一章 その9
予告です。
今回は父親とのキスシーンがあります。
しかし、性的な意味は無く親子の最上級のスキンシップとして描写しております。
勿論、ディープではありません。唇を重ねるだけです。
BL要素はもうちょっと後でやります。
***ヴェルガ視点***
エリスはすぅすぅ穏やかな寝息を立てて眠っている。
エリスが倒れてから5分きっかりに腕一杯に魔法薬を抱えたカイナと慌てた様子のメイドが2人駆けつけて来た。
直ぐに治療に取り掛かり原因は栄養不足や疲労からなる風邪らしい。薬を飲ませて栄養を摂っても2週間は絶対安静らしい。取り敢えずエリスの命に別状が無くて良かった…
ベッドに眠る息子を見る。
髪はやや艶を取り戻し、顔もいくらか生気が戻って来ている。腕や脚はまだ細いままだが、倒れた時に比べれば太いと言えるだろう。
「…エリス……」
ポツリと息子の名前を呼ぶ。
「すまなかった…。こんな風になるまでお前を追い込んでしまった…!」
気が付くと頬にツゥと涙が流れる。それとともに懺悔の言葉も流れ出す。
「お前をちゃんと見もしないで"愛してる"だなんて馬鹿な父親だな…いや父親失格だな…」
その言葉は届けるべき本人に届くこと無く紡がれる。
「しかし、せめてお前の事を守らせてくれ…。碌に愛情も上手く伝える事の出来ない私が不甲斐なくて本当にすまないッ…!
記憶を失ったお前に中途半端な情けを掛けて、そのせいでお前をより深く傷付けてしまった…
私を恨んでくれても構わない…私はお前に殺されても文句を言えない位酷い事をしたのだから…
それでも頼む…!お前を守らせてくれ…!!」
***ヴェルガ視点終了***
***アズ視点***
…ヴェルガ様……
扉の向こう側では愛しい人が眠っている彼の息子に話しかけて…いや、懺悔している。
彼の言葉は彼の息子には届かない事くらい彼も解っているだろう。しかし、彼は本当に自分の無力さを嘆かずにはいられなかったのだろう。
私は後悔した。元はと言えば私が原因なのだ。
私がエリス様にくだらない嫉妬なんかするから…エリス様は記憶を失っていて、幼いにも関わらずしっかりしているのに対し自分の子供加減に嫌気が指す。
元々私の恋は結ばれる事は絶対に無いのだ。ヴェルガ様は婚約者がいて互いに愛し合っていると聞く。エリス様の事に関しても深い関心を持っており、エリス様を養子にする事に大賛成だったらしい。
そんな愛し合っている人がいるのに、私は自分勝手な都合で勝手に好きになって勝手に焦ってエリス様に嫉妬で八つ当たりしたりと、本当に自分の事ながら最低だなと思う。
恐らく…いや確実に私に残された道は一つ。
メイドを辞め、ヴェルガ様も諦めて実家に帰る事だろう(幸い実家の道具屋は王都にあり、それなりに繁盛しているので跡継ぎになろうと思う)。
そうと決まれば即決行だ。先ずメイド長に辞表を出し、ヴェルガ様にも辞める旨を伝えてから荷物を纏め出て行こう。
エリス様は…会わせる顔が無い…
エリス様も私の顔なんてもう見たくないだろうし…メイド長に謝罪の言葉を伝えて貰おう。
***アズ視点終了***
***エリス視点***
チュンチュン
「んっ……」
目が覚めると朝だった。
身体が重くて怠い…頭も痛い…布団もやけに重く感じる…
ふと見ると僕は布団が重い理由が分かった。
父様が寝ているのだ。僕の左手を握り締め、目の下に隈を作り疲れ果てた様に寝ていた。
カチャリ
ドアの開く音がしてドアの方を見ると
「エリス様…?お、お目覚めになられたので?」
カイナさんが驚いた様にドアを開けた姿勢のまま尋ねてきた。
「はい。まだ万全とは行きませんが…
それより何があったんですか?何故父様がここで隈を作り疲れ果てた様に眠っているのですか?」
「覚えてらっしゃらないので?」
「ええ…何が何だか…」
僕の頭は寝起きで上手く働いておらず、オマケに頭痛がするので全く使い物にならなかった。
「先ずエリス様は何日眠っていたかご存知ですか?」
「ええ。いつも通り半日ほどでしょう?」
不思議な事を聞くもんだ、と思ったが帰って来た返事を聞きそんな考えは吹き飛んだ。
「いいえ。9日です」
…………………………………はっ?
今何て言いました?
「えっと、カイナさん?今何て言いました?」
聞き間違いかもしれない…9日なんて耳掃除した方が良いかな?
「ですから9日です。エリス様がお倒れになった後9日ずっと寝たきりでした」
聞き間違いじゃなかった。多分産まれて始めてここまで驚いたかもしれない。
んっ?待てよ?倒れた?なぜ?
「カイナさん、倒れたってなに?」
そう聞くと、カイナさんは苦々しそうに答えた。
「エリス様がヴェルガ様と喧嘩なされて一週間程部屋に閉じ籠った結果泣き続け、まともに食事も取らなかった為栄養不足と極度の疲労からなる風邪でお倒れになったのです」
カイナさんが言いづらそうにそう言った。
…ああ思い出した。僕と父様は喧嘩している途中だったのだ。
思い出すと何で父様がここにいるのか、早くいなくなってほしいと言う思いに駆られたが、ぐっと堪えカイナさんに尋ねた。
「何で父様が僕の部屋にいるの?」
「ヴェルガ様はエリス様が眠っている間ずっと付きっ切りで看病していたのです…。
交代で看病しようと言ったのですが、"私にやらせてくれ!エリスを追い込んだのは私だ…!私がエリスにしてあげられるのはもうこれぐらいしか残されていないんだ…!"と譲らず休んで欲しいと言っても"エリスはもっと辛かったんだ、私がこれくらいで音を上げる訳にはいかん!"と言って不眠不休で看病なさっていたのです」
カイナさんが一気に話すと一休み入れてこう言った
「エリス様…もういい加減お気付きになられたでしょう?ヴェルガ様はエリス様の事を本当に愛してるらっしゃいますよ…。愛していない人にここまでする人はいませんでしょう?」
そこまで聞くと涙が出てきた。
確かにその通りだ。父様は僕の事を愛してくれている。
すると父様が起きた。
「……朝か。ッ!!……エリス?!起きたのか?!
ハッ……!すまない…私に心配する資格なんて無いよn…!??」
言おうとする父様に抱き付いた。
困惑して口をパクパクさせる父様を見てこう言った。
「…そんな事無いよ…。父様は父様だよ…ゴメンね心配かけて…酷い事沢山言っちゃって……僕、不安だったんだ……父様たまに僕の事なんて言うか…可哀想な目で見るから、もしかして父様は本当は僕の事好きじゃ無いのかなって…
でも違った…現に父様はこうして付きっ切りで僕の事、看病してくれた…ずっと側にいてくれた…それだけで僕は…僕は……」
最後まで言う前に父様に強く抱き締められた。
今までにないくらい強く、だけど優しく抱き締められた。
「ありがとう…ありがとうエリスっ……」
父様は泣きながら耳元で囁く様に言った。
「もう一度…親として見てくれるかい?」
愚問だ。
「勿論だよ…父様……!」
僕も強く抱き付き返し父様にキスした。父様は驚いていたが受け入れてくれた。
カイナさんはいつの間にかいなくなっていたが今の僕にとってどうでもいい事だった。
チョリッス(・ω・)ノ freeでゴザいますw
さて今回で昔話を終えて次回は村で返事を待つ王女御一行の話とエリスの支度の話をしてから、次章に移りたいと思います。
ぶっちゃけ原稿無しにその日の考えで書いているので「ちぐはぐでも仕方ないかw」の心構えで読んで下さいwww
物語は私の頭の中で始まっているのさ(ェwww




