光の精霊の苦しみ
ずっとずっと、君は、
世界の光だ。
それを押し付けられ、
重圧に耐えられるほど、
あたしは、強くない。
でも役目を与えられた
それは、仕方がない。
あたしは、この世界の光なんだ。
そうであることが使命なんだ。
そうやって、無理やり、
自分を納得させて、騙してきた。
あたしの気持ちより世界は、
戦争と殺戮で溢れ、
それでも、あたしだけは、
希望も光も失っては、いけない
絶望しかない、悲鳴しか聞こえない
世の中で光を見出していけば
いいか、そんなの分かるはずがない。
神でもないのに、あたしは、ただの精霊だ。
溜まっていた不満は、
溢れだして、誰も止められやしない。
それは、そうだ、
闇の精霊 ブルートを生み出して
しまったのだから。
あなたが倒してくれなかったら
この世界は、どうなっていたのだろう。
そんなの考えてもわかんないだけどね。
***************
「光の城」
カレン「ここに来てなかったニャ??」
レム「来てませんよ、そんな輩は、」
光の城に珍しい来客が来ていた。
魔界から悪いやつがここに来てないかと
探し回っている。
いないと言っても聞いてない。
カレン「絶対にいるはずニャン
目的は、ここしかないにゃ」
レム「来てませんよ、
いくら王国から近いからって
そんなスグ来れるはずない。」
カレン「嫌、わかんないニャン
なんか瞬間移動とか出来るかも
しれないにゃ···。」
レム「はいはい····。」
カレンは、周りを見渡し、
必死に手当り次第、
調べ回っている。
あたしは、ため息を吐き、
2階へと上がった。
部屋のドアを開け、
写真立てに視線を移す。
あんなに子供だったあなたは、
王になって、世界の為、奮闘している。
あたしは、この10年間
世界の為に何が出来たのだろう。
そんな事を考え出すと
キリがない。
カレン「ニャーーーーーーン!!
ここにも居ないにゃ!」
突拍子もなく入ってきて、
大声で叫ぶ······。
肩をビクッとさせる。
レム「カレン!
せめてノック位しなさい!」
カレン「ゴメンニャ!」
「そんなに怒らなくてもいいにゃ」
ブツブツと言いながら、
そこら辺にある椅子に座っていた。
レム「カレン、ここに何しに来たんですか?」
カレン「だからあいつらを探しに
来たにゃ、」
レム「事情は、知ってますよ
さっき、聞かされましたから···。」
カレン「あともう一つ言ってないニャン
あたしは、独断で
ここに来て、レム様を
あいつらから守るにゃ」
そうやって、急に顔づきが変わるなんて
人間は、ずるい。
人間達は、思わせぶりな事をして、
あたしを惑わして、世界は、
平和になったフリをする。
今までがその繰り返しで
やっと最近、それは、無くなった。
レム「そうですか、
魔界の者に敵うと思っているですが?」
カレン「そんな事は、どうでもいいにゃ
強いのは、知ってるにゃ
ベニラから聞いたから
レム様は、光に溢れてるようで
そうじゃない、時々、闇が見えるニャ」
レム「話の方向転換を
突然、しないでください、
そんな事を聞いてるじゃないです。」
カレン「否定しないにゃん
平気なはずないニャン!
理不尽に命を狙われて、
いくらレム様が強いからって
不安じゃないなんて、
平常心で居れる訳ないって·····。」
レム「あたしは、怯えても、
不安がっても、いけません、
感情を無にして、無にして
世界を揺るがす事も
光を差すことだけ、してれば
あたしの使命は、果たせるのです
だから、カレンが
気にする事じゃない、
もうあたしは、慣れているから·····。」
カレン「それは、麻痺しているだけニャン
もうちょっとしたら、王様も皆も
来てくれるニャン
だから················。」
レム「だから何ですか??」
ドバーン!!!!
突然、部屋が煙に覆われ、
何が起きたか分からない。
ただ、猫耳の少女が
透明な壁であたしを守ってくれたのは、確かだ。
エリザベス「光の城って
こんな所なのね、
ねぇ、レム様は、どんな事されたら
絶望するの??」
カレン「やっぱり、ここに来ると思ったニャ」
エリザベス「どいてくれない?
人間に興味は、無いのよ」
カレン「イヤにゃ、どかないにゃ!!」
あいつらの威圧感に今にでも
負けそうなのに、手も足も震えて、
なのに、あたしを守ろうとしているの??
レム「いいから、あなたは、逃げなさい、
あたしは、大丈夫だから·····。」
カレン「大丈夫じゃないにゃ!!
一対3で何が出来るニャン
こいつらは、レム様をこの世界から
奪うつもりニャン!」
分かってる、分かってるから、
目の前で失うのは、辛いから、
あたしは、いいから、
あなただけでも、この悪魔達から
逃げて欲しい········。
メイカ「もう殺しちゃえば
だって邪魔だし、エリザベス様、
やりましょうよ」
セレフ「お前、残酷だな」
エリザベス「こんなの殺しても
つまらないだけよ、
あなたは、もうどうでもいいわ
光の精霊、質問に答えてよ、
絶望させるには、どうしたらいい?」
あたしを試すような目で
わかってるくせに、なんで聞くの?
レム「分かっているじゃないですか?」
メイカ「大殺戮なんちゃってねぇ!!」
陽気に笑い、気味が悪い
不快さえも覚える。
魔法で赤いナイフで
そこらじゅうに刺して、赤く彩る。
メイカ「こんな風に???」
狂った笑みをこちらに見せつけ
黙ったままだ。
蝶々が部屋に入ってきて、
赤いナイフの矢先に止まった。
「バタフライ」
カレンでもない、こいつらでもない
声が聞こえ、周りを見渡す。
部屋中に蝶々が溢れ、
メイカは、壁に押し付けられ、
蝶々まみれになって、
花の蜜を吸うように、血を吸われてる。
エリー「残酷なのは、
あたしの方みたいですね、
間に合ってよかったです。」
エリーの背後には、
カレンが言っていた皆がいる。
カレン「来てくれたニャン!!」
怯えてた表情が嘘のように
笑顔に戻っていた。
王様「レム、無理する前に
止めれてよかった。」
レム「していませんよ、今も昔も····。」
王様「そうか、レム········。」
ベニラ「センスのない事して、
何が楽しいですか?メイカさん」
メイカ「あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
叫び出して、蝶々を吹き飛ばして、
消滅させた。
息を激しく吐いて、
怒りを混じった目で睨んだ。
体は、血を吸われたせいか
やせ細って、傷だらけだ。
メイカ「許さない!妖精!!
苦しんで死になさい!」
ベニラ「そんなボロボロ状態で
何を言ってるか分かってますか?」
メイカ「分かってるに決まってるじゃない!」
ガイ「どうしようも無いやつだな
こいつらを追い返したら
いいだよな??」
ベニラ「そうですね、
流石に倒すのは、無理そうなので
それでお願いします。」
エリー「光の城、壊してしまいそうですもんね
ここでやり合っても·····。」
メイカ「あたしは、良いけど、
ここが壊れても·····。」
ピグ「お前らが良くても、僕達は、
良くないブー!!」
メイカ「こんなに可愛いのに
勇者だなんて、この世界の命運は、
尽きたわね·····。」
セレフ「まぁ恨むなら、神様を
恨めよな!!」
エリザベス「やめなさい、
安い挑発は、·······。」
呆れたように吐き捨てる。
王様「乗るなよ、ガイ
ここは、レムの城だ、
崩壊させては、いけない
分かってるな······。」
ガイ「はいはい、了解しました。」
引き下がり、心なしか
あいつらを睨んでいるが·····。
王様「レム、何もかも背負うなよ、
別に神は、お前に無理やり、
光を刺せなんて、言ったことなんて無いんだ
絶望だって、希望に変えられる
レム、それは、一番知ってるバズだ
人間がどんだけ醜いくても、
愚かでも、絶望だけは、しなかった
それは、レムがいたからだ。」
レム「ある事ない事言わないでください」
王様「俺は、そうだと信じてる、
だから絶対に奪わせない····。」
またそうやって、
あたしの負の心を救おうしてる。
昔、あなたがあたしに
手を差し伸べたように、
荷が重い、光の精霊の役目を
ましてや人間に背負わそうなんて
思いもしない。
重いのを持つのは、あたし一人で
十分だ·········。
ベニラ「使命とか、めんどくさいですよね
生きる人を苦しめるだけですし、
まぁ、レム様は、
俺達に救われてください
今まで恩を返しますから·····。」
レム「あたしが、あたしが
あなた達になにかしましたか??」
ピグ「そんなのじゃないブー
レム様は、みんなにとって
大切な人ブー!!
守りたいのは、当然ブー!!」
必死に手を握って、
訴える、あたしの心に·····。
ねぇ、ブルート、あなたは、
あたしの負の心から産んだ
子供みたいなもの。
あたしの不満や不安や
この世界の絶望を吸いすぎて、
あんな横暴で人々を苦しめて、
しまったけど、
あなたは、生まれたのは、悪くない。
ただあの時、心を折れてしまった
あたしが、あたしが········。
ねぇ···········。
エリザベス「こんな茶番、
見せられる身にもなりなさいよ!」
闇が手から溢れだして、
放出させる。
ピグが、勇者がやられてしまう。
この世界が·····。
小さい体を抱きしめて、
あたしは、この子を守る。
どうでもいいからあたしのことは、
だから、だから······。
次回に続く。