冷徹な男。
「牢屋」
周辺には、兵士達の死体が
転がっていて、異臭を放っていた。
手を合わせ、目をつぶる。
ベニラ「ご冥福を祈ります
よく頑張ってくれましたね」
静かに溜息を吐く。
ハヅキ「それにしてもひどいね
これは、人間の仕業じゃないよ」
ベニラ「そうですね、
バラバラに切り刻まれていますし、
残酷、極まりないですね」
ハヅキ「まぁそうだね
それにしてもなんの目的で
こんな事をしたか分からないね」
ベニラ「何ですか?
王様に対しての反乱じゃないですか?」
ハヅキ「君、王様の右腕だよね??
まぁいいけど
この世界を壊してきただったら
最高に笑える。」
ベニラ「それは、笑えますね」
ハヅキ「無駄話は、置いといて、
犯人を探そう、まだいるはず····。」
ベニラ「そうですね」
**************
牢屋は、まるで迷路で
道がいくつかに別れていた。
エリザベス「これは、
迷いそうね、どうしましょう。」
セレフ「どうしましょうって
何か考えは、ないんですか?」
エリザベス「んーだって
貴方達が捕まる事自体、
想定外だったし、仕方ないじゃない?」
セレフ「それは、僕達が悪いですが、
助けに来てくれたのは、エリザベス様ですし」
エリザベス「まぁそうね
方法がない訳じゃない、
よく覚えておきなさい、
失敗した貴方達にチャンスを
あげたの、感謝しなさい。」
ベニラ「随分、部下に偉そうな口を
聞くみたいですね、
それじゃ誰も着いてこないですよ」
メイカ「誰かしら、あの兵士達の生き残り?」
ベニラ「違いますよ、その上司です
良くもやってくれましたね」
エリザベス「やったのは、あたしよ」
騎士のような制服を着た男達が
こちらを睨む····。
ハヅキ「やっぱり人間じゃないんだね
うちの兵士達をよく、惨殺してくれたね、
君、殺されたいの?」
エリザベス「な訳ないでしょ
笑わせないで、だって弱かったから
加減が分からなかったの」
ハヅキ「そっか、んー
今の君には、怒りしか感じない。」
ベニラ「挑発に乗らないで下さいよ
ハヅキ副騎士長。」
「俺がそんなものに乗ると思うかい?」
ベニラ「今乗ろうとしてたでしょ」
ハヅキ「バレたか········。」
あたしの前に人間が2人。
惨殺したいのは、山々だけど、
牢屋の中は、迷路で
抜け出そうにないし、脅して
案内して貰おうかしら······。
殺すのは、その後でもいいし····。
エリザベスは、背後から
トゲトゲしたツルを吐き出し
男二人に襲いかかる。
目に映った光景は、
ツルは、散り散りに刻まれ、
男達は、無傷でいた。
ハヅキ「全く怖いね」
ベニラ「あなたは、何もしてないでしょ
道なんか案内してあげませんよ
逃がす訳に行きませんから····。」
エリザベス「気持ち悪いわね」
ベニラ「何となくで分かりますよ
まぁ、3人共、捕まってください☆」
にこやかに笑い指をパチンと鳴らす。
メイカ「何するつもりなの?」
ベニラ「さぁ??上をご覧なったら
どうですか?」
そう言われ、見上げたがもう遅かった、
黒い頑丈な牢獄が落ちてきた。
ハヅキ「気をつけてね、
魔法を使っても、武器を使っても、
無駄だから、使ったら
致命的を負うから、
いくら人外でも········。」
不敵な笑みを浮かべ、
男達は、去っていく。
**************
やれやれ、人騒がせですね
この牢獄は、罠だらけで
逃げる前に死ぬのですが
まぁ今生きてるだけでも
彼らは、幸運でしょうね·····。
エリザベス「良くもやってくれたわね、
褒めたいけど、それは無理ね」
血だらけの羽が生えた女性が
ツルの刃を向けてきた。
背後には、同じく、
大量の血を服になすりつけ、
こっちを殺気混じる目で睨んだ。
ベニラ「盛大にやられちゃったみたいですね」
ハヅキ「忠告聞いてないでしょ」
エリザベス「そんなのどうでもいいの、
こっちは、貴方達のせいで
えらい目にあったの」
ベニラ「忠告は、しましたよ
それに背いたのは、貴方達。
責任は、そちらにあるでしょう。」
エリザベス「人間が作った奴なんて
大したこと無いと思ってたのよ」
ハヅキ「ばか、バーカ
せっかく言ってあげたのに
ねぇ、ベニラ騎士長。」
ベニラ「そうですね、バァーカ」
冷めた目で馬鹿にする。
エリザベス「バーカうるさいわね!
こんな残酷な物を作ったのは、誰よ?
人間なら即死よ!」
ベニラ「言っても分からないでしょ
貴方達、自然治癒能力ないんですか?」
セレフ「あるさ!けど、
こんなに深ったら治るのに
時間がかかるんだよ!」
ベニラ「へー、そうなんですか」
セレフ「あっ!!」
あからさまに不味いという顔をしている。
ハヅキ「やるなら今のうちだね
どうする、ベニラ騎士長。」
ベニラ「んー、まずは、彼らを
尋問しましょう、そういう事で
お願いします。」
ハヅキ「よし分かったよ」
メイカ「何コソコソと言ってるの」
ハヅキ「秘密だよ、さぁ眠りなさい」
剣を引き抜いた瞬間、
紫色の煙が立ち込め、睡魔が
体に侵攻して、彼らは、
眠りに落ちる。
***************
「翌朝」「なんで言ってくれ無かったにゃ!」
猫耳の叫び声で目が覚めた。
ベニラ「あれで充分だったので」
研究室でちょっと仮眠を取っていたが
この少女によって起こされる。
カレン「むぅー、確実にやれる
奴があったニャン、尋問するなら
拷問器具もたっぷりあるニャ!」
ギロチンやなんやらが
いっぱいある、どれも物騒で
尋問どころでは、ない。
ベニラ「遠慮しておきます。」
カレン「えーなんでニャン!」
ベニラ「タダの惨殺になるからですよ
あなたのおかげで目が覚めたので
俺は、行きますね。」
カレン「むぅーん!!せっかく
実験するチャンスだったのに·····。」
ベニラ「嫌ですよ、タダさえ物騒なのに
やめてくださいよ」
カレン「分かったにゃー!
良かったらいつでも貸すニャン」
ベニラ「あっそれは、いらないです。」
カレン「むぅーん······。」
真顔で断わると落ち込んで
作業に戻っていた。
さて、仮眠を取ったところで
尋問しましょうか、
まぁ素直に答えてくれるとは、
思いませんが·······。
*************
「尋問室。」ベニラ「なんで
あなたもいるんですか?
ハヅキ副騎士長。」
「面白そうだから······。」
不敵に笑い、壁に寄りかかる。
ベニラ「別にいいですけど、
なんかわかったんですか?
彼らについて······。」
ハヅキ「魔界から来た化け物達
それしか分からないね、いまは、」
ベニラ「それだけで充分ですよ
今から、それ以上のことを
引き出しますから······。」
ハヅキ「そう、それは、良かった、
あの二人は、吐くと思うけど、
女王様は、どうだろうね」
ベニラ「吐かせますよ、
それが俺の仕事ですから·····。」
************
目が覚めて、見知らぬ空間、
とにかく真っ白で何も無い。
静かに扉は、開き、
魔法を封じ込める紐で手足を縛られ
男達に強引にどこかへ連れていかれる。
しばらくすると、昨日、
散々、あたし達をえらい目に合わせた
男達がこちらを睨む。
ベニラ「さぁ聞かせて貰いますよ、
何でこちらの世界に来たかを····。」
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セレフ「前から言ってるだろ、
壊しに来たんだ、この世界も
光の精霊を······。」
ハヅキ「あのレム様を失意の底落とせば、
世界は、暗黒に落ちると思ったのかい?」
メイカ「そうよ、昔みたいに
絶望に貶める事も····。」
ハヅキ「考え方は、合ってるけど、
今は、昔とは、違うのさ
そんなことをしたからって
何もならないよ、王様が
人々から絶望を忘れさせたからね」
エリザベス「それは、素晴らしい事だけど、
いい事聞いたちゃったわね」
ベニラ「殺せませんよ、
貴方達に王は、俺が守りますから」
エリザベス「そう、それは、
頼もしいわね·······。」
突然、神々しい闇が放たれ、
縛られていた紐は、粉々になり、
圧倒的な力を見せる。
建物は、壊れ、
尋問室は、崩れていた。
エリザベス「言っておくけど、
あのブルートと同等と思ったら
大間違い、それ以上だから
行くわよ、貴方達。」
ハヅキ「追うなよ、無駄だよ、
今の俺達では、倒せない。」
ベニラは、苦渋の顔を浮かべ、
立ち尽くす事しか出来なかった。
あの悪魔より強い。
これは、本当に世界を壊せるのかもしれない。
そうさせる訳に行かない。
世界を守る使命は、
帝国騎士団にあるのだから·······。
幕間に続く。