一章 その17
一章はこの話で終わりです。
次回から二章の王都編が始まります。
p.s今後不規則更新になりそうです。
楽しみに待ってる読者の皆様申し訳ありませんm(_ _)m
家に着くと荷物をまとめ出発の準備を整えた。
あぁ…早く出発したいな…なんて考えているとコンコン、とノックの音が聞こえ続いて声が聞こえて来た。
「ちょっ…姉様!いきなり過ぎるぜ!まだ心の準備がすんでないんだけど?!」
「全く…マール、いい事?淑女と言う者は何時でも万全の準備をしておく事が大事なのですよ?」
「姉様は良くても俺はまだなの!」
何かヒソヒソ声で会話してるけど良いか。取り敢えず出る事にしよう。
「は〜い今開けま〜す!」
ガチャっとドアを開けると第一王女のロヴィニアと第二王女のマールがいた。
声で大体分かっていたが驚いた風を装い尋ねる。
「え、えーと何か御用でしょうか?」
下から覗き込む様に尋ねるとニッコリと微笑みながら返してきた。
「ええ。明日の出発についてお話がありますの。取り敢えず中に入っても宜しくて?」
とロヴィニアが上品に尋ねて来た。
「あ、どうぞ…」
と中に入れる。
何故か楽しそうに微笑みながら入ったロヴィニアとこっちはこっちで何故か不貞腐れた顔で入って来たマール。
僕何かしたかな?
「取り敢えずここで座って待ってて下さいますか?今お茶を煎れて参ります」
「分かりましたわ。ほらマールもいらっしゃい?」
率先して座るロヴィニアが突っ立ったままの妹を嗜める。
「分かったよ…はぁ…何で俺がこんな所に来なくちゃいけねぇんだよ…」
溜息の後の台詞は小さすぎてロヴィニアには聞こえなかった様だが僕にはバッチリ聞こえていた。
やっぱり僕、何か嫌われる事したのかな?
まぁいいや…後で聞こうかな?今はお茶を煎れるのが優先だ。
「お待たせしました。自家製のロットでございます。お口に合えば宜しいのですが…紅茶は熱いのでお気をつけ下さい」
煎れたての紅茶をティーカップに注ぎ、自家製ロット(小麦にバターと水と砂糖を練り焼き上げた物)を皿に並べ机の上に置く。
「あら、有難うございます。是非頂かせて貰いますわ」
「ああ…あんがと」
嬉しそうに口に運ぶロヴィニアと渋々も言った感じのマール。
「あの、何かお気に召されませんでしたか?」
先程感じていた疑問を思い切って尋ねてみる。
「ん?ああ…あんたの落ち度じゃない気にすんな」
と言った。
なぁんだなら良いか。僕の落ち度じゃないらしいし。そろそろ本題に入ろうかな…と考えているとロヴィニアが
「あらこのロットとっても美味しいわ。バターの風味とケンナ(シナモンみたいな物)の香りが素晴らしいですわね」
と褒めてきたので
「お褒めに頂き光栄です。お口に合って良かったです。
それより明日の出発についてのお話とは?」
とやや強引に話を逸らす。
「あら?そうでしたわね。それの事なのですけれど、まずそんな畏まった喋り方でなくて普段通りに喋ってくださいな。話はそれからですわ」
と微笑みながらすごい事を言う第一王女ロヴィニア。
すると慌てて第二王女マールが反論する。
「ちょっと姉様!それはやり過ぎじゃねぇか?!」
まぁ正しい反応だ。普通王族にタメ口など完全に牢獄行きである。運が悪ければ死罪だ。
「何ですか?私が良いと言っているのですから良いでしょう?それとも私の言う事が聞けないのですか?」
と言うとマールは悔しそうに唇を噛み締め、
「いえ…聞けます…」
と泣きそうに答えた。
すると今度はこちらに向き微笑みながら
「貴方も良いですか?」
「あ、は、はい。分かりました」
とタジタジしながら答えると
「ふふ…なら話を始めましょうか」
と楽しそうに微笑みながら話し始めた。
女の人って恐い…
「今回お邪魔したのは明日の出発の件なのですけれど、明日は朝7:00にこの村を出発し3日後の朝6:00位に到着する予定です。野営の際はテントを張り見張りは交代制です。
それと貴方のお供の方なのですけれど信頼出来るお方なのですか?こちらとしては一国の王族なのでそれ相応の信頼の置ける方でないと困るのです」
と話す。やっぱりアレスは怪訝に思われていたようだ…仕方ないよね…ちゃんと信頼の置ける奴だって言わなきゃ!
「はい分かりました。アレスにも伝えておきます。あ、アレスってのは今回お供する奴です。本名はアレイスター・Y・グリュンセロです。小さい頃からの知り合いで僕が親友と呼べる唯一の人間です。
腕の方はまぁまぁですけど中々荒削りな部分がありますね。使う武器は大剣とか戦斧等の大物です」
と一通りアレスの説明をするとロヴィニアに変わりマールが聞いてきた。
「そいつ強いのか?」
「ええと、父様には敵いませんが、善戦する位です。その辺のモンスターには絶対負けないと思います」
と答えると、マールは目を開き驚いた様に聞いてくる。
「何だとっ!?どの位持つんだ!?」
と今にも噛みつかんばかりの気迫で聞いてくる。
「え、えーっと大体2〜3分は持ちますかね…?」
と答えるとまたしても目を見開きこれ以上の驚きは無いと言わんばかりに驚いていた。
「まさか…嘘だろ…!?俺なんて師匠にすら1分も持たないってのに…?」
とブツブツ考え始めた。すると驚きを目を細めただけに留めたロヴィニアが尋ねてくる。
「あら、そうですの?それは大層お強いんですのね。それなら安心できますわ。
ちなみにその方は魔法はお使いになりますの?」
「いえ…アレスは魔法は初級魔法すら使えないんです…あ、でも最近は無属性の身体強化魔法なら使える様になりました」
「ええ!?その方は魔法無しで団長と渡り合えるのですか!?」
と今度はロヴィニアも驚きを隠させなかった様だ。マールに至ってはもう心ここに在らずと言った感じで口をパクパクさせている。
「え、ええ…そうですけど…?」
とだけ返すと
「それなら益々安心できますわ!宜しくお願いと伝えて下さいます?」
と少し興奮した様子です言われたので安心した。取り敢えずアレスの事は信頼の置ける奴と認識された様だ。あと少しだけ気になっている事を聞いた。
「はい、分かりました。あ、それとロヴィニア様方の事をアレスに話しても良いですか?」
「あら?まだ話されておりませんでしたの?
どうぞお話になって結構ですわよ」
と少し驚いた様に微笑みながら返された。
「はい分かりました。明日は何処に集合するのですか?」
「あら、私とした事が話忘れてしまいましたわ。ごめんなさいね…集合場所なのですけれど村の噴水の前でどうでしょうか?」
噴水前か…あそこなら分かり易いし丁度いいな…
「明日の7:00に噴水前ですね?分かりました」
と言うと
「お話も済んだ事ですし私達はそろそろ帰らせて頂きますわ。ほらマール?行きますわよ?」
と姉に窘められハッと我に帰った様で急いで立ち上がった。
「でわまた明日会いましょう。遅れずに来て下さいね?」
「はい必ず遅れずに参ります」
と返し玄関まで付き添いドアを開けて見送った。
さぁて明日に備えて今日は少し早く眠ろうかな?
と暗くなり始めた中考えた。
翌朝朝に弱いアレスが少し遅刻し、カーラさんにこっぴどく怒られていた。
そんな事があったが僕達は村を出発し王都に向かい始めた。




