ピグの冒険
「豚族の村の森。」
周りを見渡す限りは、
魔物は、少数で数も
だいぶ減っていた。
あの花は、魔物を生成するもので
花から魔物が放出される。
犯人のことは、ベルさんが
全部やってくれるって言ってたし
安心は、安心なんだろうけど
自分に出来ることは、無いだろうか?
ベルさんに聞いてみよう。
それにしてもなんか人の気配がする。
「花が無くなってるぞ!
あの首相根絶やししやがったな」
「ボス、どうしますか?
もう盗むしかないですよ」
目の前に男2人がいた。
ピグ「そこで何やってるブー!!」
ボス「なんだ、ブタじゃねぇか
びっくりさせんなよ」
ピグ「もしかして、お前ら
毒花をここに植えたやつブー??」
ボス「そうだよ、それがどうした?」
ピグ「どうしたもこうしたもないブー!
ちょっとは、考えろブー!
あんな花植えられて、魔物も増えて
村の人が襲われたらどうするブー!」
ボス「それは、すまんな」
「ボス、言い負かされてどうするんです??
そんなの知りませんよ
我らは、テロ組織ですよ」
ピグ「そんなの知ってるブー!」
ボス「知ってたのか!!何故だ!」
ピグ「お前らがしてる事は、
テロブー!今更何を言ってるブー!」
「よくぞ言ってくれました
あなた、ボスとの会話、聞いてましたよね?」
ピグ「聞いたブー!」
「殺されてくれません??」
ピグ「口封じブー!!卑怯ブー!」
ボス「おい、ジン、こいつどっかで
見かけたことねぇか?」
「あぁ、なんとなく勇者に
似てますよね」
ピグ「僕は、勇者ブー!!」
「なんかの冗談でしょ」
ピグ「ブー!!もう怒ったブー!!
アクアフォース!!!」
ボス「そんなもの聞くわけ·····。」
ピグが放った魔法により、
吹き飛ばされ、街の方まで飛ばされていた。
ピグ「あいつら、なんなんだブー!
魔法を練習してよかったブー!
さぁ、街に行くブー」
ピグは、1人で街に向かう。
******************
「首脳官邸」ベル「カレンちゃん、
遠い所まで来てもらって
申し訳ないわね」
カレン「別にいいニャン!
楽しみニャン!こういうのは、
久しぶりニャ」
ベル「それは、良かった、昨日ねぇ
カレンちゃんと王様が出会った時の
話を聞いてたの、話に出てた
ロボットで警備出来ないかなって···。」
カレン「きっと出来るにゃ
魔法や銃や剣術も使える
ロボットにしておくニャン!」
ベル「助かるわ、最近物騒な輩が
多いから·······。」
静かにドアを開け、シュウが入る。
シュウ「おい、ベル、来客だ」
ベル「もしかして、ピグ君??」
シュウ「そうだ、通すか?」
ベル「うん、通して、ここに案内
してもらえる??ちょうどいいわ」
シュウ「わかった······。」
部屋から出ていき、あるところに向かった。
カレン「シュウさんってカッコイイにゃんね」
ベル「中々のイケメンでしょ
女っ気ないからちょっと心配なのよね」
カレン「そうにゃんね」
ドアを叩かれ、ベルさんが
いいわよと言うとシュウさんと
ピグが入ってきた。
「なんで、カレンがいるブー!」
カレン「ん?ちょっと用事があって
来たニャン、久しぶりニャ」
ピグ「そうブーか」
シュウ「あの組織撲滅に協力したいってさ」
ベル「そうなの、いいわよ」
ピグ「そんなあっさりいいブー?」
ベル「いいに決まってるでしょ
今日にでも来るはずよ、
作戦を決行しましょう。」
***************
「首脳官邸 倉庫」
倉庫に毒花が飾られていて、
完全に密封されている。
「忍び込むのは、容易でしたが
盗むのは、少々無謀ですよね」
ボス「なんでだよ、ここまで入ってこれたんだ
盗むのだって簡単さ」
「カーサン国の首脳官邸の警備は、
厳しくて、アリ一匹も通さないと
有名ですよ、罠にはめられてるとしか····。」
ボス「そんな理由ないだろ
行くぞ、ジン」
ジン「ボス、少しは、警戒してください
罠にハマっても知りませんよ」
ボス「大丈夫だって!!」
倉庫に足を踏み入れ、警告音が発される。
ジン「言ったじゃないですか?
不味いです、警備員が来ますよ!」
「ここで悪いことをしてる奴は、
誰だ!!出て来いロボ!!」
ボス「俺デース!なんちゃてなぁ!」
ジン「ボス、何言ってるですか?
馬鹿ですか?」
声の主に視線を移すと
ロボットがこちらを睨みつけている。
「悪い奴らは、排除ロボ」
突然、動き出し、体にあるボタンを
押した。何かビームが放たれるかと思い
身構えるが何も起きない。
ボス「なんだこいつ??」
ジン「知りませんよ、止まってるうちに
早く逃げますよ」
「逃がすわけに行かないロボ!」
倉庫の出口へと足を伸ばした瞬間
床に巨大な穴が開き、ロボット共に落とされた。
*******************
「首脳官邸の地下」
さっきロボットは、姿を消していて、
気配すらない。
ボス「逃げたのか?」それなら
助かるが、とりあえずここから
脱出しなければいけないみたいだ。
ジン「どうしましょうか
出口があるといいんですが」
ボス「あるに決まってるだろ
じゃないと困る。」
ジン「確かにそうですが·····。」
ピーンポーンパーン
「随分といい気味ニャ!!
迷って迷いまくるニャン!!」
スピーカーから声が聞こえる。
ボス「お前誰だよ??」
「それは、教えないにゃ!!
抜け出せたらいいにゃんね
それまで無事で済んだらの
話けどニャン!!」
ニャン語で御機嫌そうに話す。
多分、女だろう。
「せいぜい頑張るニャン!!
じゃあニャン!」
ピーンポーンパーン·······。
ボス「何だったんだ??」
ジン「知りませんよ
とりあえず行きましょう」
「いかせないブー!」
「そうだロボ!!」前後から、
ロボットと豚が現れた。
ジン「何なんですか?さっきのブタと
ロボットじゃないですか?」
ピグ「そうだブー!罠にハマって
バカブーね!!」
ジン「はいはい、そのロボットせいで
かかったんですよ、ばか扱い
しないで下さいよ」
ピグ「そんなの知らないブー!
悪い奴らは許さないブー!」
ボス「そうか、じゃあ仕方ねぇ
倒しかないなぁ」
ジン「そうですね、やられないように
気をつけて下さいよ、
こいつにえらい目に合わされたんですから」
ボス「分かってるさ、ジン。」
ピグ「さぁやるブー!!!
サンダーローブ!」
「サンダーローブロボ!!」
ボス「なんだそれ!!よければ
いいに決まってるだろ」
のんびりと紐を放たれ、
うまいこと逃れるが、
ロボットの腕からビームが放たれる。
それを避けるのに必死で
紐を避けることを忘れ、
捕まえてられてしまう。
ピグ「よしやったブー!!」
サンダーローブの紐は、強固で
ハサミで切ろうと思っても切れない。
ピグ「そんな簡単に切れないブーよ」
ボス「どうやって切るんだ?」
ピグ「そうぶーね、んー!
って教えないブー!!
僕を騙して、逃がしてもらう魂胆ブーね!」
ボス「騙されてくれないのか?」
ピグ「そんなのいやブー!!
とりあえず、ベル首相の所に行くブー」
ジン「俺らを縛った状態で
どうやっていくんですか?
確か、サンダーローブって
動けば、猛烈な電流に苦しめられ
最終的には、死に至ると
聞きましたが·····。」
ピグ「そ、そんなことは、知ってるブー!
し、仕方ないブー!!
首脳官邸まで運ぶブー!」
この小さい体で男ふたりを担ぎ、
ロボット共に首脳官邸へと戻った。
なんだこの豚は、逃げなきゃいけないだが
サンダーローブに縛られる故に
逃げられないし、好き放題に
やられるに違いない。
***************
「首脳官邸 応接室。」
ベル「捕まえてくれてありがとうね
作戦は、成功したわ」
ピグ「えへへ、どういたしましてブー!」
ブタは、ドヤ顔して胸を張る。
可愛いんだが、目の前に美女がいて
そいつが気になって仕方がない。
ベル首相を近くで見るのは、初めてだ。
「何に見とれてるか知らないけど、
組織のアジトの場所、
教えてもらえるかしら」
ジン「言っちゃだめですよ!ボス」
ベル「余計な事言わないでくれる?
あなたみたいなタイプ、
騙されにくいやつ嫌いなのよ」
顎を持ち上げられ、
思い切り、口にガムテープを貼られる。
ジン「ん!!ん!!ん!!」
ベル「ねぇ、教えてよ、ボス」
俺の耳元で吐息を混じった声で
囁き、体が当たる。
もうだめだ··········。
「カーサン国のイリスの国境の間の
迷路の森の廃墟だ。」
ベル「意外と近くなのね
シュウ、おねがいするわ」
シュウ「おう、おまえらは、
もう終わりだ、覚悟しておけよ」
シュウって男は、俺達を睨む、
多分、俺達のアジトに向かうのだろう。
すまん、俺が誘惑に負けたせいで。
ベル「声を挙げられるのなら
もっと別の方法にしなさい
こんな暴力的じゃなくて、
人間な理不尽な環境に不満を持つのは、
仕方ないわ、でも助けを求めるのも
大事なことよ、罪は、償ってもらうけどね」
ため息を漏らし、部屋から出ていった。
部屋は、鍵がしまっていて密室で
脱出は出来ない。
大人しく捕まれという事か····。
声を挙げられるのなら別の方法か
どんな刑罰が下されるか分からないが
その方法を考えてみるのも
いいかもしれない······。
******************
「首脳官邸 書斎」
ピグ「じゃあ僕は、帰るぶー!」
ベル「ありがとうね、ピグ君のおかげで
組織を壊滅出来たわ、だから
心配しなくていいわよ」
ピグ「どういたましてブー!
僕だけのおかげじゃないブー」
ベル「こういうのは、みんなで
解決するものよ、勇者として
活躍してくれて嬉しいわ」
ピグ「それは、当たり前ブーー!!」
ベル「ふふ、じゃあ困った時は、
ピグ君を呼ぶから·····。」
「任せろブー!!」
ベル「ふふ、頼もしいわね、
今日は、ご苦労さま、報酬は、後日渡すわ」
ピグ「報酬??そんなの貰えるブー?」
ベル「当たり前よ、タダ働き
させるわけないわよ」
ピグ「それは、楽しみブー!
じゃあブー!!」
ベル「じゃあね!!」
ほんとにいい子ね、あれが息子だったらなぁ
って思うけど、それは、無理があるし
あたしには、王様も子供いるし
充分過ぎる位、幸せなのよね······。
***************
今日は、疲れたブー!!
ゆっくり寝れそうブー、
早く家に帰るブー
帰路に進む足は、次第に早くなり
家へと帰っていた。
「ピグの冒険 終わり。」