第一章 魔法使い編1
外に出た魔紀は自分の家に向かっていった。すると、
「おーい。そこの学生さん。ちょっと話を聞きたいんだがいいかな?俺の名前は権田 正義という者でな。警察だ。」
警察手帳を見せながら、1人の男が声をかけてきた。
「一体なんだおっさん。悪いが俺は何もしてないぞ。」
「あぁ。別にそういうことじゃない。先日の殺人事件について少しでも情報が欲しくてな。あの【魔王】ともあれば何か知っているんじゃないかと思ってな。」
「なんだおっさん。俺のこと知ってんのかよ。あとその【魔王】ってのやめてくれ。俺の名前は朝木 魔紀だ。」
「そういうかい。じゃあ改めて、殺人事件について何か知っていることはないか?」
「悪い。何も知らないんだ。それにしてもただの学生にそんなこと聞くなんて何かあるのか。」
「まぁ、少しくらいならいいか。実はな詳しくは言えないんだがこの殺人事件の手口がまるで魔法でも使ってるかのようなんだよ。ありえないが
「なんだよそれ。マジで言ってるのかよ。」
「ありえないと言ってんだろ。まぁいいや。
何か分かったら連絡しろ。じゃあな。」
そういうと連絡先を渡して正義は去っていった。
家に着き、自分の部屋の椅子に座りつつ魔紀は早速カバンからスマホを取り出した。
「さてと、ん?いったい何なんだこれは。 【KOSMOS】?全くわからん。まぁとりあえず開いてみるか。」
アプリを起動させると謎のメッセージがあった。
アサギ マキヘ
オレノ、オレタチノ【セカイ】ヲスクッテクレ。
ソノタメ二コレヲタクス。
アプリはそのメッセージを映すと、電源ボタンが消えた。
「おいおい。いったい何の悪ふざけだよこれは!」
息を荒立て立ち上がると、机の上にあった消しゴムが落ちていった。慌てて探すも、既に見失ってしまった。
「はあ〜、まったくついてねぇーな。スマホには変なのがあるし、消しゴムはなくすし、運勢最悪だぜ。こうなったら最後までみて、この変なアプリを入れた犯人を見つけて、サンドバックにしてやるぜ。」
自分の不幸ぶりに溜め息をつき、新たな目標を定めると、魔紀はベッドに横になりながらスマホの電源を入れると、再びアプリが起動し、1つの画面が出てきた。
STAGE1
キーワードを入力してください、
最新のキーワード
STAGE2 ???
STAGE3 ???
それだけが書かれた画面を見つつ、彼はさっきよりもおおきな溜め息をついた。
「なんだこれは。まったく意味がわからん。まぁ、とにかくキーワードを入れてみますか。この最新のキーワードでいいか。」
そう呟くと魔紀は最新のキーワードと書かれた画面に触れて見た。
最新のキーワード
消しゴム
魔法
権田 正義
殺人事件(4月5日〜)
それ以下
「ますますわからん。うーん。とりあえず安全そうな消しゴムにしてみるか。」
そう呟き、選択してみた。すると、
☆消しゴム
・持ち主 朝木 魔紀
・製造年月 3/2
・購入日 3月28日
・購入場所 近所のコンビニ
・状態 全体の3割を使用・側面部に切れ目あ り
・現在地 朝木 魔紀の自室のゴミ箱の裏
「まさかな。」
そう思いつつ、ゴミ箱の裏を見ると、1つの消しゴムが出てきた。
「おいおい。冗談だろ。この消しゴムを落としたのはついさっきだぞ。いったいいつ知ったんだ。いや、それよりもどうやって持ち主も知らないような事を知ったんだ。」
そうして、暫し考えているとあることにきづいた。
「あれ、何かおかしいな。」
☆消しゴム
・持ち主 朝木 魔紀
・製造年月 3/2
・購入日 3月28日
・購入場所 近所のコンビニ
・状態 全体の3割を使用・側面部に切れ目あ り
・現在地 朝木 魔紀の手の中
「現在地のところが変わっている。ということは、このアプリは物の現在時点でのあらゆる情報を知る事が出来るのか。いや、しかしそうなるとこの魔法や殺人事件ってのは何なんだ。」
不思議に思って、魔法の欄を触れてみると
☆魔法
・意味 体の中にある魔臓と呼ばれる臓器から出る魔力を使い、世界の法則を一時 的に無視し様々な現象を引き起こす技術。この技術は秘匿されていて、これを知る者は全人口の3割ほど。魔法関連のことは魔法の存在を知らぬ 者には【特異者】以外には干渉出来ない。
「ははっ。さーて、とっとと宿題でも終わらして、ゲームでもするか。」
何かめんどくさそうな気がした魔紀は今回のことは見なかったことにして忘れようとした。
しかし運命は彼を逃がしはしない。なぜなら彼は選ばれた人間なのだから。