王様との絆
どうか、この子は、死なせない····。
目を瞑り、あたしは、
スグに痛みが襲うものだと思っていた。
でも違った目の前にあったのは、
ルハクの背中だった。
「何をしても無駄だ、
お前らが魔王の手下であれ、
そんなの関係ない、
この世界から出てくれ」
全部の攻撃を剣でなぎ払い、
エリザベス達に差し向ける。
「帰る??何を言ってるのよ
聞くと思う??」
王様「そうしないなら、そうさせるまでだ。」
エリザベス「出来る訳ないでしょ」
王様「ガイ、頼むぞ」
ガイ「ん?何をだ??」
王様「空気を読めよ、
そういう流れだろうが!!」
ガイ「どういう流れだよ」
王様「お前··········。」
ため息を吐き捨て、魔法を唱える。
レム「えっ??ルハク!
無茶しないでください、
貴方の強力魔法は、
制御不能何ですから!」
王様「何とかなるだろ」
レム「嫌、この建物ごと
吹っ飛びますよ!!」
ガイ「吹っ飛ぶ??あっそういう事か
前にもやったよな??」
王様「やっと分かってくれたか」
詠唱を止め、下がっていく。
ガイ「じゃあ行くぜ、
風の精霊よ!!猛威を奮え!!」
精霊は、イタズラに微笑み、
竜巻を巻き起こし、
エリザベス達を吹き飛ばす。
窓は壊れ、どうやら、別世界まで
飛ばされたみたいだ。
わざとかもしれないけどな···。
1度、魔界に戻って、
作戦を立て直すとか·····。
まぁしばらくは、大丈夫だろう。
**************
「光の城」
レム「すいませんね、
助けてもらって、何とか城は、
無事で済みました。」
ガイ「無事では、無いだろ、
窓、壊しちまったし·····。」
レム「まぁそうですが、
責任は、取ってくださいね」
ガイ「そういう事か、治すか」
立ち上がり、工具を持ち上げ、
窓を直し始めた。
ピグ「レム様、庇ってくれて
ありがとうブー!!」
レム「お礼を言われることでは、
ないですから·······。」
カレン「それにしても
こっちからは、扉を
閉めることは、出来ないにゃん??」
王様「魔界の扉をか、
それは、どうなんだろうな」
レム「嫌、無理ですよ、
力関係では、あちらの方が上なので
闇の力で開かれてしまいます。」
王様「そうか、難しいな」
エリー「急に中二病みたくなりましたね」
王様「仕方ないだろ、世界が
そうなのだから」
エリー「意味が分かりませんよ」
王様「そうか??」
レム「ふふ、相変わらず、
あなたは、天然タラシですね」
王様「おれは、そんなのじゃないぞ」
レム「そうですか?
あなたには、ベルという、
大事な女性がいるでしょう
勘違いされてしまいますよ」
王様「そうか?しないと思うけどな」
ため息混じりに立ち上がり、
レムは、本を取り出した。
王様「この本は、何だ??」
レム「世界の歴史です、
あなたが産まれるもっと前、
創設されてまもない頃、
世界は、争いが多く、戦乱とも
言われてました、
ルハク、皆、あたしには、
魔王の闇の力に勝てる自信がありません、
これは、あたしの戦いでもあります
だからこれ以上の深入りは、
しないでください。」
王様「嫌だ!引き下がらない!!
俺は、ずっと、レムに逆らないでいた
でも、今回だけは、
逆らうつもりだ、
背負うなよ、レム一人で
何もかも············。」
レム「背負ってなど、いません。」
ベニラ「あなたは、人々の
悲痛な声や歓喜の声が
聞こえるらしいですね、
嫌だったじゃないですか?
戦乱の時代は、」
王様「ブルートを生んだのも、
世界が焼け野原になったのも、
神は、レムの責任じゃない、
世界の責任だと言っていた
人間達の愚かな選択に
レムの責任にするのは、おかしい」
エリー「そうですよ、
レム様の中に希望を消したのは、
人間達です、だから
もしかしたら、罪ぼろしするには、
好機じゃないですか??」
ガイ「そうだな!一人で、
背負うことねぇよ
あんな奴ら、また来たら
追い払ってやろうぜ!」
ピグ「そうブー!追い払ってやるブー
だから、レム様、一緒に
戦おうブー!!」
あたしの手を握り、希望の眼差しで
見上げられる。
ねぇ、人間達、あなた達は、
戦争や殺戮で、自分で
救える希望を消していってるくせに
ここで、祈るですか?
戦争を終わらせて下さいと、
あたしには、そんな力は、ありませんし、
起こしたのは、あなた達でしょう、
終わらせる選択肢は、
自身にあるのに······。
あたしだって苦しいですよ、
子供たちの悲痛の声や
死にゆく人達の声、
どれもあたしにとっては、苦痛です。
あたしに光を見せろというが
自ら見出そうともしない、
でも彼らが違う。
こんなあたしに手を差し伸べてくれる
光を見せてくれる。
今、ルハクと出会った時の
光がまた見えたの、
闇を打ち消す力は、この世界にある。
そう信じることにした。
レム「そうね、一緒に戦いましょう。
信じてますよ、皆さん。」
皆、あたしの手を握り、
世界は、希望に覆われた。
だから大丈夫。
あたしは、もう挫けない、
光を絶やしたりしない。
もう、あんな思いをしたくない。
だから逃げたりなんかしない、
真正面から立ち向かうんだ····。
次回に続く。