将軍と呼ばれた男7
「数ヶ月前 キング国 王座の間」
「未だに王は、不在のままだ」
突然、キングは、そう言い放った。
ジタ「昔からそうですし、
別にいいんじゃないですか?
それで平穏を保ってきましたし···。」
キング「分かってないなぁ、ジタ、
俺は、世界の王になりたいだよ
キングの軍事力や技術があれば
行けると思うだが···。」
ジタ「まさか、各国と
戦争する気じゃないですよね」
キング「そうだが、王の座を
狙ってる奴は、山ほどいる
それを踏みつぶすだけさ」
ジタ「あなたは、···、
いえ、なんでもありません」
キング「そうか、ちょうど、
カーサン国スラドにこの前、
挑発攻撃してたよなぁ、
そこの間に入るか····。」
こいつが戦争の火種を業火に変えた。
自分の王になりたいが為に
軍隊を犠牲にするなんて
自分勝手にも程がある。
自分は、あの王座の椅子に
座ってるだけなのに··。
拳を握りしめ、震えた
何故、俺は、こんなにも無力なのだろうか?
*****************
数ヶ月前の前の俺は、
後悔ばっかりだった。
アイツに逆らえない口実ばかり
作っていた。俺が逆らえば、
取り巻き部下は、殺される、
俺も生きては、居られないだろう。
その事を考えれば、考える程
余計に分からなくなり、
なんにも出来ない日々が続くだけで
何もならないのなら、
もう変えるしかない、
俺もキングという国を····。
レイ「ねぇ、どうする?ジタさん」
ジタ「キングを変える
あいつは、絶対に先制攻撃を
仕掛けてくる、真正面から
こっちに突っ込んでくるだろう、
あいつは、その場にはいない、
戦に参加するのは、嫌だからな
俺達は、それを利用させてもらう、
やるぞ、レイ」
レイ「えぇ、ルイーダにも伝えるわ」
ジタ「アイツをうちのリーダーに
してくれないか?」
レイ「今回のリーダーは、
ジタさんの方が······。」
「今回だけじゃない、ずっとだ、
キングを変えても、他の国は、
きっとうちに戦を仕掛けてくるだろう、
それに俺は、誰かの下に
着いてないと落ち着かないんだ。」
レイ「ジタさんがそう言うのなら
いいんけど、あの子は、まだ
未熟よ、将軍の素質あるけど
この先の戦に生かせるかしら」
ジタ「分からないでも、
感じたんだ、ルイーダに
賭けてみる、俺は、···。」
レイ「分かった、私も
ルイーダを信じてるから···。」
疑うのは、簡単だ、
信じるのは、本当に相手を知らないと
信じれないし、いつか迷ってしまう。
魅せられたんだ、光を
きっと、こいつと一緒なら
世界を変えれると心の奥で
感じたんだ·········。
***************
「ルイーダのテント」
ルイーダ「ジタさんって話ってなんだ?」
ジタ「無関係なお前を巻き込んですまない」
ルイーダ「仕方ねぇよ、そんなの、
ジタさんは、悪くない
それにもう俺も後戻りなんか出来ない、
ダズルを守るんだ····。」
ジタ「お前に折り入って、
お願いある、前から
言われても来たかもしれないが
将軍になってくれないか?」
ルイーダ「あれは、冗談じゃなかったのか?
ジタさんがいれば、俺なんて
経験もないし···。」
ジタ「今から積めばいい、嫌ってほど、
経験するだろうから、お前の策が
未熟であれば、修正するだけだ、
それだけの問題で、後は、お前の覚悟だ、
この世界ごと変えなければ、
ダズルは、守れないぞ」
ルイーダ「世界なんて変えなくても
戦争を終わらせば·····。」
ジタ「キングという国は、それを許さない
戦争の火種なんて、いくらでも作れる、
世界ごと変えないと、
戦争は、終わらない。」
ルイーダ「世界を変える、
俺にそんなことを出来るのか?」
ジタ「誰だって、初めから確信なんてない
でも今変えないで、いつ変えられる?
俺もずっと何もしないで、
後悔ばっかりだった、
そんな思いを誰にもさせたくないんだ。」
ルイーダ「ジタさん······、
初めは、俺も家族を守りたいだけだった、
でも、ダズルを変えなければ、
きっと、村も街も壊れてた、
そんな変わらないけど、
今は、心の底から皆が笑ってるから
戦は、仕掛けられる、
降伏なんてしたらきっと、
全員処刑も有り得るかもしれない、
そんなの嫌だ、策も未熟かもしれない、
でも、俺は、ダズルという国を守る為に
世界と戦う·····。」
ジタ「それがお前の覚悟か、
こんなにも若いのに、苦労させる
道へと選ばせてすまんな」
ルイーダ「俺が進んで選んだんだ、
もう、振り返ったりは、しない。」
ジタ「そうか、ルイーダ······。」
****************
「ダズル森」ユミ「この先に
ジタ様がいるかもしれない
きっと人質にされてるはずよ
今すぐ、助けてあげますから···。」
剣を握りしめ、森に足を踏み入れた。
部下を引き連れ、周りを見渡すが
敵の姿は、ない、あたしらが
攻撃してくることを想定してないのか?
「ユミ様!!上から矢が飛んできます!」
木の上から矢が無数に飛んでくる、
ユミ「バリアー!!」
透明な壁で覆い尽くし、攻撃なんか当たらない。
ユミ「誰かいるのね!出てきなさい!
こんな大人数に戦っても勝算なんてない
大人しく降伏しなさい。」
ジタ「降伏したとしても
待ってるのは、全員処刑だろう、
自ら命を捨てる事をすると思うか?」
ユミ「ジタ様!!何を言ってるのですか?
ジタ様の命は、あたしらが救います、
だからそんなヤツらの味方なんて
しないでください。」
ジタは、木の上から降りて、
部下に剣を向けた。
ユミ「どういうおつもりですか?」
ジタ「俺を反逆罪で殺せばいい、
キングを変える為には、壊すしかないんだ」
ユミ「何を言ってるのですか!!
壊すってキングをですか?
ここの部下達がどれだけ、
あなたの帰りを待ち望んでいたのか
分からないのですか?」
ジタ「自分勝手なのかもしれない、
これからの戦争で部下が犠牲になると思えば
もう嫌なんだ、だからあいつらに
手を貸した、ダズルに
売られた喧嘩を買ったんだ俺が··。」
ユミ「洗脳されたんですね、
あいつらに、じゃなきゃ、
ジタ様は、こんな事を言うはずがない」
「それは、違う!ユミ、
俺、自らそうしたんだ!」
ユミ「そんなの嘘に決まってる、
許さない、ジタ様を洗脳した奴は、
あたしが殺ります。」
ジタ「分かってくれ、俺は、洗脳された
訳じゃない、自分から選んだんだ」
ユミ「そんなの嘘、嘘ですよね
どいて下さい、あいつらをやって、
ジタ様を助け出しますから···。」
「分かってくれないのか?ユミ」
「分からないですよ、洗脳された人の
気持ちなんて····、ジタ様を
縛っておきましょう、あいつらに
利用されたら溜まったもんじゃ
ありませんから·····。」
部下に泣きそうな顔をされ、
縛り付けられた。
ジタ「ユミ!!待ってくれ」
呼んでも、応じず、
森の先へ行ってしまう···。
魔法出かけられた紐は、
固く、一定時間、魔法を封じるものだった。
あいつらがピンチになったら
助けに行けもしない、
なんてな···············。
******************
「あいつは、ヒステリックでな、
1度、感情的になると、
俺の言うことさえ聞かなくなる、
優秀な部下なんだが、
そこだけ欠点なんだ、
そこに付く、ルイーダは、
そのままでいい、売られた喧嘩を
買えばいい·······。」
ジタさんにそう言われたけど、
大丈夫なのか?
何されるか全くわからない、
でも戦を仕掛けられるのは、確かだ。
仕掛けられる前に先制攻撃を
すればいいだけの話。
ルイーダ「レイ、罠を張って」
レイ「分かったわ、上手くいくといいわね」
ルイーダ「いかせるしかないんだよ、
ジタさんのためにも·····。」
レイ「そうね、ルイーダ·····。」
****************
あたしらは、ダズルの前にもう来ていた、
周りを見渡しても、敵の姿は、
見当たらない、でも油断は禁物、
必ず、どこかにいるはずよ·····。
必死に敵の気配を探った。
「そんな警戒してどうするの?
怖いだけど·······。」
真正面から現れ、この女、
殺されたいのか?それとも馬鹿なの?
ユミ「ジタ様を洗脳したのは、
貴方なの?だとしたら許さないわ」
「洗脳?何のことかしら、
誰だか知らないけど、
どういうつもりでここに来たの?」
ユミ「とぼけないで!!
ジタ様を洗脳したのに許せない!
喧嘩を売りに来たのよ!
あなた達からジタ様を
助け出してやるんだから」
魔法陣が発現して、炎を放つ。
避け、弓を打ったが、
素早く、躱され、火花が散る。
ユミ「やるじゃない、さすが、
カーサンの軍人ね
あなたも洗脳されたんでしょ」
レイ「あなた、人の話聞いてないわね、
ジタさんもあたしも洗脳なんて
されてないのよ!自分で
選んだ道がこれだったの」
ユミ「容易く、ジタ様の名を口にしないで
汚れる····、世界を敵に回すことを
選んだ?馬鹿じゃないの?」
レイ「あなたにそんな事を言われたくない
世界を変えなければ、腐敗したままよ
戦争も終わらない!
あなたの部下も犠牲になる、
そんなの嫌でしょ······。」
ユミ「そうね、でもねぇ、
あなた達みたいな権力を持っていない者に
世界は、変えたり出来ない、
それほど簡単じゃない」
レイ「絶対に変えてみせる」
ユミ「そう、でもジタ様を
洗脳したアナタを殺さないと
あたしの気が済まないの」
レイ「··········。」指をパチンと鳴らした瞬間、
体に電流走り、それは、激しく、
あたしと部下達を苦しめる。
レイ「これで身動きは、とれないはずよ」
ユミ「あなた1人に倒せると思っているの?
馬鹿じゃないの?」
不気味な笑を浮かべ、
痛みに耐え、魔法を唱える。
ユミ「ファイアスフィア!!」
女に向かって、巨大な業火を放つ。
「随分と手荒なんだな」
煙が消え、炎は、水魔法で消され、
そこには、青年がいた。
ルイーダ「大丈夫か?レイさん」
レイ「大丈夫よ、助けに来てくれて
ありがとうね、ルイーダ」
ルイーダ「いいさ、レイさん
女ひとりにこんな大人数とは
大国のお偉いさんは、卑怯なんだな」
ユミ「戦争に卑怯もないの、
馬鹿じゃないの?
もう分かんない、もしかして
二人してジタ様を
洗脳したのかしら、
そうだとしたらやるしかないよね」
あたしがパチンと鳴らすと
部下達は、武器を持ち、刃を向ける者
矢を射る準備をする者、
こんな大人数を目の前にして、
戦おうとする奴なんているかしら··。
ルイーダ「そういう事か、
2人だけと思ったら大間違いだ、
売られた喧嘩を買ってやるさ」
どうやらこの青年は、
軽率で自分の状況を分かっていない
その方が好都合ですね、
ジタ様が反逆するなんてありえない、
そんな真似をさせたやつらを
許さない·······。
将軍と呼ばれた男8に続く。