序章 プロローグ
初めての小説です。作者はガラス製のハートなので感想やご意見は有難く思ってますが、なるべくオブラートに包みつつお願いします。
「なんなんだよこれは。」
彼の目に映るものはまさに世界の終焉と言って過言ではないほどだった。
空は裂け、大地は崩れていった。人類も文明も関係なしに無へとかえっていった。
【セカイヲスクエ】
突如響く聞き慣れた声に、呆然としていた彼は意識を集中させた。
「おい、あんたは一体誰なんだ?ここは一体何処なんだよ?」
【イズレワカル】
そして、彼は奈落の底に落ちていった。
4月7日
「うわぁー!」
彼は大声で起き上がると、辺りを見渡した。
そうして、少し落ち着くとさっきの夢を思いかえしていた。
「なんなんださっきの夢は。【セカイヲスクエ】とかあきらかにおかしいだろ。そういうのはアイツの役回りだろ。」
そう言うと、一人の幼馴染を考えていると、家のチャイムが鳴った。
「おーい魔紀。はやくしないと学校に遅刻するぞ。」
さっき考えていた幼馴染である神崎 界人の声が聞こえると、魔紀と呼ばれた少年はさっさと準備を済ませていった。
そして最後に自分のスマホをカバンに入れようとすると、ふとあることに気づいた。
「なんだ?こんなアプリ入れたっけ?」
「いい加減急ごうよ!魔紀。」
「はいはい。わかったよ。」
幼馴染の声で考えを一旦中断すると、勢いよく外に出て行った。
玄関から外に出ると、そこには圧倒的なリア充がいた。
「相変わらずのイケメンぶりだな界人。少しでいいから分けてほしいよ。」
「ははっ。魔紀こそ口が上手いね。僕はそんなにかっこ良くないよ。」
そんなことを言い合いながら、彼等は学校に向かっていった。
「おはようございます界人さん。////」
「おはよう界人さん////」
学校に着くと早速黄色い声援があがった。
その一方で
「押忍!兄貴おはようございます。」
「おーす!魔紀。」
「おー。憲司、拓磨、おはよう。あと憲司は兄貴はやめろ。」
この2人は明石 憲司と仲村 拓磨。魔紀の愚痴を幾度となく聞いている良き理解者である。
「それは無理な相談です兄貴。」
「それにしても相変わらずすごい人気ぶりだな界人の野郎。」
「そうだな。」
「おまっ。なんとも思わないのかよ。」
いつも通りのやりとりをしながら彼等は教室の席に座った。
神崎 界人と朝木 魔紀。 この2人はこの公立高校で知らぬものはいないほど有名である。
神崎 界人は、金色の髪を持ち、勉学・スポーツなどあらゆる分野でトップクラスで、顔面レベルは天元突破という神に愛されたステータスを持っている。そして、クラスの委員長や生徒会長、果てはクラス担任の美人教師とまさにギャルゲーと言わんばかりのハーレムを形成していた。しかし、その副作用なのか、呆れるまでの鈍感ぶりで、未だに誰1人の気持ちに気づいていない。
一方、朝木 魔紀は圧倒的なまでの戦闘力を持ち、近隣では【魔王】と呼ばれ、恐れられている。構成員50人越えの暴走族を1人で潰した。一度拳を振るえば、某無双ゲームのようになるなど様々な伝説を持つ。
しかし、面倒見が良く、相談事にも親身になってくれるためこの学校では兄貴と呼ばれ、ほとんどの男子に慕われている。界人の幼馴染ということがあり、腐った女子にも人気である。
「そういえば、聞いたところによるとおまえまた喧嘩になったんだって?」
「あぁ、そうだよ。」
「えっ。大丈夫だったんですか?兄貴。」
「もしかしてまた界人関連か?」
「まだ始業式まで時間があるから、少し話してやるよ。」
〜1週間前〜
「あの日は久しぶりにハーレムと離れた界人と街に遊びに行ってきたんだが、
ちょうどゲーセンに向かっていると1人の、確かあれはお嬢様学校のが襲われてるのが見えてな。
それを見た界人が凄まじい勢いで飛び出してな。そこにいた3人くらいの不良をボコボコにしてな。とりあえずその場は襲われた女の子が界人に惚れる以外は特に無かったんだが、その数日後にその不良グループが仕返しに来たんだよ。」
「何だよ、まさか1対100とか不良漫画みたいなことになったとか。」
「いやいや、いくら兄貴っていってもそれは無理でしょう。」
「やっぱり、憲司もそう思うか。で、結局どうだったんだ。」
「いや、確かに桁が違ってるけど、だいたい拓磨の言うとおりだぞ。」
「あぁ、なるほどね。50人だったら前も同じようなことがあったしな。」
「なるほど、それもオカシイとは思いますけど、兄貴なら大丈夫かもしれませんね。」
「2人して間違ってるぞ。本当は500人だぞ。」
「「はぁっ‼︎ 」」
「なんだよ。うるさいな。まわりも2人の大声に驚いてるぞ。」
「ちげーよ!てめえがふざけたこと言うからみんな唖然としてるんだよ!」
「そうですよ。いくら兄貴でも言っていい冗談とダメなものがありますよ。だいたい何でそんなことになったんですか?」
「それがな。その不良グループがここ以外のまわりの県の不良グループを、力で1つにまとめたっていうドデカいグループだったんだ。で、いくら俺でも流石に500人は面倒いと思ったから、穏便にかえってもらおうとしたんだよ。」
「ふつうは面倒いなんて思っていられないだろ。」
「けどなあそこのグループのリーダーが俺のことを【魔王】って連呼しやがってな。」
その段階でクラスメイト達は不良達の結末を理解したのか、目線を下に下げた。なかには黙祷を捧げる人まで出始めた。
「で、それに怒った魔紀はそのグループをボコボコにしてトップになったと言う訳か。」
「おぉ。よく分かったな拓磨。でもトップについては辞めたよ。面倒いし。」
「流石です兄貴!」
キラキラと眼を輝かせる憲司にクラスメイトのほとんどはドン引きした。
キーンコーンカーンコーン
「おっと、そろそろ体育館に行こうぜ。」
クラスメイトと話していると、チャイムが鳴り、体育館へと向かって行った。
いつもと変わらない日常は何時迄も続くと思っていた。
しかし、魔紀と界人の運命は静かに変わり始めていった。誰にも気づかれぬままに。