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世にも歪な物語  作者: 海藤日本


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16/19

妹の後ろ姿-姉を脅かす者-

人は、背中を向けた相手をどこまで信じられるのだろう。

顔を見ていないその瞬間、それは本当に“その人”なのだろうか。

セナは、妹の後ろ姿を見た。

——それが、すべての始まりだった。

 ある日、「セナ」と「ユイ」という二人の女子高生がいた。

 二人は姉妹である。

 セナが姉、ユイが妹であるが二人は双子だ。 

 勿論、顔はそっくりであり、セナの右頬に小さなほくろがある為、それでやっと分かるのだ。

 二人は、髪も長髪な為、後ろ姿からでは、両親が見ても区別がつかない程だった。 

 最近、父の部署移動で家族は、遠く離れたある町に引っ越してきた。

 父の職場での昇進もあり、今までは賃貸マンションで暮らしていたが、これを気に一軒家を建て、そこに住むことになった。

 引っ越して、半年程経ったある日の夜、セナがお風呂から上がり、自分の部屋に戻る為、自宅の階段を上がろうとした時だった。

 階段の先に、妹のユイの後ろ姿が見えた。

「ユイ。あなたもお風呂に入ったら?」

 セナがそう言うと、ユイは何も言わず階段の電気を消して自分の部屋に入って行った。

 セナは激怒した。

 そして、物凄い形相でユイの部屋の扉を開けた。

「ユイ! ふざけてるの?」

「セナ? どうしたの?」

「あなた! 私がまだ階段上がっていたのになんで電気消したのよ!」

「なに言ってるの? 私ずっとこの部屋にいたよ?」

 セナはそう言われ、少し冷静になった。

 よく見ると、ユイはまだ制服姿。

 先程、階段で見たユイは部屋着姿だった。   

 こんな秒単位で、着替えるのは無理がある。  

 あまりの出来事に、セナは呆然と立っていた。

「もう! いきなりなんなの?」

 ユイは機嫌が悪くなり、部屋を出て、お風呂に入って行った。

 一時すると、セナの脳内に凄まじい恐怖が襲ってきた。

「なら、あれは誰なの? まさか、空き巣?」      

 セナは、すぐに自分の部屋に行った。

 しかし、誰もいない。

 次は両親の寝室に行った。

 しかし、そこにも誰の姿もなかった。

 二階にある部屋は、これで全部である。

 セナは、急いで一階に行き、和室とリビング、台所へと行くが、何処にもあの女性の姿はない。

「セナ? どうしたの?」

 母にそう言われ、このことを話したが、返ってきた言葉は「空き巣なんて入る訳ないでしょ? あなた、少し疲れているんじゃない?」と、まともに話を聞いてもらえなかった。 「まさか……幽霊?」

 セナはそう思いご飯を食べた後、ユイの部屋を尋ねた。

 ユイに先程のことを話すと、やはり返ってきた言葉は母と一緒だった。

 まともに聞いてもらえず、セナは先程までの恐怖心は一気に薄れ、それとは逆に怒りが込み上がってきた。

「なによ! どいつもこいつも!」

 セナはそう言い、ユイの部屋を後にした。

 そして、この出来事から一週間が経った夕方のことだった。

 セナは学校から歩いて帰っていた。

「あ、ユイだ」

 丁度、ユイの後ろ姿が、玄関の扉を開けているのが見えた。

 二人は、別の高校に通っていた。

「ユイ! 私も入る」

 しかし、ユイに無視されそのままドアを閉められた。

 セナは、再び激怒した。

 玄関の扉を力強く開け、ユイの部屋に入った。

「ユイ! なんの真似よ!」

 しかし、そこにユイの姿はなかった。

 家のあらゆる場所を探しても、ユイの姿はない。

 セナは、一週間前の恐怖が再び襲ってきた。「今、確かにユイの姿を見た……。やっぱりあれは幽霊なんだ」

 一時して、ユイが学校から帰って来た。

 ユイが和室で、しゃがみ込んでいるセナを姿を見て「どうしたの? サヨナラ負けした時のピッチャーみたいになってるよ」と言うとセナは、ユイの方を向いて小さく呟いた。

「あなたの生き霊がいる……」

「え? なに?」

「ユイ……あなたの生き霊よ。また見たの」

「セナ、またその話?」

 ユイが呆れていると、セナはユイの肩を強く揺さぶった。

「私がここまで冗談を言うと思う? 信じてよ!」

 セナは恐怖のあまり、目からは大量の涙が溢れていた。

 流石に、この姿を見たユイは詳しく話を聞いた。

「セナ、それって本当に私?」

「どういうこと?」

「だって、後ろ姿しか見ていないんでしょ? 私達双子だし、セナの生き霊かもしれないよ?」

「言われて見れば……」

「とにかく、お母さんとお父さんに相談しよ」    その日の夜、二人は両親にこのことを告げた。  

二人の真面目な姿勢に、両親は話を最後まで静かに聞いた。

「分かった。明日、お祓いに行って来なさい」   

 両親はそう言い、お金を包んで二人に渡してくれた。

 その日の夜中、ふとセナは目覚めた。

 隣のユイの部屋から、なにか物音がした。

 普段なら、「夜更かしでもしている」のだと思い、そのまま眠りにつく筈である。

 しかし、今回は一連の出来事もあってか、気になって仕方がない。

 セナは、恐る恐るユイの部屋へと向かった。   ユイの部屋の前で、セナは不審に思った。

仮にユイが起きているなら、部屋の明かりが扉から漏れている筈である。

「きっと、部屋を暗くしてスマホでも見ているのよ」

 セナは自分に言い聞かせ、コンコンと扉をノックした。

 しかし、反応がない。

「寝たのかしら……」

 そう思っていると、ガタガタと強い音がした。

 思わずセナは「きゃっ!」と声を出してしまった。

 しかし、その物音は一回で終わった。       

 セナはそっとドアの具を持ち、音がならない程ゆっくりと部屋の扉を開いた。

そっと部屋を覗くとユイはベットで寝ており、他は誰もいなかった。

「寝たのかな?」

 次の瞬間、ユイがベットからすぅーと起き上がった。

 しかし、よく見るとユイは寝ている。

「これって、まさか……幽体離脱?」

 黒い影はベットから立ち上がり、やがてすぅーと消えて行った。

 それを見たセナは、急いで自分の部屋に戻り、毛布にくるまった。

「やっぱり、ユイだったんだ……。なんで、ユイの生き霊が?」

 セナは震えが止まらず、その晩、全く眠ることが出来なかった。続

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