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世にも歪な物語  作者: 海藤日本


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3/19

五分の扉-初陣-

 異世界に入ると本当に現実世界と何ら変わりはなかった。

「本当に、ここ異世界なのか?」

 そう思っていると、周りを歩いている人、散歩している犬、そして野良猫と空を飛んでいるカラスが一斉に俺の方を見た。

 次の瞬間、あらゆる生物達が俺を目掛けて襲って来た。

「うお! まぢで来やがった!」

 俺はとにかく全力で逃げた。

 鳥が、犬が、猫が、そして人間が、物凄い数で俺を追いかけて来る。

 俺は只、逃げることしか出来ず、道の裏路地に入り一旦身を隠すことにした。

「甘く見ていた。今思えば全員敵なんだよな。こんな数、相手してられないぞ」

 そう思っていると、俺は左腕に目がいった。「なんだこれ? 腕時計?」

 説明しよう。

 今、春之助の腕にある物。

 これは「アナザータイムウォッチ」

 通称アナタイは、異世界に入ると自動的に身に着く。

 そして、これは五分間のタイムを測ってくれるのだ。

 つまり、春之助はアナタイを見ながら、行動することが出来るというアイテムなのだ。

 まぁ、普通の時計です。

「まだ二分しかたってねーよ。とりあえず今日は初陣だし、このまま隠れて一万円だけ頂くか」

 俺はそう思ったが、現実はそう甘くはなかった。

「ガルルルゥ」となにか獣の声がする。

 振り向くと、後ろに犬が物凄い形相で俺に近づいて来る。

 それと同時に、上からはカラスが俺を見つけて突進して来た。

 俺は、横に落ちてある棒を拾って、カラスの眼球を目掛けて投げると、それがクリンヒットした。

 俺は、学生時代野球をしていた。

 ここで役に立つとは思ってもいなかった。

 カラスは落下し、俺はカラスを全力で踏んづけた。

 するとカラスは死んだ。

「よっしゃ! 舐めんなよ!」

 でも、俺は犬の存在を忘れていた。

 ガブッ!と鈍い音がした。

 俺は、右足に猛烈な痛みを感じる。

 そう、犬が俺の右足を思いっきり噛みついていた。

 俺は痛みに耐えながら、左足で犬を踏んづけた。

 それで犬は離れはしたが、俺の右太ももが噛みちぎられていた。

「やられた……。この出血はひどい。痛みで歩けねぇ……」

 犬は再び起き上がり、俺に向かって突進して来た。

「嘘だろ? ……まさか、初陣で俺は死ぬのか?」

 そう思った時、俺は現実世界に戻り、犬もいなくなり、右太ももの傷も完治していた。

「そっか……五分経ったのか。時間を見る余裕もなかった」

 その時、俺の手元に一万五千円があった。「そっか……カラスを一匹殺したから、+で五千円ってことか。でも、いくら五分とは言え、あの痛みに耐えて一万五千円か」

 俺は、家に帰って必死に考えた。

「最初は逃げて、人目のない所で五分隠れているだけで一万円ならそれにすべきか? いや、俺は犬とカラスにバレた。動物は嗅覚が優れている。隠れてもまず見つかるぞ。……それに、カラスは空から見れる。厄介だ。……後、俺は手ぶらであの異世界に行った。手ぶらでたった五分は、流石に誰も殺せねぇ」

 考えぬいた結果、俺は決めた。

 俺は店に行き、ロングナイフを買った。

「これで、人間や他の動物の急所を刺せば一撃で殺せる」

 本当はマシンガンとかロケットランシャーとか使用して、一気に殺せば大量にお金が入ってくるが、そんな物が手に入る訳がない。

「……いや待てよ」

 俺は、更なるいい考えを思いついた。

「まずは、このロングナイフで一日最低でも四、五人は殺せる。人間を殺せば、一人につき三万円だ。と言うことは、一日十万以上は稼げる。それを三十日やれたら……三百万を超える。月に三百万以上も稼げれば、俺はすぐにでも金持ちになれるぞ。そっから金に余裕が出来たら、外国からマシンガンとか、ロケットランシャーとか買えばもっと金が増える。なに、どうせ裏でそんな取引やってるだろ。金さえ払えば奴らも売ってくれるだろ。よし! 明日からこれで行こう」

 あっという間に次の日になった。

「場所は、なるべく安全な所からがいいな。……となると自宅か」

 俺はアナザーロッド使い、五分の扉を自宅で出現させた。

「やっぱこの扉もすげーな。触れるのに、家に置いてある物をすり抜けてやがる。……いや、これも俺がアナザーロッドを持っているからか? まぁ、そんなことはどうでもいい。とりあえず行くか!」

 こうして俺は五分の扉の中に入った。

「やっぱり扉の中も俺の部屋か。今日は、昨日買ったロングナイフがある。あまり、装備を重くしすぎても動きが鈍るからなぁ。今日は、しっかりアナタイも見ながら……」

 そう思っていると突然、俺の部屋の窓が割れた。

 そこに現れたのは、一人の中年の男だった。   俺は驚いた。

 何故なら、俺が住んでいる部屋は二階だからだ。

 それと同時、玄関の扉を殴る音も聞こえてきた。

「玄関は、そう簡単にやぶれねぇ。…それにしても、このおっさん、運動神経いいじゃねぇか」

 おっさんは、鋭い眼光で俺に襲いかかって来た。

「わりぃなおっさん。恨みはねぇが、死んでくれ!」

 俺は、ロングナイフでおっさんの心臓を貫いた。

 ナイフを抜くと、おっさんは大量の血しぶきをあげて死んだ。

 その返り血がおれの身体についた。

 いくら異世界とはいえど、俺は初めて人間を殺した。

 昨日カラスを踏み殺したが、正直その時よりも全く感覚が違う。

 その時、俺の中の悪魔が目覚めた。

「最高じゃねーか! こんなおっさん殺すだけで金が貰えるなんてよ! しかも、この世界じゃ捕まらねぇ!」

 俺は、叫ぶと同時に玄関の方へ走って行き扉を開けた。

 すると、十人くらい人間がいた。   

 その中には女、子供、老人もいた。

 だが、俺はそいつらが金にしか見えなかった。

「ヒィアアー!!」

 俺は、叫びながらロングナイフでその場にいた十人を刺し殺した。

 俺の身体は、返り血で真っ赤に染まっていた。

 俺はアナタイを見た。

「もう終わりか」

 五分が経ち、現実世界に戻ると全てが元通りになる。

 俺の身体も綺麗になっている。

 勿論、俺が殺した人間も死んでいない。 

 俺は今回、合計十一人殺した。

 そして、俺は生き残った。

 俺の手元には、合計で三十四万円があった。  俺はお金を手に持ち、それを部屋にばら撒いて大声で笑った。

「あーはっはっはっはっ! 楽勝じゃねーか! たった五分で三十四万だ! 最高だ! 黒木のおっさんに感謝しねぇとな!」

 もう、俺の心は完全に悪魔に取り憑かれていた。

 そして、俺は最悪なことを思いついた。

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