将軍と呼ばれた男。
ルイーダ「アレックスは、
何も悪くないだろ、俺達は、
何も知らないかもしれない
でもそれをぶつけるのは、
間違って無いか?」
スロンの銃を持ってる手を
握る···········。
スロン「お前は、俺に撃たれたいのか?」
レイ「首相、すいません····。」
スロンの鳩尾に思い切り、
パンチを入れ、尻餅をつかせる。
銃は、離され、床に転がり落ちた。
レイは、首相の額にライフルを擦り付ける。
スロン「何をする気だ??」
レイ「あたしは、あなたに
忠誠を誓ってないの」
スロン「じゃあ誰に誓ってるんだ!!」
レイ「カーサンっていう国よ!!
あなたみたいな、欲にまみれた
人間にそんな感情、抱かないわ」
スロン「それで何が悪い。」
レイ「喧嘩を買ったのは、首相よ
勝てばダズルの土地が手に入ると、
だから戦なんか手を出したのよ」
スロン「犠牲は、最小限に済んだだろ、
うちが軍事大国だって知ってるだろ」
レイ「そういう問題じゃないわよ
戦争自体、罪深き事なの」
「二人共、皆殺しだ」
床に落ちていた銃を拾い、
レイとスロンに向けた。
ルイーダ「黙れ!!」
放たれた銃弾をバリアーで
跳ね返し、ぶつかり、押し倒す。
「なにをするんだ!!
敵を殺せたのに、お前は!!
なんで俺の邪魔をした?」
ルイーダ「殺したってなんも意味もない
争いは、また争いを生む、
ここで断ち切らないと、
いつまでも続くぞ、
こんな下らない事に人の命を
ないがしろにするな」
「何もわかってない若造が
とやかく言うなよ」
レイ「こんなお偉いさん二人に
なにを言っても無駄みたいね
ルイーダ、やれる覚悟は、ある?」
ルイーダ「あぁ、あるさ」
レイ「世界を敵に回すかもよ
アレックス、ルイーダ
いいの???」
ルイーダ\アレックス「おう」
レイ「らしいわ、じゃあ
さようなら、お偉いさん·····。」
魔法で2人を縛り、
ライフルで打ち負かせ、
取り巻きも俺達が切り裂き、
両国の戦争は、終わりを告げた。
でもこれで終わる訳なんかない。
もっと、もっと、世界の闇は、
深くて、終わりなんて見えない。
***************
「光の城」神様「なぁ、お前は、
なんで、こんな世界に希望を
持っていられる?」
レム「さぁ、わかりません、
でもあたしが希望を捨ててしまえば
世界に光は、無くなってしまいます」
神様「目に光が無いお前が言うか?」
レム「そんな事は、無いです。」
神様「世界は、混迷を見せてる、
お偉いさんは、欲にまみれ、
土地を奪い合い、血を血で洗う、
泥沼の戦争をやってる、
それを見て、正気で居られる
やつの方が可笑しい。」
レム「神様と精霊は、世界に
私情を挟んでは、いけないのです、
見守ることでしか、出来ないの、
それを反すると、世界は、
もっと混迷を見せてしまう。」
神様「神が戦争を止めて何が悪い!
このまま続けば、世界は、
壊れてしまう。」
レム「それでも、神と精霊は、
人間達の争いに立ち入る訳に行きません、
そんなことをしたら、
三つ巴の戦いになってしまう。」
神様「ならないようにしたらいいだろ!」
レム「やめて下さい!神様、
あたしが光を失わなければ、
世界は、希望を持ってるはず、
だから······。」
神様「そんな奴らに希望なんか持つな
汚れたやつしかいない。」
レム「いえ、それは違います、
これを見てください、
きっとこの青年達が
何とかしてくれます。
今は、それを信じましょう。」
レムが持っていた水晶には、
ルイーダ達が映し出されていた。
神様「あんまり、人間に期待するなよ、
お前だって、えらい目に遭って来ただろ」
レム「それでもあたしは、人間を
信じたいのです。」
神様「しばらくは、傍観するが
一つでも、幻滅する所があれば、
俺は、何かしでかすかもしれない、
わかったな、レム·······。」
レム「分かりました、神様、
希望を捨てなければ、
光は、差して続けくれるはず、
そう信じていますよ」
この世界に似合わない青空に
祈りを捧げ、神様は、
それを切ない表情で見つめていた。
****************
「翌朝、ダズル国」
街に1歩、踏み出すと、そこは、
爆弾が落とされ、家だって
粉々で残ってるのは、わずかだ。
レイ「話が違うみたいね、
ごめんなさいね、生き残ってる
人は、いるか、調べてみるわ」
ルイーダ「頼む、中に家族もいるし
多い方が助かる。」
レイ「そうね······。」取り巻きの仲間に
話しかけ、探すように頼み込んでいた。
ルイーダ「俺も一緒に探していいか?」
レイ「大丈夫よ、行ってきなさい。」
ルイーダ「ありがとうな、レイさん」
レイ「なんで、戦争は、あるのかしら
こんな物、なんの意味もないのに···。」
ルイーダの背中を見つめ、
そう呟く··········。
*************
世界は、戦に溢れ返り、
平和なんて程遠かった。
でも、人は、永遠は、願わないけど、
明日は、必ず、来るものだと思ってる。
なぜ、確信も無いのに
そう思えるのだろう。
人なんて、いつ死ぬか分からないのに···。
家の周辺を探してみるが
家族の姿がない。
すぐさま、畑に向かうと
洞窟に人の気配がした。
ルイーダ「母さん!!ルイナ!
いるなら返事をしてくれ!」
「ルイーダか??帰ってきたのか?」
目の前には、父さんがいた。
父さんは、カーサン国へ
戦に出掛けたはず···
なんで、こんな所にいるんだ??
ルイーダ「なんで、父さんが·····。」
「軍の幹部から要請があってなぁ、
国を守ってたんだ、村に
爆弾が落とされたって聞いて、
母さん達の所にすぐに駆け込んで、
一緒に逃げ出したんだ」
ルイーダ「よ、良かったよ、
ほんと、生きててくれてありがとう。」
俺は、何年かぶりに親の前で
大粒の涙を流した。
そんな俺を父さんは、抱きしめ、
暖かく、心地が良い。
ルイナ「お兄ちゃん無事だったんだね
良かった、軍の人に聞いても、
分からなかったから·······。」
お父さんをそっと離し、妹と抱きしめ合う。
「ごめんな、心配かけて、
色々あって、カーサン国のレイさん
っていう人と一緒にいるんだ。」
ルイナ「なんで、敵国の人なんかと
いるの??お兄ちゃん。」
ルイーダ「その人たちは、
俺を助けてくれたんだ、
ダズルとカーサンの戦争も
終わらせてくれたんだ。」
ルイナ「だからって、元は、人殺しでしょ、
そんな人、信用出来ないよ」
ルイーダ「お兄ちゃんだって
この戦争で何人の人を殺してきた、
戦は、そういう事なんだ、
やりたくてやってる訳じゃない、
皆仕方なくなんだ。」
ルイナ「あたしは、分からないよ!!
同じ人間が殺し合いをするなんて
有り得ないよ」
ルイーダ「そうだよなぁ、
ホント意味が分からないよなぁ。」
崩れ落ちるように、俺は、泣き、
無性に自分の手が汚れて見える。
今更、罪悪感を感じてどうする。
どうしようもないのに、
俺は、一体、どこに向かっているのだろう。
**************
レイさん達が一時避難所用の
テントを作ってくれ、そこに
家族と寝ていた。
レイ「ルイーダ、ちょっといい??」
テントの扉が静かに開く。
ルイーダ「レイさん??、いいけど··。」
村の近くにある草原に座り、
レイさんは、話し始めた。
一体、何の話だろう。
レイ「ねぇ、これから、世界の戦争を
止めたりしない??」
ルイーダ「えっ?俺にそんな事が
できる訳·····。」
レイ「拒否権は、無いんだけどね、
あたし達は、お偉いさんを
倒してちゃったから、
世界を敵に回してるの」
ルイーダ「なんでそうなるんだよ」
レイ「部下なんだもの、
上司に逆らうなんて有り得ないわ、
それは、反逆よ」
俺の手を握り、レイは、
この世界のことを話し始めた。
将軍と呼ばれた男、次回に続く。