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第93話 令和16年春場所②

まだ怪我が全快していなかった先場所とは違い、今場所は得意のぶちかましからの強力な突き押しが決まっていて、挑戦者達に何もさせていないコシだった。結局コシの独走で15戦全勝優勝を達成。41回目の優勝となった。


「ひかり!よくやったな!幕下優勝おめでとう!」

「自分でも信じられません。」

「これでひかりも関取だな。俺の付け人も卒業だな。」

「いえ、コシ関の付け人は継続します。」

「まぁやってくれるなら断る理由は無いな。」

「所詮まだ十両力士ですから。」

「お、言うね。そんな事より師匠に挨拶したか?」

「はい。行きました。って言うよりもう知ってたみたいで来るのが遅いって言われましたよ。」

「流石、時津川親方。情報早いな。つーか俺も報告…。」

「コシ関の優勝は13日目に決まってたじゃないですか?だから知ってますよ。」

「そか。」


2034年3月下旬。時津川部屋に大物ルーキーが鳴り物入りで入門して来た。四股名は時虎丸(通称、山中)幕下最下位格付け出しでデビュー。春場所では6勝1敗で、来場所は幕下中盤で取る事になりそうで、ひかりもうかうかしていられなかった。山中は日本大学の出身で、2年連続で大学横綱になり、角界入りした。時津川部屋を選んだのは強い横綱が2人もいたからだと言う事であった。山中獲得にあたっては、複数の部屋からのスカウトを全て断り、憧れの大横綱越乃海のいる時津川部屋を選んだ。それ以外にも15名の新弟子が時津川部屋の門を叩いた。全員新弟子検査をパスして、春場所では山中以外は前相撲を取った。来場所から序ノ口に四股名が載る見込みである。


昔は就職場所等と呼ばれ、沢山の力士が一気に入門して来た場所だったが、令和になってからは、10人を超えれば良とされていた。時津川部屋としても、久し振りに二桁の入門者数となっていた。

「今場所はようけ入門者が来ましたね?」

「スカウティングには近年力を入れてきましたからね。」

「すぐ逃げなきゃ良いんですが…。」

「バカ言え。今は昭和じゃねーんだぞ?」

「確かに番付のある厳しい世界ですが、パワハラやバイオレンス指導は今はあり得ない。」

「先代の頃は竹刀持ってビシバシやられたもんだけどな。」

「中村(時天山)は知らないだろ?」

「厳しい稽古ってのは有名でしたからね。現時津川親方の体制になってからは、稽古稽古稽古。更にヒートアップしましたからね。」

「稽古嫌いな奴は時津川部屋を避けていたと言う逸話もある位だしな。でもその厳しい稽古が実ったのが、横綱越乃海って訳ですね。」

「あと、1、2年生きてれば先代もコシ関の活躍見られたのにな?」

「力士は寿命短いって言うしな。」

「あぁ。」

と、言う訳で山中は横綱時天山の付け人になった。

「よろしくなスーパールーキー。」

「やめてくださいよ。天下の横綱がそんな事言わないで下さい。」

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