序章 プロローグ2
ガラガラ
「よーし。とっとと朝のHRを始めるぞ。
え〜と担任の深雪先生は諸用で遅れるそうなので面倒いが副担任であるこの俺、東 純一がHRをすることになった。」
そう言うと、淀んだ眼をした東はさっさとHRを始めた。
彼の名前は東 純一。ふだんからダルそうな態度に、淀んだ眼。面倒くさがりな性格をし、同じ教員からはまさに典型的なダメ人間との評価をもらっている。
しかし、以外にも生徒からの人気は高く、あらゆる生徒に慕われている。
「まぁ、HRといっても用件は2つで、まずこのクラスに転校生が来た。しかも黒髪の美少女だ。」
そう言うとクラスが一斉に騒ぎだした。
「俺の時代が来た!」
「デュフフ。黒髪ヒロイン来た!」
「はいはい。妄想はそこまでにしろよガキ共。お前等みたいのにはまず無理だから。顔面見直してから、出直して来い。
さて、静かになったみたいだから早速呼ぶぞ。救世入ってこい。」
教師としては最低なことを言いクラスのほとんどの男子の心を折った東は教室の外にいた転校生を呼んだ。
そこに入って来たのは黒髪の美少女だった。
艶やかな髪、170cmほどの身長、白い肌、澄んだ眼、どれをとってもパーフェクトな容姿の少女の登場にまたもクラスは男女関係なく盛り上がった。
「女神来た!コレで勝つる。」
「まさか、三次元にあんな美少女がいるなんて!」
「はぁはぁ////おねぇ様。」
「なんて逸材!これは薄い本が厚くなってしまうはね////」
転校生は颯爽と教室に入ると黒板に名前を書きつつ、クラスメイトの方を見ると自己紹介をはじめた。
「はじめまして。救世 成子と申します。苗字はこれでぐぜと読みます。珍しい苗字だから覚えやすいと思います。最近まで海外にいて久しぶりの日本なので慣れないこともありますが、何卒よろしくお願いします。」
そういうとクラスは一層騒がしくなった。そんなクラスの奇行にげんなりしつつ、魔紀は転校生を見ると、転校生もこっちを見た気がした。
「まぁ気のせいか。」
そして魔紀は机に突っ伏した。
【ヤットミツケタ】
そんな声が聞こえた気がした。慌てて顔を上げるも既にその声はなくなっていた。そんな魔紀の様子とは関係なしにHRは続いていた。
「さて救世の席はそうだな。そこのイケメンの隣でいいか。」
その一言によりクラスの男子は一気にお通夜ムードになっていた。
「また、イケメンかよ。」
「せっかくの女神がまたもイケメンの毒牙にかかってしまう。」
「ぐぎぎ。くやしいのぅ。」
「分かりました。」
そんなクラスの様子を見つつ、成子は席へと向かっていった。
「よろしく救世さん。僕の名前は神崎界人。よければ界人って呼んで。」
「分かりました界人さん。私も成子でいいです。」
「分かったよ。これからよろしく成子さん。」
「えぇ。こちらこそ。」
そんな良さげな雰囲気にクラスメイト達は界人のイケメンぶりに改めて絶望していた。
「はいはい。いちゃつくのは大概にしろよガキ共。え〜と、残りの1つは最近この近所で殺人事件が発生したみたいだ。だから帰宅する時は気をつけろよ。じゃあこれでHRは終わりだ。はい、おつかれ。」
そういうと東はさっさと出て行った。いつも通りの東の行動にクラス一同は呆れつつも、ありがたがり、1人また1人と帰っていった。
「おーい魔紀。クラスで成子さんの歓迎会をするんだけどどう?」
帰ろうとしたところで界人に尋ねられた魔紀はふと、朝自分のスマホに入っていたアプリを思い出した。
「すまん。ちょっと調べたいことがあるから無理そうだわ。またこんどな。」
「えっ〜。兄貴は行かないんですか?」
「まぁまぁ落ち着いて、憲司。魔紀にも予定があるんだよ。」
「そうですか。では兄貴、また明日。」
「おぅ。またな!」
そういうと魔紀は教室から出て行った。