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世にも歪な物語  作者: 海藤日本


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14/19

供養されなかった顔

人は「写真は真実を写す」と言います。

ですが、もしそこに写ってはいけないものまで、写ってしまったとしたら。

これは、とある小学校の春に起きた一枚の集合写真から始まる話。

笑顔で並んだ子供達の中に、最初から“それ”はいたのか。

それとも、写された後に入り込んだのか。

 とある町に「風谷春之助」というごく普通の中学二年生がいた。

 これは中学生の春、妹が小学校を卒業する直前のことだった。

 三月の終わり、妹のクラスは最後の思い出として集合写真を撮ったらしい。

 何十人もの子供達が、ぎこちなく笑いながら並んだ一枚の写真。

 それが、全ての始まりだった。

 数日後、妹が震える手でその写真を見せてきた。

「……お兄ちゃん、これ……変じゃない?」

 一番、前列の左端に座っていた妹。

 その左肩に、ありえないものが写っていた。

「なんだこれ? ……赤ん坊の顔?」

 歪んでもいなければ、ぼやけてもいない。

 光の反射とかでは説明できない。

 生々しい表情をした顔だけが、妹の肩から半分ほど飛び出すように、こちらを見ていた。

 これは、すぐに問題となり、写真はすべて回収された。

 教師達は「神社で供養してもらう」と言っていた。

 しかしその三日後、妹は急に高熱を出した。

 妹はうなされながら、何度も同じ言葉を口にしていた。

「……だっこ……させて……」

 春之助は気になって、学校に連絡した。 

「本当に、あの写真は供養してもらったのですか?」

 しかし、教師達は「ちゃんと神社に持って行き供養した」との一点張り。

「なら何故、妹は……」

 春之助は何かを察したかのように、妹のランドセルの中を見た。

 すると、妹のランドセルの奥から、くしゃくしゃに折れたあの写真が出てきたのだ。

「……なんでこの写真が。……ちょっと待て。……顔の位置が変わっている?」

 最初に見た時は、妹の左肩の上にあった。

 それが、顔がわずかに大きくなり、首元まで沈み込むように写っていた。

 春之助は、近くの神社に写真を持って行き供養してもらった。

 家に帰ると、妹の顔色は更に悪くなっていた。

 再びランドセルの中を見ると、あの写真があった。

「何なんだ! やめてくれ!」

 春之助は叫んだ。

 写真を見ると、今度は赤ん坊の顔が、はっきりと前を向いてこちらを見ていた。

「……笑っている」

 次の日朝、妹はすっかり元気になっていた。

 春之助は安心した。

 しかし次の瞬間、妹が笑顔で妙なことを言い出した。

「……ねえ、お兄ちゃん。昨日ね、写真の中の赤ちゃん、部屋に来たよ」

 それを聞いた春之助は、震える手であの写真を見た。

 そこには、以前妹の姿はなかった。

 妹が本来写っていた場所。

 そこには、首から下が失くなった妹が赤ん坊と並んで写っていた。

 妹と赤ん坊は笑っていた。

「次は、お兄ちゃんの番だね。早く写真撮ってよ」

 妹の声が聞こえ、ふと前を向くと、そこに妹の姿はもうなかった。完

集合写真は「思い出」を残すものですが、

もしそこに“知らない誰か”が残ってしまったら。

「思い出」は「呪い」に変わるのかもしれません。

あなたのアルバムの中に、人数の合わない写真はありませんか?

次に席が空くのは、あなたの番かもしれません。

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