表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
サイドライブ  作者: 碗古田わん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

38/117

第三十八話 「銀河の頂で交わる誓い」

年の瀬が迫る頃。

宇宙港周辺には、例年にも増して多くのファンと報道陣が集まっていた。


アースグランプリ――太陽系最大にして最後の祭典。

ファン投票で選ばれたサイドールのみが出場できる、男子女子の区別もなく3歳以上の強豪が集う夢の舞台。


そして、そこには――


「ノンちゃん、明日は本番やで。緊張してるか?」


白雷ジムの調整室。

ミオがタブレット片手に笑みを向ける。


「は、はい……少しだけ……」


フリアノンは両手を胸元でぎゅっと握りしめて答えた。

明日はついにアースグランプリ本番。

自分もついに、あの太陽系最高峰の舞台へ立つことになる。


(去年までは夢のまた夢だと思ってた……でも……)


視線を落とし、静かに瞳を閉じる。

思い浮かぶのは、スレイプニルの笑顔。


『ノンちゃん、あんたは絶対強くなれるって、あたし信じてるからな!』


(スレイ……)


失われた親友。

その夢を背負い、自分はここまで走ってきた。


「なぁノンちゃん、今日の前日調整、しっかり集中していこな」


「……はい!」


強く頷き、フリアノンは練習服を着替えるためロッカールームへ向かった。


◆ ◆ ◆

一方、レース会場では前日公開調教が行われていた。


《次、ゲートイン……リュミエル、ガルディアス、ラディウス、フリアノン》


スタート練習ゲート前に並ぶ、四頭のサイドール。

その姿はファンの歓声とフラッシュを浴びて輝いていた。


「……」


リュミエルは相変わらず無表情。

隣に立つユリウスが、微笑みながら通信で声をかける。


『リュミエル、力む必要はないよ。君はいつも通り走ればいい。』


「……うん」


淡々と答え、ゲートインするリュミエル。


ガルディアスは相変わらず派手だ。


『おらあああああ!!絶対勝つぞおおお!!』


その雄叫びに、シグマがピクリともせず冷静に言い放つ。


『無駄な声出しは燃料消費の無駄だ。』


『うっせぇ!!気合だ気合!!』


二人のいつも通りのやり取りに、沿道から笑いが漏れた。


ラディウスは、カメラに手を振りながらも余裕の笑顔。


『ははっ。明日は派手に決めるから、みんな期待しててくれよな』


その表情は自信に満ちている。


そして――フリアノン。


(みんな……すごい……でも、負けない……)


ゲートに入るその顔は、緊張でやや硬い。

だが、その瞳には確かな光が宿っていた。


《スタート練習……発走!》


ゲートが開き、四頭は一斉に走り出す。

その中でも、リュミエルの加速は異質だった。

無駄のない滑らかな加速。

それでいて、決して全力ではない余裕を感じさせる走り。


ガルディアスは地響きを立て、ラディウスは軽やかに駆け抜け、フリアノンは最後尾から懸命に追った。


(負けたくない……!絶対に……!)


◆ ◆ ◆

調教終了後、各陣営は談話室で作戦会議を行っていた。


白雷ジムも例外ではない。


「明日はいつも通り追い込みでいくで。ノンちゃん?」


「……はい!」


フリアノンは座ったまま、ぎゅっと拳を握った。


(スレイ……私、明日……絶対に見せるから……)


《明日は太陽系杯に続き、今年最後の祭典アースグランプリ!男子女子混合、全世代最強決定戦!》


モニターから流れる実況の声が、談話室に響き渡る。


その声を背に、フリアノンはただ静かに目を閉じ、心の奥で親友に語りかけていた。


(スレイ……私、あの頂点に立つから……見ていて……)


決戦の時は、目前に迫っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ