正夢には、ならせない
「カーサン国の豚族の村」
ベル「貴方は、誰かしら?」
あたしの目の前には、
黒いマスクをしてコートを着た
男が警備をしていた兵士を
なぶり殺す。
まるで命をもてあそぶように・・。
「その顔どっかで見たことあるな
カーサン国の首相、ベル
お偉いさんがこんな戦場で
何してるんだ??」
ベル「それは、あたしが聞きたいだけど
先に聞かせて貰っていい?
なんの目的でうちの兵士を
皆殺しする必要があったの?」
男の周辺には、兵士の死体が
そこら辺に転がっていた。
「目的なんかあると思うか、
邪魔だから殺しただけだ。
悪いか?お偉いさん
そちらの兵士さんは、
俺に恨み持ってるみたいだけどな
さっきから、殺気を感じるしな」
ベル「そりゃそうでしょ、
同志ある仲間をあなたが殺した
たんだから、あたしは
貴方を許さない、
絶対にね、この手で仇を
取るわよ!!」
「ほぅ、それが戦争という物じゃないのか?
ただの殺し合いだろ、何も生まない」
ベル「あなたにとって、ただのだとしたら
この戦いになんの意味があるの?
ただ殺戮を楽しみたい為に始めたの?」
「この世界を手に入れる為だ、
王様が王の座を譲ってくれれば
犠牲を増やさずに済む
きっと命欲しさに譲ってくれるだろう」
ベル「分かってないのね、あいつは、
自分のことなんて後回しなのよ!
国の為、国民の為にあんた達と戦う事を選んだ
あたしは、首相として
彼について行くと決めた!からには、
貴方に王の座なんか渡さない」
「残念だなぁ、じゃあ、ここにいる奴は、
死んでもらうしかないなぁ」
ベル「嘘でしょ・・・・。」
男の背後から、巨大な羽が生え
恐竜のような魔物が数匹現れた。
「分かっていると思うが俺は、
黒き翼のボスだ。こいつらは、
俺のペットみたいなものだ
懐かれてるみたいでな、俺の命令は、
何でも聞く、こいつらを殺せ」
鋭く光った野生の目がこちらを見つめる。
ベル「矢を放て!!」あたしの後ろにいた
弓兵に命令する。
「はい!!!」火を纏った矢を打つが
跳ね返されるだけで、身に刺さらない。
ボス「矢なんて当たるわけないだろ
こいつらの背中は、鋼みたいに固く
銃も矢も通さない」
ベル「何、大したことないじゃない
弓兵、あれをやりなさい!」
ボス「何か策は、あるのか?」
ベル「さぁ?あなたもやるでしょう?
己の野望の為に戦わないの?」
ボス「いいかもな、やってやるよ
お偉いさん・・・。」
ベル「頼むわよ、皆」
兵士「はい!後で援護に向かいます」
ベル「分かったわ、無事でね」
ボス「1人でいいのかよ、どうせ
戦った事もろくにないじゃないか?」
ベル「あたしが親の七光りだとでも言うの?
あたしの親は、一般人よ、
平凡な家庭で生まれたわ、父が軍人で
憧れて、この道に進んだ。
実力でここまで駆け上がって来たの
弱くなんかないわ」
ボス「そうか、でも俺より劣る
さぁやるか・・・・・」
この村を絶対守ってみせる
あたしは、あいつと約束したんだ。
より一層槍を握る手は、強くなり、
円を描く様に回す。
槍は、風を起こし、暴風が吹き荒れる。
ボス「これ位の風どうってことは、ないが
何も無いなら仕掛けるぞ」
ベル「発動!!」風に透明な刃が
混ざり、男に切り傷を刻んでいく。
ボス「そういう事か、お偉いさん」
ベル「振り切ってみなさい、じゃないと
面白くないから」微笑み、挑発する。
そろそろか・・・・。
弓兵は、矢を地面に放つ、
恐竜のような魔物達の周辺に矢が刺さる。
魔物達は、踏み潰すが粉々に壊れる
理由でもなく、固く、どうも出来ないようだった。
1匹の魔物が羽をパタパタさせ、
飛ぼうとするが、わずか数センチ浮く
だけでこれ以上、上に進めないみたいだ。
弓兵「よし!魔法兵!!やってくれ」
魔法兵「了解!やってやろうぜ!
連携魔法!!四大魔法!!発動!」
魔法兵1「巨炎!!」巨大な炎が
魔物達に落ちてきて、悲鳴をあげている。
魔法兵2「アクアソード!!」
魔法陣から、無数の水の剣が放たれる。
魔物達は、必死に火を吹いたり、
殴ったりするが、透明な壁が
防いで、ヒビが入ることも無かった。
魔法兵3「巨雷槍!!」電流纏った巨大な槍が
上空から落とされる。
魔法兵4「止めだ!!トルネード」
竜巻を起こし、魔物達の体は、ボロボロになっている。
息もなく、虫の息だった。
ボス「やるじゃないか、お前の兵士、
でもな、恐ろしいのは、ここからだ」
ベル「ふーん、そう、兵士達も
これで終わるとは、思ってないわよ」
ボス「まぁそんなことは、どうでもいい
ささっとやろうぜ」
ベル「どうやって、今のあなたに何ができるの?
振り切る事出来てすらいないのに・・」
ボス「こんな擦り傷くらいどうってことはない
それにすぐにでも振り切れる」
ベル「ふーん、面白いじゃない」
**********************
なにか嫌な予感がする・・・・。
王様は、険しい顔を浮かべ、
ルークを睨んだ。
「囲まれるのに
考え事とは、呑気だなぁ
どうでもいいかもしれないが、
うちのボスがカーサン国に出向いてる」
王様「それがどうした?」
ルーク「分かんないのか?うちのボスは、
どうしようもなく、強い
そこら辺の人間じゃ歯が立たない、
化物だ、恐らく滅ぶだろう・・」
王様「そうか、カーサン国の首相は、
負けず嫌いである意味、化物だ、
タフで簡単にへこたれやしない」
ルーク「分からないぜ、うちのボスなら
殺りかねないからなぁ」
王様「それは、困るなぁ、はやくお前らを
やらないとなぁ!!」
剣を引き抜き、振りかざす
魔法を唱える
「ソードキャノン!!」魔法陣から
無数の剣が現れ、放たれる。
カノン「罪深い者よ、罪の牢に閉じ込めろニャ!
ブラックボックス!!」
ルークは、黒い箱に閉じ込められ、
狭い中、飛んでくる矢を避けなきゃいけないが
不可能に近く、腹あたりに刃が刺さった奴を
握り、抜いた。
ネウ「あんた、大丈夫なのね?」
ルーク「そう見えるか?な訳無いだろ
インフォニティピストル!!」
ブラックボックスにひたすら
銃を打っていくうちにヒビが入り、
粉々に壊れた・・・・・・・・。
ルークは、地面に大量の血を吐き
王様とカレンを睨んだ。
「あんたらの事、正直言って舐めってたわ
そりゃドラゴンを倒したもんな
強いに決まってるな」
王様「いきなりどうした?弱気にでもなったのか?」
ルーク「なってねぇよ、面白くなってきたな
って思って・・・・。」
ピグ「もう、ボロボロなのに戦う意味なんて
あるブー!!フラフラブー!!」
ルーク「同情なんていらないんだよ!!
俺を殺せよ!!勇者は、世界に
害を成すものは、排除するだろ」
ピグ「望み通り、やってやるブー!!」
拳が震え、力など入っていなかった。
ルーク「そんな弱いパンチ
効かねぇだよ、舐めてんのか!?
本気で殴れよ!」
頭を掴まれ、投げ飛ばされ、
地面に手をつき、踏ん張る。
王様「ピグ、戸惑うな、言っただろう
戦争とは、殺し合いだ。
何の為に俺は、お前を戦争に
参加するのを許可したんだ?」
ピグ「ぼ、僕は、世界を救うために
故郷を守る為に!!戦ってるブー!
この世界を壊されたくないから、
幸せな日常を守りたいブー!!
だから僕は、お前を殴るブー!!」
助走をつけ、高くジャンプする。
「キングポークパンチ!!」
腕だけが巨大になり、思い切り
ルークの頬を殴った。
吹き飛ばされ、その場に倒れ込んだ。
王様「良くやった。ピグ!」
ピグ「油断は、ダメブー!生きてるブー」
エリー「って言っても虫の息ですね
死ぬのも時間の問題じゃないですか?」
ネウ「ルーク!!今回は、
これで退散してやるネ!!一つ忠告ね
ボスは、強いから、カーサン国の女性首相
じゃ倒せないネ、殺されるだけネ」
ルークに肩を貸し、巨大な鳥に乗り、
仲間の鳥も続いて飛んでいた。
エリー「この国を滅ぼす事が
彼らの目的では、無かったのですかね?」
ガイ「さぁ?手下も全員殺られて
仲間の幹部も瀕死で
目的を果たすのが無理だと
おもったんじゃねぇの」
エリー「ガイにしては、まともな答えですね」
ガイ「なんだよそれ!!」
エリー「そのままの意味ですよ、
どうしますか?王様」
王様「今からカーサン国に行く、
べニラ、お前と半数の兵士は、
ここに残ってくれないか?」
べニラ「分かりました、言わなくても
分かりますよ、全く焼けますね
勇者、あなたには、」
ピグの頭を撫でる。
「よくわかんないブー?」
べニラ「別にそれでいいですよ」
ピグ「何かそれは、それで気持ち悪いブー!!」
べニラ「いつか分かりますよ、
他に理由は、あるでしょうが
ご友人を守りたいでしょ、王様」
王様「分かってるなら聞くな、べニラ」
べニラ「そうですね、いってらっしゃい
王様がこの世界に勝利を
持って帰ってくる事を祈って
お待ちしております・・・。」
王様「当たり前だ。行くぞ、皆」
ポケットからボールを取り出し
ピーが現れた。
ピー「久しぶりピー、こんな大勢
連れていくピー?」
王様「流石に無理があるよな」
ピー「仕方ないピー、仲間呼ぶピー」
王様「他にもいるのか?」
ピー「いるピー、今から呼ぶピー
ピー♪ピー♪ピッー♪ピー♪ピー♪」
ひたすら羽根を横に振って、
周りながら、舞い踊っていた。
ガイ「可愛いすぎだろ・・・・」
空から、群れの巨大な鳥がやって来た。
ピー「来たピー、皆、適当でいいから
乗るピー!!」
ピグ「王様、乗り物酔いとか大丈夫ブー?」
王様「仕方ない、こいつが一番早いんだ。
それに薬一応持ってるから何とかなるさ」
ピグ「それなら良かったブー」
全員、巨大な鳥に乗って、空へと飛んでいく。
ガイ「スパーク、もういいぞ」
スパーク「分かった、やすませてもらう」
指輪に戻った。
エリー「敵は、見当たらないですね」
王様「あいつらだけだったんだろう・・・
目的がここならば、もっと
敵をよこしたはずだ、
それじゃないって事は、目的は、
他にある・・・・・・。」
カレン「でもカーサン国は
軍事国ニャ、こっちが優勢じゃないニャ?」
王様「さぁな、あいつは、
バケモノと言っていた、多分
人外じみて強いだろう・・・。」
エリー「対策は、あるんですか?
王様・・・・・・。」
「ないに決まってるだろ、敵のボスを
見て、判断するしかない」
エリー「まぁそうなりますよね
そんな事いったら、兵士の皆様が
不安がりますよ」
王様「今、王国の兵士は、こういうのに
慣れっ子だから大丈夫だ、
それにこいつらは、タフさで
化物だからイケルさ」
兵士は、クスリと笑い出した。
「王様、言ってくれますね、
そう言われると、やる気が出ますよ」
王様「それは、良かった、
エリー、だから言ったろ」
「素晴らしいものですね、王様の人徳は、」
王様「さてどうかな、不安材料が
何個もある、その一つは、どうにか
出来るがもう一つは、俺がどうにも
出来ないし、信じるしかない・・・。」
*********************
「イリス国の周辺」
なんで、なんで、俺がこんな目に
遭わなきゃいけない・・・・・。
地面に尻餅を付き、刃を差し向けられる。
「おじちゃんの国弱すぎるよ
つまんなかったよ・・・」
遡ること数時間前・・・・。
今日、黒き翼が戦争仕掛けるらしいが
大したことは、ないだろう、
たかが数百単位の敵軍・・・・。
手をこまねく程でもない
この戦いは、こちらの勝利に終わるだろう。
若造の王は、油断するなと言ってたが
こんな大軍を前に勝ってるやつら
なんてないだろう・・・。
数千単位の軍だ。どうに見ても負けないだろう。
俺は、イリス国にある官邸の
書斎で座っていた。
兵士「首相!黒き翼がこちらにやって来ました!
イリス国の森です」
「そうか、昨日話した作戦通りだ。
あの森は、迷路だ。地形を熟知してる
こちらの方が有利だ。
それを逆手を取り、仕留める」
兵士「かしこまりました。必ず
首相に勝利を持ち帰ります」
イリス国の首相「健闘を祈るぞ」
兵士「ありがたき言葉でございます」
軽く会釈して、兵士は、官邸を出て行った。
******************
「イリス国の迷路の森(イリス兵士目線)」
目の前には、双子の子供?と 魔物達だった。
恐らく、魔物使いだろう。
「レン、兵士さん達がいっぱいだね!
僕達を殺しに来たのかな??」
レン「そうだね、でも無理だね、
この人達じゃ僕らを楽しませる
事は、不可能に近いな、リン」
リン「確かにそうかもね!」
2人の間には、微笑ましい雰囲気が
漂っていた。完全に
舐められているな、子供が
大人に勝ってるわけないだろ・・・。
リンという女の子の隣にいたキングベアー
こちらが耳が痛くなる位、叫び出す。
「くまちゃん達?そんなに食べたいの?
全然、いいんだけど、
ちょっと位残してね、
あたしも殺りたいから」
不気味に笑みを浮かべていた。
くまの姿をしてる魔物は、ヨダレを
垂らし、周りを見渡す。
兵士「追い詰められたら
最悪、食べられるってことかよ、
地獄すぎるだろう・・・・・。」
兵士長「食べられる前に殺ればいいだろ、
行くぞ!ここを通すわけに行かないんだ!
怯えてる、場合などない」
敵の残酷極まりない発言よって
兵士立は、驚きと恐怖が少しずつ
襲っていた・・・・・・。
兵士長「それに数で押せば、
人食いの魔物など、どうという理由でもない!
さぁ行くぞ!皆!!」
兵士達は、歓声を上げていた。
冷静に見れば、こちらの勝利は、
確実ででも油断は、禁物だ。
人食い魔物がどれ位強いか
分かってないし、双子の子供は、
謎が多いし、何しろ情報が少くなさすぎる。
首相は、地図上で作戦を練るだけで
戦いに頑なに参加しようとしない。
ほかの国は、王様までも、戦に参加してるのに
命をかけて、この国を守るつもりが
無いのか?親の七光りが!
目の前にキングベアーが爪を立て
襲ってきた。苛立ちを魔物にぶつけ
槍を突き刺した。
俺の鎧に血を吐き、一瞬怯むが
思い切り叫んで、殺気が放たれる。
リン「目の前の獲物に興奮しちゃった
みたいだね、そこの兵士さん、
早く殺らないと、食べられちゃうよ」
少女は、姿が違う魔物が四つ這いに
なってる所に座り、呑気に観察をしていた。
兵士「子供がうるせーだよ!!余計なお世話だ」
一旦、槍を抜き、もう一度違う箇所に
突き刺し、魔法を唱える。
「ファイアークロス!!」火の十字架を浴びせる。
肉体ごと燃え散り、灰へと変わっていた。
リン「うわぁ!兵士さん、怖いね
リン、ゾクゾクしちゃう」
兵士長「子供の挑発なんかに乗るな!
敵の思う壷だ。」兵士「申し訳ありません、
今後は、気をつけます」
兵士長「皆、散開して、一体に数人で
倒したら確実に勝てるぞ!」
兵士達は、散開して、キングベアー達を
確実に減らしっていた。
姿が大きいものの、そんなに力自体は、
大したことは、なく、手こずる程では、ない
子ども相手だから当然か・・・・。
レン「作戦通りだね!そろそろやっちゃう?」
リン「私は、我慢出来ないし、
キングベアーちゃんも減ったしね
そろそろ頃合かもね」
レン「じゃあやろっか!!殺戮ターイム!」
2人でワイワイ話してるみたいたが
こっちに必死で話がよく聞こえない。
リン 「インフォニティソードレイン!!」
無数の剣が雨のように、空から
振り落とされ、魔物に必死になってる
皆は、避けられる余裕などなく
周辺が兵士達の血の海と成り果てる。
目の前には、数10人程の兵士しかいない。
援軍を呼ばなければ負ける。
耳にかけていた伝令機にスイッチを入れる。
「首相!!直ちに援軍をお願いします!
敵は、予想以上強く、残酷非道です!
このままだと我らは、惨敗です!」
イリス国の首相は、生唾を飲み込み、
返答を述べた。
続く




