている、
なのに、なんで寂しいのだろう・・。
側にみんながいないから?
王様、カレン、ガイ、エリー
思い出すと、涙が出てしまう
堪えて、首を激しく振る。
僕は、変わってなんかいないブー
一年前の泣き虫で臆病なまま・・。
王様がそばにいない。みんなは、ここにいない。
いつも王様は、僕の頭を優しく
撫でてくれて微笑んでくれる。
それも今日から無くなってしまう。
王様は、僕と同じで寂しいだろうか?
でもどうせ会うのだったら
王様と皆にもっと強くなった僕に
なって、会いたい。
僕でもこんなにも強くなれたんだよって
証明したい・・・・。
突然、ピンと閃き、部屋を出て
急いで階段を降りた。
ピグの父「どうしたブー?ピグ」
ピグ「父さん、僕が村にいる森の魔物を
退治するから、現れたら言って欲しいブー」
ピグの父「急に何を言い出すんだブー!
もう冒険は、終わったブー、
帰ってきてまで危ない真似するなブー!」
ピグ「僕は、強くなったブー!
お父さんは、知らないかもしれないけどブー
だから前の僕とは、違うブー」
ピグの母「確かに違うブー、お父さんは
鈍感だから分かってないだけブー」
ピグの父「何を言ってる、俺は、
鈍感じゃないブー!」
ピグの母「はいはい、ピグ、
別にあたし、反対しないブー
でもピグ、無理は、ダメブー」
ピグ「母さん?わかったブー
でも父さんが・・・・・・。」
ピグの母「大丈夫ブー、お母さんが
説明するブー、ピグの事が
大好きだからわかってくれるブー
だから、あなたがやりたいように
やりなさいブー」
父は、顔を真っ赤にし、そっぽ向いていた。
ピグの母「でも今日と明日は、
ゆっくり休みなさいブー、長旅で
疲れたブー、分かったブー?」
ピグは、頷き、「ありがとう」と微笑み
部屋へと戻る・・・・。
ピグの父「母さん、ほんとにいいのかブー?」
ピグの母「何がブー?」首を傾げる。
険しい顔をして言葉を返す。
「わざとブーな!母さん、せっかく
あのドラゴンを倒しきたんだ。
あの子に戦いを背負わせなくていいブー!」
ピグの母「お父さんは心配性ブー?
あの子がやりたいって言ったから
賛成しただけブー、それに
何か考えがあるブー、ピグなりに・・。」
ピグの父「そうブーか、母さんに
こういう時に何言っても無駄って
俺は、知ってるブー、見守ってやるブー」
ピグ「是非、そうしてブー」
優しく笑いかけ、寄り添う。
「ピグの部屋」荷物を漁り、カレンから
貰ったナイフを取り出す。
刃が光り、持ち手には、魔法陣が
施している。
カレンが言うには、普通のナイフとは、
違うらしく、ピンチになった僕を
助けてくれるらしい・・・。
ナイフをジッーと見つめ、
冒険用のポシェットに入れ
チャックを閉めた。
「翌朝」目を擦りながら、階段を降りると
リビングでは、テレビの画面から
王様の声が聞こえる・・。
ピグの母「おはようブー、ピグ」
ピグ「おはようブー、お父さんは、?」
ピグの母「今日は、仕事は、休みで
部屋でゆっくり寝てるブー」
ピグ「そうブー」テーブルに座り
卓上には、美味しそうな朝食を置いていた。
いい匂いがして、食欲をそそる。
ピグの母「王様、帰ってきたばっかり
なのに、忙しいそうブーな」
王様は、テレビの取材を受けていて、
疲れたような顔なんか全くせず
同じ世界にいるのに、遠い感じがした。
ピグ「大変そうブーな、きっと
疲れてるの隠して仕事してるブー」
ピグの母「そうね、ねぇ、ピグ、寂しいのなら
寂しいって言ってくれて良いブー、
ピグが王様にちゃんと顔見せられるように
なったら、一緒に会いに行きましょうブー、」
優しく囁くように言われ
涙が零れそうになる、唾を飲み込んで
堪え、口を開く。
「母さんには、何でもお見通しブー
うん、僕、強くなるブー」
ピグの母「当然ブー、あたしからしたら
ピグは、充分強いけど、貴方が
そう思うのならそうしなさい
お母さん、そういうの分からないブー・・。」
ピグ「ありがとうブー、お母さん・・」
ピグの母「良いブー、そういえば
あの子には、会ったブー?」
ピグ「あの子って誰ブー?」
首を傾げてた。ピグの母「ユミンちゃんブー
心配してたブー・・」
ピグ「あぁ!分かったブー、
朝ご飯食べ終わったら会いに行くブー」
ピグの母「そうブー、(鈍感な子ブー・・。)」
ユミンちゃんは、僕の幼なじみで女友達だ。
ご飯を食べ終わり、ユミンちゃんの
家に向かう・・・・。
「ユミンの家」ユミン「ドラゴンは、
倒したのにピグ君は、帰ってきてないブー」
悲しい顔をして、椅子に座っていた。
玄関の鐘が鳴り響いて、急いで
ドアを開ける。
ユミン「ピグ君!!帰ってきたブー?」
手をそっと握る・・。
ピグ「ただいまブー、ちゃんと
お別れ言ってなくてごめんブー」
ユミン「そんなのいいブー、まさか
ピグ君が勇者なんて思わなかったブー」
「僕もそれは、びっくりしてるブー」
ユミン「ピグ君、勇者に選ばれるなんて
実は、強かったんだブー、力持ちだもんねブー」
ピグ「そんな事ないブー、ユミンちゃん」
ユミン「ううん、ピグ君は、
弱くなんかないブー、無事に
帰って来てくれて良かったブー・・」
ピグ「ユミンちゃん・・・、心配させて
ごめんブー・・・。」
ユミン「ピグ君、お散歩に付き合ってくれたら
許してあげるブー!」
ピグ「分かったブー!そんなので良いブー?」
ユミン「良いブー、今から行こうブー」
コクンと頷き、手を繋がれる。
ユミン「とりあえず、隣町まで行くブー!」
ピグ「分かったブー・・・・・・。」
**************
ガイ「イリスとカーサンって近いだな」
エリー「まぁ隣国ですしね、ガイ
カーサンは、ピグさんの故郷が
ありますけど行きますか?」
ガイ「寄りたいに決まってるだろ
ピグみたいな可愛いブタが
いっぱいいるんだよなぁ!?」
エリー「さぁ、詳しくは、知りませんが
そうじゃないですか?食料、買わなくていいですか?」
ガイ「その後でな、それよりピグと会うのが
楽しみだな!!」
エリー「はいはい」カーサン国とイリスの
国境の間にちょうど市場がある
そこを歩き回っていた。
ユミン「商店街なんて久しぶりブー!」
ピグ「そうブーな、何見に行くブー?」
ユミン「んー、色々見て回ろうブー」
ピグ「そうブーな」エリー「ピグさん?」
目の前にエリーとにガイが居た。
「おっ!ピグじゃねぇか、
横にいるのは、彼女さんか?」
ユミン「えっ?そんなの照れ\
ピグ「違うブー、友達ブー」
ユミンは、顔を赤くして、頬を膨らませる。
エリー「ピグさんって鈍感なんですね」
ピグ「なんの事ブー?」ガイ
「エリー、お前も人の事、言えないぞ☆」
エリー「えっ?どういう事ですか?」
ガイ「自分の胸に当てて聞いてみなさい」
エリー「意味が分からない事、言わないで下さい」
険しい表情をしていた。
ピグ「そういえば、なんでガイ達がいるブー?」
ガイ「旅でな、これからピグの
故郷に行こうと思ってたんだよ
後、カーサンの首相会いにな」
ピグ「そうブーか、元気そうで
良かったブー・・・・。」
ガイ「ピグは、何してるんだ?」
ピグ「ユミンちゃんと市場巡りブー」
ガイ「そうか、邪魔だと思うだが
ついて行かないか?って言っても機関車
に一緒に乗るんだけだけど・・。」
ピグ「全然、いいブー!!」
****************
「カーサン国の駅前広場」
ガイ「邪魔したら悪いから、ちょっとの間。
二人で楽しんで来いよ」
エリー「じゃあ、ピグさん」
ピグ「分かったブー、バイバイブー
全然邪魔者じゃないのに・・。」
ユミン「あたし達がことじゃないかなブー?」
ピグ「そうかもしれないブー
ガイとエリーは、仲が良いブー。」
じっと二人の後ろ姿見て、嬉しそうに言う。
ユミン「一緒旅してた人ブー?」
ピグ「そうブー、他にも王様や
猫耳の魔法使いがいるブー」
ユミン「そうブー」ニコッと笑いかけ
ピグ君に寄り添い歩いていた。
****************
ガイ「ほんとにブタばっかりだな」
村の入口でウロウロしながら
興奮して目がキラキラしている。
エリー「そうですねー、それにしても
平和な村ですね、ピグさんが
帰ってくるまでどうしますか?」
ガイ「そうだな、とりあえず
村を見て回ろうぜ、何かありそうだし」
エリー「そうですか、そんな
珍しい物がある気は、しませんが・・。」
ガイ「それは、見て見ないと分からないだろ」
エリー「嬉しいそうですね」
村の奥に進み、目的も特に決めず
エリーの勧めで宿に荷物を置き、
村観光へと走り出す。
*******************
「夕方」になり、ピグ達は、村に
帰って来て、ガイ達に落ち合う
ガイ「おっ!ピグとユミンちゃん、おかえり」
ピグ「ただいまブー!!ガイ」
ユミン「えっ・・とただいまブー」
エリー「金髪の方がエリーで
チャラいのがガイです」
ガイ「チャラくなんかねぇよ、なぁ
ピグ、もしあれだったら
明日、森に一緒に行かねぇか?」
ピグ「別にいいブー」
エリー「じゃあ決まりですね、ガイ」
ガイ「そうだな」2人と
再会できて嬉しい気持ちもあるけど
みんなが揃って無かったら
寂しい気もした。
続く




