別れの時
魔物の攻撃は、止むことがなく、強くなる一方だ。
一回は、吹き飛ばす事は、出来たが
こん棒を押さえるのが、精一杯だ。
でも、負ける訳には、行かない・・・・。
ピグ「王様、なんでここに来たブー」
王様「君に謝る為だ、俺は、言い過ぎた、
いきなり勇者だとか言われても
意味が分かんないよな
俺は、君個人の気持ちじゃなく
世界を優先してしまった
すまないな・・・・・・。」
ピグ「それは、王様として当然ブー
僕のすべてが世界じゃないブー」
王様「それは、当たり前だ、
国民一人の気持ちも分からないで
国民全体の気持ち何て分かる訳がない。
だから、君は、俺が守るべき存在なんだ。」
ピグは、俺の背中を叩きこう言った。
「そんな苦しい顔して、
僕の為に戦ってくれる人を
じっと見てるなんて出来ないブー‼
ちょっと王様、離れるブー」
王様「そんな事したら、お前が怪我するだろ」
ピグ「それは、大丈夫ブー、何とかしてみせるブー」
王様「何とかって・・・、不安しかないだが」
魔物「グワァアアアアアアアアア‼」
こん棒を振り上げた瞬間、ピグは、
俺の頭を踏み台にして、
魔物をこん棒ごと、持ち上げ、投げ飛ばした。
王様「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ‼」
驚きのあまり、叫んでしまった。
ピグ「王様、突っ立ってる場合じゃないブー
あの魔物にとどめを刺して欲しいブー」
王様「お、おう、分かった」
倒れてる所まで行き、魔法で炎を発して、
灰となり、地面に散っていた。
ピグ「なんか、王様、えげつないブー!!」
王様「お前がやれって言ったんだろ!」
ピグ「ここまでやれとは、言ってないブー」
王様「ほんと、お前は、」ため息を吐き、
ピグの頭を撫でた。
「王様、どうしたブー?」
王様「それより、帰るぞ、ピグのお母さんだって
お父さんだって心配してる。」
ピグ「分かったぶー、僕、王様・・・。」
王様「どうした?ピグ・・・。」
ピグ「なんでもないブー!!
早速帰るぶー!!」
王様「ちょっと待てよ、ピーちゃん呼ぶから」
ピグ「ピーちゃんブー??」
口笛でピーを呼び寄せ、ここまで来させた。
王様「待たせたな、ピーちゃん」
ピー「それは、いいピー!、どうやら
説得出来たみたいでよかったピー」
王様「まぁそうだなぁ、悪いが
村まで送ってくれないか?」
ピー「いいピー、さあ二人共、
背中に乗るピーーー!!」
王様は、ピグを抱き上げ、ピーの背中に乗せた。
ピー「じゃあ飛ぶピー!!」
徐々に上に上がり、空を飛び立った。
猛スピードで駆けて行き、
俺の気持ち悪さがまた喉まで駆け上がってくる
ピグ「王様、どうしたブー?顔が青いブー
乗り物酔いブー??」
王様「大丈夫だ、もうすぐ着くだろう」
ピグ「我慢したら余計に苦しいブー!!」
王様「ほら、村が見えてきた
ピーちゃん、今すぐ下ろしてくれ・・・。」
ピー「分かったピー!!」
村の川のそばに着地して、俺は、
すぐさま降りて、吐こうとしたが
ピグが急いでバケツを持って来てくれたので
そこで吐いていた。
しばらくお待ち下さい・・・・。
王様「はぁ、スッキリした!!
ありがとうな!ピグ」
ピグ「それは、いいブー、もう大丈夫ブー??」
王様「おう、大丈夫だ」
ピー「王様は、貧弱ピーこれくらい
ピーにとっては、朝飯前ピー!」
王様「やかましいわ、苦手な事だってあるんだよ
さて帰るか、ピグ・・・。」
ピグ「帰る前に話したいことがあるブー」
王様「どうした?ピグか・・。」
ピグ「僕、勇者になって、ドラゴンを倒すブー
じゃないと僕が何もしなかったら
この村や世界が壊れてしまうブー
僕1人だったら絶対に無理だけど
王様とだったら行ける気がするブー」
王様「俺の言葉に動かされていないか?
嬉しいがそれは、ホントに君の意思なのか?
君は、勇者にふさわしいと俺は、思っている
でも・・・・・・・・・。」
ピグ「それは、なんでブー!!」
王様「えっ?君は、怯えているのに
俺を必死に守ろうとした。
誰にだって出来ない事だ。人を救うのが
どんなに難しいのは知ってるから
それにあんなに力持ちなんて凄いな!」
ピグ「王様は、始めて、そうやって
僕を認めてくれて褒めてくれたブー!!」
王様「そんなの俺の言葉なんて
大したものじゃないぞ」
ピグ「僕にとっては、大したものブー!!
だから、王様について行くって決めたブー!!
これは、誰にも曲げないブー!!」
王様「分かったよ、ピグ、ありがとう
世界の為に決意をしてくれて、
オレと一緒に倒そうな、ピグ」
ピグ「さっきからそう言ってるブー!!
やっと分かってくれたブー
お母さんとお父さんに別れを行ってくるブー」
王様「分かった、ピグ、
お前を絶対に守るから、そんな事には、させないから
必ず生き帰れるって事を」
ピグ「それぐらい分かってるブー!!
ついでに荷物もとってくるブー」
ちょこちょこと歩き、村の奥へと進んでいた。
ピー「心配ピー?」王様「そうだな」
ピー「でも大丈夫ピー、きっと世界は、
いい方向に向かってるピー。」
王様「神のお告げか・・・・。」
ピー「そうかもしれないピー・・・。」
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「ピグの家」お父さん「帰ってきたブー」
ドアを開けると、駆け寄って来てくれて、
まだお別れしないのに泣きそうになる。
ピグ「ただいまブー、母さん、父さん
話したい事があるブー」
母さん「ピグ、無理して言わなくていいブー
勇者になって、ドラゴン倒しに行くブーな」
ピグ「なんでわかったブー・・。」
母さん「何年、ピグの一緒にいたと思ってるブー?
そんな事位分かってるブー、
それがあなたの意思なら行きなさい」
ピグ「母さん・・・。」涙を堪え、
父さんを方を見た。慌てて、
背中を向け、顔が見えない。
父さん「王様を困らせるなブー!!
お前は、臆病者で勇者だなんて
ビックリしたブー、でも行くブー
それが使命ブー!!」
ピグ「そんなの分かってるブー
父さん、絶対に生きて帰ってくるブー」
「そんなの当たり前ブー!!
何を言ってるブー」体を震えさせ
時おり、嗚咽が聞こえ、泣いてるのは、
顔を見えなくても、分かっていた。
でもここでもらい泣きしちゃだめだ。
不安させてしまうから・・・。
母さん「ピグ、安心しないブー
いつだって帰れる場所があるブー
だから不安がるなんてないブー
ピグが進みたい道に行くブー」
ピグ「母さん、ありがとうブー!!
じゃあ行ってくるブー!!」
握られた手は、暖かくて
離したくなんかない、でも僕は、
旅立って行かなきゃいけない・・。
勇気を出して、そっと離して、バイバイをして
家を出ていった。
数十メートル、進んだ所で止まってしまう。
なんでこの足は、こんなにもゆっくりなのだろう
早く、王様の所に行かなきゃいけないのに・・。
離れたくないから?僕は、
決めたんだ、自分の意思で
だからそれを曲げる訳に行かない。
誰かの手が差し伸べられた
下を向いているから顔なんて分からなかった
でも見えなくても誰のかは、分かった
手を力強く握り、すがって、顔をうずくめる
王様「ここじゃ嫌か、もうちょっと
離れたところに行くか?」
僕は、その問い掛けに頷き、
数十メートル離れた所で止まり、
そこは、人通りが少ない所だった。
王様「ここだったら思い知り泣けるだろう
無理に泣けとは、言わないが
我慢すると、この先、厳しいぞ
泣きたい時は、泣けばいい。
俺が受け止めてやる。」
ピグ「うっ!!うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
こんなにも泣いたのは、小さい時以来だ。
今も昔も抱きしめてくれる人がいる
僕は、幸せ者かもしれない・・・・・。
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「ピグの家」母「行っちゃったブー」
父「そうブーな、なんで反対しなかったブー」
母「お父さんだってしなかったじゃないブー
だってピグがやりたい事を
見つけたのって初めてブー
親として応援してあげたいブー
お父さんもそうでしょ?」
「まぁそうブー、まぁあいつなら
大丈夫ブー!!頑張って
きっとドラゴンを倒してくれるはずブー」
母「ふふ、そうブーね、
それ、ピグがいる前で言ってほしいかったブー
きっと凄く喜んでくれたブー」
父「そんな事を言えないブー」
母さんの肩を寄せ、静かになき、
窓のから遠くの空を見つめていた。
3話に続く。