十二支の祠
今回は、セナ、ユイ、マホが心霊スポットと噂されている十二支が祀られている祠へとやって来た物語です。
彼女達は、そこで恐ろしい体験をすることになります。
ある日の夜、暗い山道をセナ達は懐中電灯の光だけを頼りに歩いていた。
噂の十二支がまつられている祠は、地元でも近づく者の少ない場所だった。
何故なら此処は「夜な夜なうめき声が聞こえる」とか「首のない霊が見える」とか噂されていたからだ。
そんな話を聞いて、セナ、ユイ、マホの三人で肝試しへとやって来た。
石段を上りきった先に、小さな祠があった。
そして、その横には何故か首なし地蔵がある。
それだけでも気味が悪い。
円を描くように、ねずみから猪まで崩れかかった石像が並んでいる。
誰も手入れしていないのだろう。
十二の内、二つは殆んど石像が欠けていた。
「……何か変な感じしない?」
セナがそう言うと、ユイがいきなり立ち止まり、膝に手をついた。
そして、ユイはその場にうずくまり、背中を丸めて小さく震え始めた。
「ユイ? どうしたの?」
セナとマホは顔を見合わせ、恐る恐る歩み寄った。
その瞬間だった。
「グアァァアアアッ!!」
ユイは、獣のような雄叫びをあげた。
そして跳ね起き、四つん這いになって石畳を叩きつけるように暴れだした。
爪を立て、目は獣のように鋭くなっている。
その姿は、もはや人間ではなかった。
「やめて! ユイ、落ち着いて!」
マホが叫んだ時、セナは息を呑んだ。
今度はユイの黒かった髪が、根元からみるみる白く変わっていった。
月明かりに照らされ、異様な程白い髪が乱れ、彼女の顔に垂れ落ちた。
その瞬間、祠の石像たちが一斉にこちらを向いた気がした。
そして、マホが震える声で言った。
「……あれ? 十二いるはずなのに……」
それを聞いたセナは数えた。
「一つ、二つ……十一……。ほんとだ。一体足りない……」
そう、足りない一体はユイの背中に、ぴたりと重なっていたのだ。
動物の影のようなものが、ユイの体に貼りついている。
犬でも、猿でも、猪でもない。
それは、角のようなものを持ち、口の裂けた見たこともない獣の影だった。
それが、ゆっくりとこちらを見た。
「……次は……どっちだ……」
ユイがそう言った。
しかし、その声は本来のユイの声ではなく悪魔のような低い声だった。
セナとマホは、恐怖で逃げようとした。
すると、石畳の端に足を取られ、マホが転んでしまった。
セナは、彼女の腕を掴もうと手を伸ばした。
その瞬間、周囲の石像全てが狂ったように鳴き声をあげ始めた。
それは十二の獣の鳴き声だった。
そして、その中心で白髪のユイがゆっくりとこちらへ歩み寄って来る。
セナは、恐怖のあまり懐中電灯を落としてしまい、辺りは真っ暗になった。
そこからは覚えていない。
目を覚ましたら、そこには警察がたくさんいた。
「……ユイとマホは?」
セナがすぐ起き上がると、私の目の前には首から上がない、ユイとマホの死体が転がっていた。
服を見て、二人だとすぐに分かった。
次に、セナは十二支の石像を見た。
それを見て、何故自分だけが助かったのか、セナは理解した。
セナは、三人で来たことで助かったようですね。




