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サイドライブ  作者: 碗古田わん


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第五十二話 「ジュピターカップ本戦」

スタート地点。

木星の大気に作られた巨大競技場は、観客の歓声で揺れていた。


「フリアノン、大丈夫やろか……」


ミオが緊張した声でモニターを見つめる。

フリアノンはスタート地点で小さく震えていた。


『……ミオさん……頑張る……から……』


「無理はせんでええよ」


ヘッドセット越しにミオの声が届くと、フリアノンはかすかに笑った。


一方、ラディウス陣営。


『ラディウス、今日も頼むよ』


九条玲那が冷静に指示を飛ばす。


「へいへい。分かってるって、玲那ちゃん!」


軽く首を回すラディウス。その表情は相変わらず脳天気だ。


そしてガルディアス陣営。


『おいガルディアス、今日こそ見せてやれ!』


シグマの声が鋭く響く。


「おうよ!根性でぶっちぎってやるぜ!」


どこか空回り気味の声で気合いを入れるガルディアスに、シグマはため息をついた。


最後にリュミエル陣営。


『リュミエル……分かってるね?』


「……ん……いつも通りだよ、ユリウス……」


いつもと変わらぬ優しい声。

ユリウスは微笑む。


『頼んだよ。風になるんだ』


「……うん……」


そして――。


《Ready……Go!》


スタート音が鳴り響くと同時に、四頭のサイドールが一斉に飛び出した。


◆ ◆ ◆

レースは中盤。


「くそっ……くそっ……!」


ガルディアスが荒い息を吐きながら先頭集団を引っ張る。


『落ち着け!リズムが乱れてるぞ!』


「うっせぇ!根性だ!根性で持たせんだよ!」


一方、ラディウスはその背後でマイペースを崩さない。


「ふふ~ん♪いい風だなぁ~」


『ラディウス!ふざけない!』


玲那の鋭い声に、ラディウスは軽く笑った。


「分かってるって~」


そしてリュミエル。


「……風が……優しい……」


『リュミエル、そろそろ上げていこうか』


「……うん……」


ユリウスの指示に、ふわりとペースを上げるリュミエル。


後方。


フリアノンは息を整えていた。


『ノンちゃん、今や!行き!』


「……はいっ!」


フリアノンは加速した。


◆ ◆ ◆

最終コーナー。


先頭はリュミエル。

ガルディアスとラディウスが並び、その後ろからフリアノンが猛追していた。


『いけるで!ノンちゃん!』


「……っ……!」


追い風を受けるように、フリアノンの念動力推進が一気に加速する。


「リュミエルくんっ……!」


「……フリアノン……」


ふわりと視界に入るリュミエルの背中。

その刹那だった。


(……っ!?)


突然、鋭い頭痛がフリアノンを襲った。


「――あ、ああっ……!」


右半身がしびれ、思うように力が入らない。


『ノンちゃん!?どうしたん!?』


「……いたい……いたいよ……っ……!」


苦痛に歪む表情。

念動力の光が一瞬で弱まった。


「ぬおおおおっ!」


「よっしゃあ!」


ガルディアスとラディウスがフリアノンを抜き去っていく。


(……いや……いやだ……こんな……っ……)


最後の直線。

リュミエルは静かにゴールへと駆け抜けていった。


二着、ガルディアス。

三着、ラディウス。


そして――。


「……ぁ……っ……」


フリアノンは四着でゴールした直後、そのまま意識を失った。


◆ ◆ ◆

「ノンちゃん!ノンちゃん!しっかりして!」


救護室。

ミオが涙目でフリアノンの頬を叩いている。


「……ミオ……さん……」


『……無理させすぎた……ごめんな……』


意識が薄れていく中、フリアノンの瞳に滲む涙。


(……わたし……負けた……また……)


視界が暗く沈んでいった。

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