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鍵開けの一歩

坑道に潜り始めてから数日

ミスリル鉱石もかなりの量が集まった

それらをクレールに紹介してもらった工房に精錬してもらって

今デリックは船のドックを借りて木造船の改造を施している

その間、セシルとチャーリーはやる事がない

「…本読むか?」

やる事がなく手持ち無沙汰な彼女を見て

チャーリーがギルドで貰った本をセシルが出してきた

錬金術の初級本と罠師の初級本


錬金術の本は

法律や基礎、道具や簡単なレシピが載っている

「…へぇ…ある程度強力なレシピになると

免許が必要になってくるのか

知らなかった…」

ポーションは初級のレシピなら

万人が作ることを許されているのだが

中級以上のレシピになると、免許なしに作成したり、さらに販売等する事は重罪であり法で裁かれてしまう

その免許を取得するのはギルドで出来るのだが

直接人の身体に作用する物も扱う為に難易度はそれなりに高かった


それに加え、錬金術師は元手のかかるジョブである

錬金素材を自力で集めるにはそれなりの力量が必要になるし

自力で集めないのであればお金が必要だ

「…これは、メインのジョブとしてやってくのは厳しいな」

初級で扱えるのは効果の薄い状態異常毒であり

戦闘で扱うには瓶に詰めて投げ込むか、武器に塗るくらいしかない

「何だよそれ…」

使えないじゃんとヘソを曲げたチャーリーだが、高レベルに成る程

バフやデバフは大事になるんだぞセシルはいう

しかし、まだ冒険者を初めたばかりで、レベルが13になったばかりの彼女にはその重要性は分からない

「…まぁ、そのうち分かる」


次にセシルが手に取ったのは罠師の本

簡単な罠の作り方や、魔物に合わせた罠作り

罠の解除方法とダンジョンの宝箱に仕掛けられた罠の種類などなど…

基本的な事が書かれていた


試しにやってみるかということになり

クレールを伴わず2人だけで1層へ

初めに来た時に魔素が澱む箇所を幾つか見つけていたセシルは

そこを目指して歩き回り、お目当ての“出来立てのダンジョン”を発見した

「…3部屋くらいだな、行くぞ」

「えっ2人で!?マジで!?」

初ダンジョンであるチャーリーは屁っ放り腰に

「…俺のレベルいくつだと思ってんだ?」

ほら行くぞと腕を引っ張られ強制的に中へ


前を行くセシルの後を怯えながついて行くが…

初めに1層に潜った時よりも、確実にレベルの上がっていたチャーリーには

1層の出来立てダンジョンの魔物は前よりも怖い物では無くなっていた

と言っても、彼女は積極的に戦ったわけではなく

敵の攻撃を見切ったり、相手の次の動きを予測出来るようになっていたというだけの話である


あっという間に最深部のボスの部屋

オオコウモリがボスであり、セシルは道端の虫を踏み潰すような所作で倒してしまう

部屋の奥の壁が崩れ、このダンジョンの宝箱が現れる

「スゲェ!本当にあるんだ宝箱!!

なるほどな〜冒険者やってダンジョで宝箱開けまくってたら

馬鹿みたいに仕事しなくても大金持ちじゃん!」

チャーリーのテンションが上がる

「…気をつけろよ、まあ規模的に死ぬ程の罠はねぇと思うが

宝箱には罠がある可能性もあるって書いてあったろ」

さっきの罠師初級本を取り出しセシルは絵で解錠を説明しているページを開いた

「…これ見ながらやってみろ」

チャーリーは早速、ヘアピンを片手に宝箱の解錠に取り掛かった


5分

10分

30分…


「…開くかよこんなもん!!!」

癇癪を起こしたチャーリーが宝箱を蹴飛ばした

長い時間、本と宝箱を見ながらヘアピンでの解錠を試みたが

結局鍵の解除に至る前に彼女の精神が限界を迎えたのだ

部屋の隅で煙草を吸って待っていたセシルは

そんな彼女の方へ歩いてきて宝箱を拾い上げた

「…ま、初めはそんなもんだな」

そう言ったセシルは

宝箱を壁に向かって力一杯ぶん投げた


ーバキィ!!


と音が響き、急な事にチャーリーは目を剥いて驚いた

「なっ!何してんだよ!壊れたらもう開かないじゃん!!」

開けることを放棄した筈のチャーリーは声を上げたが

セシルは悪びれもせず地面に転がった宝箱の所まで行くとそれを拾い上げ彼女に見せた


何度鍵穴を弄っても開かなかった箱の蓋が

今はだらしなく口を開き、箱の部分をぶら下げている


「はぁ!?そんなんでいいのかよ!?

じゃあ俺のしてた事って何なんだよ!!」

当然の反応である

「…宝箱の難易度が低ければ低いほど

攻撃を加える奴のレベルが高ければ壊す事も可能だ」

しかし、この方法はそもそも

高レベル帯の人間しか使えないし

宝箱の難易度が上がれば失敗する可能際も上がる

そして一度打撃で解錠を試みて失敗すると

もう二度と開けれなくなるうえに

開けれたとしても、中のアイテムが壊れてしまう可能性もあるのだという

「…開けれるなら正規の方法で開けるのが無難だな」

因みにこの宝箱の中身は屑鉄だった

「あんなに頑張ったのに…」

「…冒険者で儲かってる奴ってのは一部だって事だな

開けられなかったにせよ、スキルは上がってる筈だ

これを何回か続けてれば、何回か目に開けられるだろうよ」

チャーリーにいじける時間も与えず

セシルは次行くぞと、次のダンジョンを目指した


「へぇ、今日はそんな事してたのか」

ドックから帰ってきたデリックは

疲れたのと思うように宝箱を開けられなくて不貞腐れそのまま眠ってしまったチャーリーの後ろ姿を見て、感心したような声を上げた

「…つっても、まだ一つも開けられてねぇけどな」

ふーん、と腕組みをしたデリックは

何か思いついたのか、そうだというと

紙を取り出して何か書き始めた

「…何だそれ」

「仕掛け箱だ、まあ本来は子供のオモチャだが

職人の俺が本気で設計する

ちょっとやそっとじゃ開かないぞ

そんな箱が開けられたら…初歩的な宝箱なら簡単に開くようになるだろうな」

つまり、解錠スキルの練習用の箱を作ってくれるという事らしい

「…案外優しいのな」

「俺は向上心のある奴は好きなんだ」

そういうところもあるのかと

少し驚きつつ、意味不明な図形や数字を紙に書くデリックの様子を

セシルは暫くの間眺めていた

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