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第97話 令和16年秋場所①

横綱52場所目のコシは、ファイザッピのフクちゃんと怪我予防の為のパーソナルトレーニングを、毎日1時間稽古とは別でこなしていた。プロテイン等も摂取し、コシの体は筋骨隆々としていた。


場所入りしてからは、パーソナルトレーニングは休み、朝稽古のみで調整した。だが結果にコミットはしなかった。コシは初日からまさかの3連敗。これは越乃海の力士人生で初めての事であった。コシは途中休場を余儀なくされる。


大きな怪我は無かったし、稽古もガンガンやっていたから、普段負ける事は無いと思われた格下の力士に3連敗は、心配された。体のコンディションも、メンタルも良好だったが、まぁ、力士をやっていればこう言う事もあると気丈に振る舞っていた。フクちゃんとも話したのだが、越乃海の下半身は過去一の仕上がりであった事を2人で確認していた。


ただ、鍛えなかった上半身に問題があるかと言えばそれもない。鉄砲は一日1500回やっていたし、体幹を鍛える為のヨガやピラティスにも挑戦していたから、どうして結果にコミットしなかったのかは理由が分からなかった。


「コシ?力士やってるとな、意味不明な連敗をする事はよくある。ずっと勝ち続けて来たコシにも相撲の神様がやっとその機会を与えてくれた。幸い横綱はお前だけじゃない。そう思って今場所は休め。」

「再出場もなしですか?」

「無しだ。ファンも負けるコシなんて見たくないだろ?」

「そうですよね。」


「あーっ!!」

「どうしたのあなた?」

「あ、ただいまゆいP。心身健やかなのに休場するなんて、何だか物凄いフラストレーション溜まるなって思って、つい。」

「竜一が、パパ出てないよっていうから心配していたのよ?」

「昨日から休場してるからな。」

「珍しいわね?あなたの謎の不調。」

「そうなんだよ。本当に意味不明なんだ。原因が分からないんだわ。ま、良い機会だから家族サービスでもしようかなって思っている。家族5人で温泉でも行かないか?」

「良いわね?忍さんもどう?」

「あら、夫婦水入らずで行ってらっしゃい。」

「まだ子供達も小さいし忍さんがいてくれるととても助かるんですがね?」

「お金の心配ならいらないわよ。この人横綱だから。」

「金の事はゆいPに仕切って貰ってますから。」

「そうなの?ゆいちゃん?」

「意外としっかりしてる所あるんですよ?忍さんにはゆいのダメダメな所ばかり見られちゃってますけど?」

「そう?最近は随分たくましくなって来たなって、想いますよ。」

「だってさ、ゆいPは最高のお母さんだもんね?」

「へへへ。まぁね?で何処の温泉行くの?」

「そりゃあやっぱり箱根温泉だろ?」

「良いですね!」

「移動なら新宿まで出れば箱根ロマンスカーに乗れるしな。」

「私、車出しましょうか?」

「忍さんは気を使わないで下さい。」

「はい。すみません。」


二泊三日の箱根温泉旅行が決まった。一方土俵では中村(時天山)がただ一人中日給金直し。コシから託されたバトンをしっかり握って土俵を務めていた。

「コシ関の分もしっかりやります。」

「後半戦もその調子で頼むぞ!」

「はい。」


「まぁ、温泉にでもつかって、ゆっくり家族サービスして来い。」

と、言ってくれたのは、時津川親方であった。こんな時でなければ稽古の虫のコシは家族の事すらどっかに飛んで行くからな。と言われ何も言い返せない横綱越乃海であった。

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