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世にも歪な物語  作者: 海藤日本


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18/19

変人マンション-強面の男性-

ある日、ワンルームの賃貸マンションに引っ越してきた春之助。

そこで、変な出来事が次々に起こる。

そのマンションに住む人達は、何かと問題を抱えていた。

 ある日、職場の転勤でとある町の賃貸マンションに、引っ越して来た「春之助」という一人の若い男性がいた。

 その賃貸マンションは、ワンルームではあるが、近くにはコンビニも駅もある。

 それに、家賃もそこまで高くはなかった為、一人暮らしには十分だ。

 その賃貸マンションは五階建てであり、春之助は三階の角部屋に住むことになった。

 角部屋の為、横にも小さな窓があった。

 このマンションは、横には別のマンションが建っている。

 春之助は窓を開けると、隣のマンションに住んでいる若い女性も同時に窓を開けた。

 二人は目が合い、軽く会釈をした。

 春之助は、真上、隣、真下に住んでいる人に挨拶へと向かった。

 しかし、その日は日曜日であるのに誰も出て来なかった。

「……まあ、出掛けているのだろう」

 その時は、そう思った。

 次の日の月曜日、春之助は夜食を買いにコンビニへと向かった。

 買い物を済ませた帰り、自分のマンションのベランダを見ると、昨日訪ねた部屋は全て電気がついていた。

 春之助は昨日のことを思い出し、すぐに挨拶へと向かった。

 しかし、またしても全員出て来なかった。「おかしいなぁ。いる筈なのに……」

 春之助はしばらく考えた結果、「もう、挨拶はいいだろう」と思い、それ以降訪ねるのを止めた。

 引っ越して来て、二ヶ月程経った夜のこと。 

 春之助は仕事から帰宅し、風呂に入って夜ご飯を食べた後、パソコンを扱っている時だった。

「ピンポーン」とチャイムが鳴ったので、春之助は部屋の扉を開けた。

 そこには、強面の五十代くらいの男性が、煙草を吸いながら立っていた。

「……どうされました?」

「兄ちゃん、部屋で何かしてんの? ちょっとうるさいんやけど?」

「いえ、私はパソコンを扱っていただけなので、特に大きな音は出していないですよ」

 強面の男性は、春之助の部屋を覗きこみ少しニヤリとした。

 しかし、その表情はすぐに戻った。

「おかしいなぁ……ハンマーで壁を叩くような音がしたんだが……」

「ハンマー? それは流石に私ではありません」

「そっか、邪魔したな……。一応やけど俺、兄ちゃんの真上に住んどるから……」

 強面の男性はそう言い、部屋へと戻って行った。

「俺の上の人、ちょっと怖い人だなぁ。……てかあの人、俺の真上なんだよな? ハンマーで叩く程の音がしたら普通、俺の部屋まで聞こえてくる筈だが……」

 春之助はこの時、上に住んでいる強面の男性の言っていることが、変だと気付いた。

「もしかして俺、変なマンションに引っ越して来たか……。いや、まだ二ヶ月しか経っていないし、決めつけるのは早いか」 

 春之助はパソコンを辞め、その日は早目に寝ることにした。

 それから、また二ヶ月程経った土曜日のこと。     

 その日、春之助は休みでありまだ眠っていた。

 すると突然、「ガンガンガン!」と物凄い音して春之助は飛び起きた。

 咄嗟に時計を見ると、時刻は午前十一時。「ガンガンガン!」とまた物凄い音がし、春之助は動揺していた。

 明らかに、この音は隣から聞こえてくる。「流石に言いに行こう」

 そう思った瞬間、今度は突然、春之助の部屋の扉を「ガンガンガン!」と誰かが強く叩いてきた。

 春之助は、考えるより先に部屋の扉を開けた。

 目の前には、あの強面の男性が物凄い形相で立っていた。

「うるさいんじゃ! ボケ!」

 それを聞いた春之助は激怒した。

「俺じゃねぇよ! 俺の隣から聞こえているんだよ!」

 それを聞くと、強面の男性は隣の部屋の扉をを叩き出した。

 しばらくすると、隣のドアが開き中から大人しそうな外見の若い男性が出てきた。

「お前か?」

 強面の男性が、鋭い眼差しでそっと問いかけた。

 しかし、隣の男性はニコッと微笑んだ。

「違いますよ。恐らく、私の上の人です。もう、管理会社の方に連絡は入れておいたので、もうじき止むと思いますよ」

 隣の男性は、変な程落ち着いていた。

 それを聞いた強面の男性は、また変なことを言い出した。

「あんたの上なら、俺の隣か? 俺は明らかに下から聞こえたが……。いや、もしかしたら俺の上の奴かもしれねぇな。俺の上の奴はアル中なんだ」

「いや、真逆じゃん。言うこと、コロコロ変わるなぁ」

 春之助は心の中で呆れていた。

「まぁ、いずれにせよ管理会社に、連絡は入れておいたので時期に止みますよ。では、私はこれで」

 隣の男性はそう言うと部屋の扉を閉めた。

 春之助も「これ以上、変な奴らと関わりたくない」と思い、「失礼します」と言い、部屋へと戻った。

 隣の男性が言う通り、あの物凄い音は直ぐに止んだ。

「しかし、おかしいなぁ。俺は確かに隣から音がしたんだが……。でも、あんなに落ち着いた男性が物凄い音を出すのは考えにくい……。いずれにせよ、変なマンションだなぁ」

 春之助は、パソコンを扱いながらそう思った。

 実は、変な体験はこれだけではなかった。

 春之助は、車で会社に通勤している。

 その為、マンションの裏に駐車場を借りているのだが、春之助の隣に止めている男性はいつも、車の中にいる。

 春之助が仕事から帰って来ても、車の中でスマホをいじっており、夜に用事があって駐車場へ行くと、車の中で眠っている。

 それが一度ならまだしも、春之助が駐車場に行くと殆んど車内にいるのだ。

 それに一度、春之助が仕事から帰って来た時、いつも停めている場所に別の車が停まっていた。

 車の中には、六十代くらいの女性が乗っていた。

 春之助は車から降りた。

「すみません、そこは私が借りている場所なんですけど……」

「あら、そうなの? すみませんねぇ。息子に会いに来たもので……。あ、ちなみにあなたの横に停めてる車の人が私の息子です。一階に住んでるので、よろしくお願いします。」

 女性はそう言い去って行った。

「あの変な男の母親か……。それにしても何故、あの男は家がすぐ側にあるのに、よく車内にいるんだ? 相変わらず、変な人が多いマンションだなぁ」続

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