戦場の乙女 第3章
「俺がこのまま、怖気付くと思うか?
ここには、俺の味方しかいない」
ベル「だから何よ」
「どんだけ、お前らが大軍を
連れて来ようが、こっちには、
元政府軍が着いてるだよ」
ベル「そんなに昔の地位
欲しいの?」
「欲しいに決まってるだろ
お前や王様達がいなければ
俺が首相なったんだよ
全部、お前らがぶっち壊して···。」
ベル「ほんとに自分のことしか
考えてないのね」
シュウ「ベル、無駄話してる場合
じゃないぞ」
ベル「分かってる····。
これだけ言っておくわ、
政治は、国民の為にあるものなの
あんたの為になんか無いわ」
シュウ「汚れたやつに
正義が通じると思うなよ」
ベル「そうかもしれないわね」
あたしが息子と話してるうちに
旧政権の大臣らの屋敷に
他の仲間が爆弾を仕掛け終わったと
知らせが来た。
ベル「うん、分かったわ」
シュウ「上手くいったみたいだな
なぁ、お坊ちゃんよ
首相になる夢を捨てるか
夢を捨てないか、どっちだ?」
「捨てないに決まってるだろ
お前らごときに俺は、
負けたりしない
それにお前らが俺の命を
狙いに来た時点で負けだ。」
シュウ「お前、馬鹿だろ
どうせここで元政府軍呼んじゃった☆
って言うだろ、そんな事位分かってんだよ
ついでに殺し屋もか
呼べばいいさ、一網打尽にしてやる」
「できるのならやってみろよ
ちょうど、今俺の危険を察知して
下の者が政府軍に要請してくれた」
ねぇ、ルハク、汚れた世界は、
真っ白にならないものかしら
昔の事を反省してると思ったら
反省のはも知らないくらい
してないし、国民に
あんな辛い思いさせておいて
無慈悲にも程があるわ
こんな奴らをあたしは、許さない
ほんとは、政府軍の基地に
忍び込むつもりだったけど、
このクズ息子ごとぶっ壊してあげる。
****************
「カーサン国 元政府軍の基地」
って言っても、あの爆破事件が
あった後、ここは、ただの廃墟なり、
ボロついていて、所々、穴だらけだ。
べニラ「王様、ベルさんに
怒られますよ」
王様「ここをアジトに使ってる
訳でもなさそうだな」
べニラ「無視ですか?」
王様「怒られたその時で
考えたらいいだろ」
べニラ「呑気ですね」
王様「あのシュウって奴は、何者だ?」
べニラ「ヤキモチですか?
男の嫉妬は、見苦しいですよ」
王様「そんな訳ないだろ
何者だだって聞いてるだよ」
べニラ「言うならば化物ですよ
ほんの数年前位は、騎士団内では
次世代のエースと歌われていた。」
王様「俺でも知らねぇぞ」
べニラ「王様は、そういうのに
興味は、ありませんでしたから」
王様「そうかよ、なんで
そんな奴がベルに協力したんだ?」
べニラ「本人に聞いてくださいよ」
カツン、何かに足が当たり、
地面に跪く。
王様「隠し扉って奴か?」
べニラ「そうですね、
ココがそうかもしれませんよ」
隠し扉が開く音がして、
すぐさま物陰に隠れた。
「いきなり、呼び出しかよ
何があったんだ?」
「どうやら、屋敷が襲われたみたいですよ」
「ふーん、肩慣らしにしかならないが
行ってみるか」
「そうですね」
(小声)べニラ「ベルさん、
やってるみたいですね」
王様「そうか、あいつなら
大丈夫だろう」
べニラ「珍しいですね
王様のことだから助けに行くと
言い出すと思いましたよ」
王様「行ったら殺されるだろ」
身震いして、目をそらす
べニラ「そうですね.......。」
***************
「屋敷」ベル「騒がしくなったわね」
シュウ「うるせぇな、
さては、罠にハマったな」
屋敷の中から、爆破音が聞こえ、
槍や矢が飛び交う音がしている。
シュウ「ほら、ほんと馬鹿だな」
持っている水晶には、
敵の様子が映し出され、
仕掛けた罠にはまり、
身動きが取れないでいた。
ベル「もうちょっと骨がある
と思ってたけど大間違いみたいね」
シュウ「こりゃ人数減らしすぎたかもな
つまんねぇな」
ベル「楽に済むじゃない」
シュウ「まぁそうだな........。」
ベル「さぁ、やりましょうか?」
息子の額に銃を当てる。
「何をするつもりだ?」
ベル「そりゃねぇ???」
政府軍「助けに来ましたよ!」
「やっとか.....。」
ベル「サンダーローブ!!」
政府軍の大軍を全員、
電流を纏ったローブを巻き付けられる
シュウ「殺し屋を混じって
この人数かよ、つまんねぇな」
ローブに逃れたやつもいるが
逃れなかったやつのほうが多い
標的を見てすらいないのに
こんなにも追い詰めるとは、
すごい女だな、普通外れたりするだろ
シュウ「負けてらねぇな!!」
どこに隠し持っていたのか、
巨大な銃で乱放射していく。
ベル「これは地獄絵図ね、
あなたは、捕まっていてね」
強力な紐に縛り付けられた息子は、
屈辱感に溢れた表情でこちらを睨む。
シュウ「加勢するつもりか?」
ベル「いえ、違うわ、
ここだけじゃないはずよ
追いついてない奴だっているでしょ」
シュウ「容赦ねぇな、こいつら
片付け終わったら行ってやる」
ベル「それは、有難いわね」
シュウ「気をつけろよ」
ベル「はいはい」
****************
「屋敷 廊下」
ベル「あらあら、これは、酷いわね」
敵達が足元に接着剤を付けられ、
身動きを取れず、
あたしに銃を向けた。
ベル「手厚い歓迎ね」
「身動きを取れなくなったって
攻撃位は、出来るんだよ」
ベル「そりゃそうでしょうね」
「ターゲットが自分から来るなんて
馬鹿だよな、死にたいのかよ」
ベル「ハハハ、馬鹿もここまで来ると
笑えちゃうわね」
「なんだと!?今すぐ打ってやる!!
やれ!!」銃弾を引き、乱放射していく。
飛び交う玉を巧みに避け、
高く飛び、魔法を仕掛ける。
ベル「雨剣(レインブレード!!)」
まるで剣の豪雨のように降ってきて、
敵を切り裂いた。
「ば、バケモノだ!!バケモノだ!!」
血だらけになったアタシをみて
敵は、そう言った。
ベル「それでもいいわ、あたし
この国を救いたいの、その為なら
バケモノでも何でもなってやるわ」
あの時、確かにカーサン国を
救えたと思ったはずなのに
あの悪魔がいなくなっても、
汚れた世界の根っこは、無くなったりは、しない
悪魔がいなくても、充分、
酷い国だったんだから、
いなくなっても関係ないって
分かってたのに.....。
期待したあたしが馬鹿だったのか・・・。
「お前みたいなバケモノなんて
死んでしまえ!!」
男は、あたしに飛びかかり、刺される!?
手で顔を塞ぎ、目をつぶり、
開けると、そこには、男がいた。
王様「敵に背を向けるなよ、ベル」
ベル「なんで、あなたがここにいるのよ」
王様「ちょっと訳があってな
旧政権の奴らがこの国を乗っ取ろうと
してたみたいでな」
ベル「警告しに来たの?」
王様「まぁな、そんな感じだ
こんなにもお前を殺そうした奴が
いたんだな」
ベル「そうみたいね」
王様「命まで奪わない所が
お前らしいよ、まぁ重傷だけどな」
ベル「あたしだけじゃないわ
命を狙われてるのは
気をつけなさいよ」
王様「それぐらい分かってるさ」
切りかかって来た男を蹴っ飛ばし、
王様とあたしは、元の部屋に戻った。
*******************
王様「お坊ちゃん、相変わらずみたいだな」
「王様、この女に殺されそうになったんです」
王様「お坊ちゃんが殺し屋を
たくさん雇ってベルを殺そうとしてたからだろ
根性悪いのは、変わっていないんだな」
「違う!それは、あたしじゃなく
他の元大臣が!?」
ベル「見苦しいわね、あなたも
元大臣達も皆、グルでしょ
ほんと見苦しいわ」
「見苦しいとは、どういう事だ?」
ベル「あの悪魔の1件で
反省してると思ったけど、
大間違いだったみたいね、
悪魔の仲間だったあなた達が
政権を握れる訳ないでしょ、
馬鹿じゃないの?
国民だってあたしだってそんなの
許さないから....。」
王様「そういうことだ、
そんなに首相になりたかったら
こんなずるい真似しないで
昔のことは、反省したと
国民の前で土下座しろ」
「なんで、下衆ごときに
そんな事をしなきゃいけないんだ!!
僕は、あの事件には、関係ないし
父が勝手にやった事だ!」
パチン!!!
近くにいたシュウが息子の頬を叩いた。
シュウ「それは、ねぇだろ
噂に聞くと、お前は、政府軍と一緒に
町や村をワガママ顔で歩き、
国民からお金を巻き上げてたらしいな
最低なことをしておいて、
関係なんてないぜ、
もう2度とこんな屋敷、住めると思うなよ」
王様「そんな事をしていたのか
親子似た者同士とはな、
残念だ、お前に首相の道などない、
刑務所行きだ。」
「う、嘘だろ」一気に崩れ落ちて、
蹲っていた。
みっともない、その言葉に尽きる。
あたしは、こんな男に
命を狙われていたんだ、
こんな最低な真似をしておいて
平気で国民のリーダーになろうなんて
クズすぎる、
どうしょうもないクズだ。
王様「他の大臣も刑務所行きだな
野放しにしておいたら
何するかわかったもんじゃないしな」
シュウ「それがいいぜ、王様
こいつら叩けば、灰しか
出てこねぇから」
王様「そうか、そりゃ叩きがいがあるな」
しばらくしたら、べニラと
騎士団が来て、首相と殺し屋と元政府軍は、
刑務所に連れていかれ、
それは、もう叫び声や、
泣き崩れる者も居たが
それほど地位を失うのが怖いのか?
あたしには、わからない、
またゼロに戻ってしまった
でも、またプラスなるように
この国を救いたい。
******************
王様が提案した、国民投票で
国民の中からあたしが首相に
選ばれた.....。
そして、それから10年が経った。
「王宮、リビング」
ベル「ピグ君、可愛いわね、
お人形さんみたいだわ」
ピグに抱きつき、頬を擦り付ける。
ピグ「ベルさん、苦しいブー!!」
べニラ「そんな所、王様に見られたら
ヤキモチ焼きますよ」
ベル「焼かせとけばいいわ
そっちじゃハーレムみたいだし」
べニラ「王様は、天然タラシですが
一途な人ですよ」
ベル「そうなのかしらね」
ピグ「そうぶー!!ベルさんの
話する時、王様嬉しいそうだブー!!」
ベル「そう、ピグ君は、優しいのね」
ピグ「ホントのことだブー!!」
ベル「そう、ありがとうね」
ガチャ!王様「何やってるんだ??」
ベル「見ての通りよ」
王様「そんな事してくれさえ
しなかったのに!!」
ベル「しないでしょ、子供じゃあるまいし」
べニラ「王様、見苦しいですよ
男の嫉妬は........。」
王様「うるさいな!」
ベル「んふふふ......。」
王様「ベル、何笑ってるだよ」
ベル「ううん、何でもないわ」
バケモノと呼ばれ築き上げた国は、
国民は、幸せに笑い、
そしてあたしも幸せで
ちゃんと今は、胸張って、
幸せですと言えるよ...。
戦場の乙女END。