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ピラー

いよいよクリーパー達は主要道路の一つである地面をうねる巨木の根の上を進み出した

アライバルには“ピラー”と呼ばれる

特別巨大な樹が7本生えている

ピラーの幹は直径にして1kmを軽く越えるものであり

その頂点は地上から10kmにものぼる

それ程の巨木を支える根も相当なもので

こうして“道”として扱われるほど、太く頑丈で

そしてアライバルの大地の隅々まで張り巡らされている

「これ、何処まで行くの?」

「少し遠回りだが、レスペデザ(ピラー)の根元に向かって進んでる」

「あれ?ヘリッシュパインは?」

チャーリーの疑問にロケが答える

「直接行かない理由を聞いている?

直線距離で行こうとすると地図上は近く見えるが、複雑な地形のせいで切り立った崖を登る必要があったり道迷いが発生し易い

地形的な難所も多いので遠回りでもレスペデザ(ピラー)からグランディフロイス(ピラー)へ伸びる道を進むのが無難だ」

ピラーの根の道を降りると、激しい高低差や木々で入り組んだ密林が広がる

ガイドなしで進むのは自殺行為だとロケは静かに言った


度々遭遇する魔物を退けながら

ピラー・レスペデザに到着し

チャーリーはその場所の様子に驚いた

「なんだこれ…街?」

四方八方に伸びる、ピラーの根の収束地点であるピラーの根本には

その幹を囲むようにして家屋が建ち並び、街が出来上がっていた

レスペデザで一泊しピラー・グランディフロイスの方角に向かって進む

そして、次のピラーまで三分の一程度の辺りまで来たところでピラーの根から降り

そこからは鬱蒼とした密林を進む事になる


入り組んだ地形、木々が重なり合い視界は非常に悪い

襲い掛かる魔物はロケが先行して倒し

デリックはそのフォローを追われた

チャーリーはクリーパーに張り付くように身を屈め

出来るだけ目立たないように過ごした

何度かの野営を経て、ヘリッシュパインのある崖まで辿り着いのは数日後のこと


「…ここが…?」


切り立った崖の下は目視できないが、地面がとても下にあることは分かり

その奈落の底のような場所から、真っ直ぐと天に向かう巨大な針葉樹が密生している

その巨大な針葉樹の頂点が目の前にある不思議な光景にチャーリーは、はぁ…と溜息を漏らした


「これを降りるの…か?」

底の見えない絶壁の崖

チャーリーは顔を青くしてクリーパーごと後退った

「クリーパーなら垂直だろうが問題はない

だが、乗ってる人間はそうはいかないな」

少し緩やかな崖があるといい

ロケが先導し、その場所へ移動を始めた

「ねぇ、ヘリッシュパインには

人間なんて居ないって言ってなかった?」

進む先に、木造の小屋を見つけた彼女は

アルヒッパの言っていた事を思いだす

「ああ、あれは緊急避難小屋だ

基本的に人は居ない」

こういうもしもの時の為の小屋というものには

当たり前だが人が頻繁にいる訳でもなく

その為、各地で魔女の巣になっている事もある

「一応、安全かどうか確認していこう」

デリックの提案で、3人はこの避難小屋に寄ることになった


簡素な作りの木造の小屋は

ここに住み着くにはあまりにもお粗末な掘立て小屋のような物だった

誰も居ないだろうとは思いつつ、一応ノックをする


すると、予想に反して

中から返事が返ってきた


ロケは剣を抜き、デリックも銃を構え

チャーリーはすぐに逃げられるようにクリーパーに跨ったまま

扉を開けると、そこには30代くらいの女性が居た

こんな人里離れた森の深い場所に

女が1人で居ることを妙に思わないわけもなく

デリックは安全装置を外し、エーテル弾を装填した

「へえ、ここって人が来るの…

初めまして私アリーナ

貴方達も魔物を捕まえに来たの?」

アリーナと名乗った女性は、どうやら魔女ではなく正真正銘の人間らしく

1人に思えたのは彼女の“仲間”が、彼女がテイムした魔物や魔獣であったからだった

「女1人だと思って何か良くない事を考えているのなら止めた方がいい

私の“仲間”は一匹じゃない」

アリーナの影が蠢くのが見えて、デリックは身構えたが

彼女は牽制をしただけで3人を襲うつもりはないと言い

一体こんな場所に何をしに来たのかと問い掛けてきた

「人を捜してる」

「…人?こんな場所に?それは本当に人か?」

それを言うならあんただってと

物言いたげなデリックの表情を汲んだアリーナは、不意にデリック達の背後を指差した


そこにはいつの間にかミノタウロスが立っており、ロケとデリックは驚いて飛び退いた

ミノタウロスは2人の間を通り過ぎ

アリーナの横へ行くと木の実などの食べられる物を彼女の前へ、そっと置いた

「ありがとう、私は見ての通りテイマー

この辺りは多種多様な魔物が住んでてね

新しい仲間をスカウトに来たんだよ

私は暫くここに滞在する予定だ」

この小屋を使うか?とアリーナは問う

当然、彼女は小屋を明け渡すつもりはないので

この小さく質素な小屋をシェアする事になる

「いや、俺達はヘリッシュパインに降りる

その途中でこの避難所の安全を確かめに寄っただけだ」

「ふーん、降りるの…

それこそ人間なんて居ないと思うけど

私には関係ないか、幸運を祈るよ」


小屋を後にして3人は崖が少し緩やかな場所に辿り着いた

とはいえ、垂直ではないだけで殆ど垂直に近いような崖だ

落ちれば一溜まりもないのは、誰が見ても明らかである

ここに辿り着くまで、きっとセシルはここに居ると考えてやって来たが

彼がここに辿り着けるのかが不安になってきた

「いや、行くしかない…」


デリックの行こうの一言に

ロケは頷き、彼らのクリーパーはゆっくりと奈落の底へと足を進め始めた…

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