セレフという男
「王国 王宮近くの森。」
魔界の扉は、ぐちゃぐちゃに
粉砕され、跡形も残っていない。
どういう訳か、魔族だと
疑わられる、野望、打ち砕かれた。
僕の作戦に落ち度などなかったのに
作る所が悪かったのか??
もっと人目に付かなくて
隠せる所に作るしかないか·····。
ドラゴンを呼び起こせば
光の精霊を倒せるかもしれない
でもそうすればこの世界は、
壊れてしまう。
それをやるのは、魔王様がする事だ。
僕がやっていい事じゃない。
どうしたらいいもんか·····。
**************
「王宮 リビング」
カレン「フニャー!!さっそく
試してみるニャン」
巨大な大砲がそこには、あった。
どうやらロケットミサイルが
発射出来るらしい。
何と戦うつもりなんだ?
王様「ここで試すのは、
やめてくれよ」
カレン「なんでニャン??」首を傾げて聞く。
王様「ここが壊れるからに決まってるだろ」
カレン「えぇー、じゃあどこで
試したらいいニャン」
王様「俺に聞かれてもな」
横にいたベニラに目をやる。
ベニラ「王宮近くの森で
やればいいじゃないですか?
最近魔物も増えてきましたし
ちょうどいいじゃないですか?」
王様「らしいぞ、カレン」
カレン「分かったにゃ!
行ってくるニャ!!」
ベニラ「威力がどれ程か
見てみたいですね」
王様「見に行くか、
騒ぎ起こされても困るしな。」
ベニラ「そうですね」
***************
「王宮近くの森」
カレン「この巣窟に放ってみるニャ!
フニャー!!!」
巣窟に狙いを定め、
大砲からミサイルを放つ。
ベニラ「ロケットミサイルは、
意外とちっちゃいですね
じゃ威力は、そうでも·····。」
巣窟は、ミサイルのせいで
粉々に壊れ、中から人らしき
影が見える。
ここは、関係者以外立ち入り禁止区域
なんだが········。
カレン「あらあら、人がいたニャン!」
真っ黒焦げに焼け
フラフラして出てきて倒れた。
王様「あっこいつ見た事があるぞ
光の城だったけな」
ベニラ「そうなんですか?
でも人間じゃないですよね」
破れた服の隙間から
見えたのは、奇妙な紋章だった。
カレン「本で見た事があるニャ!!
こいつ魔族ニャ!!」
王様「だから手ごわかったのか」
ベニラ「戦ったんですか?」
王様「まぁな、レムを狙っていたみたいでな」
ベニラ「それは、不味いですね
こいつを捕まえて、事情を
聞きましょうか?」
カレン「生きてるニャ?」
尻尾で頬をペチンと叩くが
反応がない·········。
ベニラ「生きてますよ、心臓は、
動いてますし、気を失ってるだけですよ
それに魔族は、これくらいで
死にませんよ····。」
カレン「そうニャン??」
ベニラ「とりあえず、王宮に
戻りましょう···。」
男?を連れ、王宮に戻った。
「王宮 医務室。」
目が覚めると知らない天井と
空間がそこには、あった。
ここは、どこだ??
巣窟に篭もり、扉を作っていたら
爆発音が聞こえて
それからどうしたんだっけ?
記憶が無い······。
ベニラ「起きましたか?魔族さん。」
セレフ「なんでそれを·····。」
ベニラ「あなたの服、破れていたんですよ
そこから紋章が見えたんです
ここに何しに来たんですか?」
セレフ「お前には、関係ない事だ」
ベニラ「そうですか、まぁ
世界侵略とか言われても困りますしね」
セレフ「えっ???」
ベニラ「そんな訳ないですよね??」
すごく満面な笑顔で見つめられる。
セレフ「僕がそんな下らないことを
考える訳ないだろ」
ベニラ「じゃあそれ以外で
ここに何しに来たんですか?」
セレフ「しつこいな!どうでもいいだろ」
ベニラ「わざわざ怪我まで
治したのに教えてくれないですね」
セレフ「別にいいだろ、
礼は、言うぞ、ありがとうな」
ベッドから降り、ここから去ろうとしていた。
ベニラ「いえいえ、まぁ侵略を
しようとしてるなら言いますが
なんで魔界の扉を作っていたんですかね?
爆破する時、見えたんですよね
これは、俺だけが知っています。」
耳元で囁き、僕の心を脅す。
セレフ「そんなの気のせいだろ
この世界には、観光に来ただけだ!」
ベニラ「そうですか、とぼけるのは、
いいですが、どんな強力な
魔物を呼び寄せても光の精霊は、
倒せませんよ、あの方は、
良い意味で化け物ですから·····。」
セレフ「どういう意味だ??
分からないな····。」
真っ直ぐな目で睨まれ、
視線を逸らす。
ベニラ「あっちに帰ったらどうですか?
あなたにここは、侵略出来ませんよ」
肩を力いっぱいに握られ、
その男は、部屋を出ていった。
魔族とバレるわ、侵略を企んでると
疑わられ、体は、真っ黒に焦げさせるわ
で散々な目に遭わされてる。
この世界に来てから、
帰れと言ってるのか?
魔王様に言われたからには、
光の精霊をどうにかしなちゃいけない。
どうしたらいいんだ??
この世界にある書物でも読んで
光の精霊を倒す方法を
探すしかない········。
************
「王宮 リビング」
王様「あいつは、帰ったのか?」
ベニラ「さぁ、医務室で眠ってるか
ここを詮索しているどちらでしょう。」
王様「そうか、ベニラ、
アイツを監視してくれないか?」
ベニラ「別にいいですが
警戒するほどの力は、
持ってないですよ」
王様「そうだろうか?
俺達は、魔族のことをよく知らないし
観察する奴がいた方がいいだろ」
ベニラ「まぁそうですけど
はぁ、俺の仕事が増えますね」
王様「別に俺がやってもいいんだぞ!」
ベニラ「はいはい、それは、大丈夫です、
俺は、騎士団の仕事があるので
行きますね···。」
王様「お、おう、無理するなよ」
ベニラ「しませんよ、王様。」
**************
「王宮 書物庫。」
ここは、いつ行っても
あたししか居ないのに、
本を読み漁り、そこからへんに
散らばった本。声がうるさい。
セレフ「むずかしくわからない!
光の精霊は、絶望に弱いのか
それだけは、分かったぞ。」
エリー「あなたは、レム様に
何するつもりなんですか?」
セレフ「な、何もしないぞ
気になって調べただけだ。」
エリー「そうですか····。」
怪しい、この金髪の少年は、
何者なのだろう。
揺すってもいいけど、大した答えが
返ってこなそうですし、
無視した方がいいですかね??
エリー「ここは、ほかの人達も
使うので、綺麗に使って下さいね、
読み終わった本も片付けて下さい。」
本を拾い上げ、本棚に治す。
セレフ「お、おう·······。」
脅しでもかけておきましょうか
エリー「今の世界の現状では、
絶望すらも人々に思わせるのは、無理ですよ
なんて冗談ですよ」
ニコッと笑い、書物庫を去っていた。
少女の笑顔には、威圧感が放たれていた。
これは脅しで牽制だ。
人間じゃなく、奴は、妖精だ、
なら、僕が秘めてる内なる闇に
気づいてるはずだ。
ここには、長居出来ないな。
帰って作戦を立て直すか······。
************
「魔界 魔王の城 王座の間」
「そうか、人間達は、手強いのか
時間は、かかるのか?」
「すみません、俺が力不足ばかりに
でも魔王様の期待は、
裏切りません、必ず次は、
ここに光の精霊を連れてきて見せます。」
魔王「それは、いいんだ、
今のままじゃ光の精霊を
弱らせる事も出来ない
どうしたらいいもんか····。」
「あの世界の書物によると
光の精霊は、人々の絶望によって
弱らせる事が出来ます」
魔王「人々に絶望を与えればいいんだな」
セレフ「そうです、魔王様·····。」
魔王「じゃあ簡単じゃないか
人々に魔物を襲わせればいいんだよ
ホントだったら戦争の方が良いが
少しずつ絶望を味わえばいい。」
セレフ「そ、そうですね!!
じゃあ早速やってみます!」
魔王「期待してるぞ、セレフ、
ここに光の精霊を連れて来ることを·····」
セレフ「はい、魔王様の期待を
逸れるように頑張ります。」
翌日、部下の魔物達を引き連れ、
あの世界へと戻ってきた。
「迷路の森·······。」
道が無数に広がり、
知らない者だったら迷い
帰れなくなるだろうってくらい
複雑だった······。
ここは、魔物が多く生息して、
力を与えれば、強力となり
人々を確実に········。
***************
「魔界 魔王の白 王座の間」
魔王「奴は、真っ直ぐで馬鹿なんだ、
お前が監視役として、
見守って手助けをして欲しい。」
紫の綺麗な長い髪と
スラリとスレンダー美人だ。
「魔王様は、優しいですね
あんな小僧にそんな事までするなんて···。」
魔王「そうでは、ない、
任務を負わせたのは、あたしだ、
あたしの責任でもある。」
「そうですか、別にいいんですよ、
魔王様のご命令とあれば····。」
魔王「おう、じゃあ頼むぞ
メイカ······。」
「おうせのままに·······。」
*****************
「迷路の森」
メイカ「相変わらず、馬鹿ね
こんな所に魔物に力与えても
仕方ないわよ·····。」
セレフの背後から駆け寄る。
セレフ「な、なんでお前がここにいるんだ?
別にぼくの勝手だろ」
メイカ「それは、そうだけど
あんまり、魔王様の期待を
裏切るようなら、あたしが
やってもいいのよ、
その方が上手くいくわ·····。」
セレフ「そんなの分からないだろ」
メイカ「そうかしらね
ここは、気狂った冒険者しか来ないわよ
少人数の人間なんて狙って
得なんかあるの?」
セレフ「うるさいな!!
ほっといていくれないか?
お前に指図される覚えもないし、
忠告もよしてくれ!」
メイカ「変な意地張ってるから
めんどくさい事になるのよ」
セレフ「何のことだ?メイカ。」
メイカ「良いわ、上手く
行かなかったら、あなたの実力不足よ
あたしの責任では、無いわ、
魔物を襲わすなら、
街や都心の方が良いわよ、
分かってると思うけど···。」
セレフ「そんなの分かってるに決まってるだろ」
メイカ「じゃあ何で一通りが
少ない森でやるのよ、馬鹿なの」
セレフ「くっ!!!?」
メイカ「忠告は、したから
上手くやってよね、セレフ。」
セレフ「そんなの分かってるさ」
僕が人々に絶望を味わせで、
光の精霊を弱らせて、殺すんだ、
この世界を魔王様の手によって
侵略させて見せる。
闇が溢れ出す手で
魔物に力を与え、街や村に、
人々に襲わせた······。
さぁ人間よ、絶望を味わえ、
悲鳴をあげよ、僕達の野望の為に·····。
3話に続く。